前回の記事はこちら 好きなデザインってなんだ? #3 技術の向上の先に
街中を歩けば、さまざまなデザインの形に触れることができる。電子広告や電車などの公共物、ふと立ち寄るお店で販売されているプロダクトの数々。
好きなデザインとは何か?このリレー記事の順番が段々と近づいて来て、好きよりも前に良いデザインのことを改めて考るようになった。
近年、社会を良くするために、不自由なく人間の営みや思考に沿って作られたデザインが増えたように思う。良いデザインという共通認識が何となく出来上がってきた。それは、安心できるものや、社会に適応した形に落ち着くようなものだ。
「違和感のない、デザイン」がたくさん生まれていく。
一方で良くないデザインとは、その範疇に適応できずに違和感のような胸騒ぎを周辺に起こす厄介者のような存在かもしれない。
しかし、プロダクトや概念的なデザインに向き合うとき、良いデザインよりも、違和感のあるデザインが気になってしまう。
それは与えられた課題解決が至上命題であり、市場に適応しない違和感のあるデザインが、排除される運命にあるからだろうか。なぜか、違和感のあるデザインたちは瞬間的にも永劫的にも可能性を与えてくれるように思う。
それは人の認識や、デザインという言葉のルールが作り出す現状の共通認識に縛られていないからなのかもしれない。実はそれって、紙一重、文化や社会などさまざまな要素を巻き込んで育っていくんじゃないか…なんて思ったりもする。
こんな風に、違和感の可能性を考えていくと、デザインが持つ力や意味の幅も広がっていくのかもしれない。
そう考えていくと、違和感のあるデザインを好きになってくる。
さて、次の連載はあやこさん。毎回驚くような視点で物事を語ってくれるから、今回も楽しみにしてます。
by Takuya Kobayashi
法政大学キャリアデザイン学部国際社会学エスノグラフィー専攻。東京デザインプレックス研究所卒業。デザイン担当。デザイン部所属。