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好きなデザインってなんだ?#3 技術の向上の先に

前回の記事はこちら 好きなデザインってなんだ? #2 デザインとリスペクト

「好きなデザインとは何か?を考え続けることが、好きなデザインを増やすというチームの目標につながる」「だからそのために一人ずつ、自分の好きなデザインについて文章を書こう」

…この企画を聞いて、正直こんな難しいテーマやめて〜、と思った(笑)

ACOは、自社サービスを開発しているわけではなく、受託で仕事を受けるスタイルだ。それをこなすためには、どんなオーダーにでも応えられるデザイナーであることが求められる。そうやって自分は前職とあわせて4年間、受託するスタイルのデザインをやってきた。だから自分が好きなデザインは何?なんてそもそも聞かれる機会がなかったのだ。

新人デザイナーの練習として、他の人が作ったデザインをひたすら上からなぞって作る、トレースという方法がある。私が初めてコーポレートサイトをトレースしたのは、働き始めて間もない22歳の時だった。

率直に最初は、勉強のためとはいえもっとオシャレなサイトのトレースがしたいのに、と思った。なぜなら、確かそれは何かの部品メーカーのサイトだったのだが、いかにもお堅い雰囲気の古いサイトだったからだ。

でもグローバルナビを作りながらボタンの数とラベルを読んで、さらに遷移した中のページを読んで、企業ってコンテンツに溢れていてすごいなぁ、と思ったのを覚えている。

その頃、自分のポートフォリオはそれは内容が薄くて、目次を考えるのがとても辛かった。まるで中身のない自分のようだった。

だから確固たる意志を持ち、事業を一本に絞り、いろいろな切り口から自社商品を紹介しようとするその会社が、一人のできた人間のように思えて、デザインはかっこよくなかったけれど、中身があって羨ましかったのだ。

その頃から自分は、発信したいことはないけれど、人の伝えたいことを代わりに伝える使命を背負っているんだ、という感覚になった。

一方でデザインの技術を高めるのはとても楽しい。

作ったことのないテイストのデザインを作るということは、対象をよく観察しないと成し得ない。このデザインという仕事は、作る過程で強制的に知らない世界へ連れていってくれる。

例えば、この仕事をしていなければウェブサイトをジロジロ観察することなんてなかったし、ブラウザを広げたり狭めたりしてバックグラウンドの画像の作り方を研究することなんてしなかった。

4年前と比べると今では、見てくれがいいだけではなくどんなテイストのデザインでも、いいデザイナーが作ったデザインをいいと思う能力も身についたし、速く作るためには迷いながらもスタートを切ればいいという根拠のない自信も身についた。そのおかげで今は難易度が高い仕事がきても、気概をもって取り組めるのだ。

私は結局、デザインする行為が好きなのだと思う。

自分の得意とする好きな行為、その技術の向上の先に、喜んでくれるクライアントや仲間がいる。その場所に身を置くことが好きだし、もっとたくさんの機会を生んで自分の技術が向上すれば、自分も嬉しい。

ということで、私の好きなデザインは、自分の技術の向上の先に喜んでくれる人がいる、デザインです。

そういえば次の担当のコバ(小林くん)は、以前「俺が一番デザイン好きだよ」と言っていました。どんな記事を書いてくれるのか楽しみだなぁ。

WRITER

岩田 紗季 / SAKI IWATA
DESIGNER

武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。制作会社にてランディングサイトやコーポレートサイトなどのデザインを経て現在に至る。デザイン担当。デザイン部所属。

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