プロジェクト・マネージャーは必見。最小のミーティングで最大の価値を
こんにちは。A.C.O. Journal 編集長 高橋です。 働き方改革などによる生産性向上について、日々多くの事例が話題になっておりますが、A.C.O.も生産性向上についてさまざまな取り組みを行っています。今回は、そんな取り組みの一部をご紹介できればと思います。
突然ですが、みなさんミーティングは好きですか? 打ち合わせや会議とも言いますし、MTGと書く人もいます。プロジェクトを進行する上でミーティングは無くてはならないものですね。プロジェクトの方針を決定したり、ひとりでは考えつくことのできないアイデアが生まれる場所であり、クライアントとの合意形成のためにもミーティングは必要です。
しかし、A.C.O.のメンバーはムダなミーティングが大嫌い。生産性を向上するために徹底している、ミーティング設定のルールをご紹介します。
このミーティングで決めることはなんですか? 事前にアジェンダを共有する
ミーティングでは必ず事前に、アジェンダを共有することをルールとしています。当たり前のことですね。とはいえルールが曖昧だと人によって認識のズレが生まれ、いずれは小さなズレが大きな事故につながる可能性があります。またルールを設けることでコミュニケーションのロスを減らし、生産性向上につながると思います。
ここで言うアジェンダとは、議題、議事日程、行動計画のことを指しています。アジェンダには目的、議題、日程、参加者、ファシリテーターは誰かなどを明記します。アジェンダは作り込みすぎることはしませんが、参加メンバーの認識に齟齬がないよう気をつけています。
アジェンダを展開することでミーティング参加者はどんな目的のミーティングなのか事前に把握し、それぞれ準備を行うことができます。そしてミーティングの始まりにもアジェンダを共有することで会議の目的を参加者と再確認し、参加意欲の向上につなげています。
アジェンダは基本的にプロジェクト・マネージャーが作成しますが、参加者にも事前に議題を聞き出すことで、メンバーが困っていることや気づいたこと、相談したいことが洗い出すことが出来ます。
アジェンダを作成時に「これ、ミーティング設定するまでもないなー」と思いとどまることもしばしば。ただ進捗を報告するだけならチャットで解決しますし(質問があればチャットでコミュニケーションも可能)、ちょっとした確認なら5分ほど立ち話するだけで解決したりします。
このミーティング、私参加しなくてもいいですか? 最適な参加者を招集する
ミーティングには目的に応じた、最適な参加者だけを招集するというルールがあります。最適メンバーとは最少人数とも言い換えることができます。
最適なミーティング参加者を選定することは効率性を高めるだけでなく、コスト管理や進行管理においても重要です。ミーティングに参加はしたけれど自分と関係のない議題だった、議事録の共有だけで充分だったなどということを防ぎ、ミーティングに参加する時間を他の時間へ充てることが出来ます。
また、言うでもなくミーティングは参加メンバーの時間を拘束します。単純計算で1時間6,000円の単価の人間が5人集まれば30,000円のコストが発生し、30,000円分の制作に当てるための時間が消失します。
なお、A.C.O.では参加者は自分が必要ないと判断した場合、前日までにその旨を伝えることで出席しなくても良いというルールも設けています。
ミーティングでの言った・言わない、なんでそうなったんだっけ?を防ぐため、 結論を共有する
ミーティング終了後、結論を共有することを徹底しています。結論が共有されずにいたことで、メンバー間で認識の齟齬が発生することを防ぐためです。クライアントとのミーティングの場合は、クライアントにも議事録を共有しています。そうすることでエビデンス(証拠)として残り事故を回避することが可能です。
結論の共有で注意することは、誰が (Who)、いつまでに (When)、何をする (What)を明確にすることです。さらに、なぜそうなったのか?(Why)経緯を記載しておくことで後日見返したときに、理解が促進されます。
ファシリテーターはミーティング中に結論を導くために、何が決まったのか、何が決まってないのか、優先順位はどうか? 合意事項は何かを意識することが求められます。ミーティング中に決まらなかった議題は必ず持ち帰り、いつまでに決めるか、なぜ決まらなかったのか、どうしたら良いのかを細分化し記録しておくことが重要です。
ミーティングの目的を達成するために、ミーティングの種類を設定する
A.C.O.ではミーティングに目的を設けていると書きました。目的を達成するために、ミーティングの種類を意識しております。ミーティングの種類には大きくわけて以下の6つがあります。
ミーティングの種類①:キックオフ
プロジェクトスタート時、アサインされたメンバーを集め、プロジェクトの概要や目標、 体制、 進行方法を共有することを目的としたミーティングです。
キックオフはメンバーのアイスブレイクの場としても機能します。長期プロジェクトの場合、メンバー間のコミュニケーション不足は命取りになります。可能であればクライアントにも参加してもらうことで、普段クライアントと顔を会わせることが少ないメンバーにも、当事者意識を強く持たせる狙いがあります。
キックオフではメンバーのプロジェクトへの理解を深めることが重要だと考えます。理解が浅いメンバーがいないか、メンバー間の認識の齟齬がないか、不明点・懸念点はないか? プロジェクトが走り出したばかりだからこそリスクヘッジをしておく必要があります。
ミーティングの種類②:インプット
プロジェクトの途中で新しいメンバーが参加する時など、情報不足しているメンバーに向けての共有のためのミーティングです。 トラブルがありメンバーが変更となった場合や、デザイナーがデザインフェーズからアサインされる時などに設定します。
キックオフとの違いとしては、プロジェクトの進行により変更になった箇所や、更新された箇所、現状の進捗の共有などが挙げられます。
途中参加のメンバーに資料をわたしておくだけでは、正確に理解できているか確認することが難しいです。インプットミーティングを行うことでメンバーの不明点を潰し、やるべきことを理解してもらうことが重要です。また、資料のみでは伝えることが難しい熱量や空気感を共有することを意識しています。
ミーティングの種類③:ブレスト
複数の参加者が自由に意見を言い合い、アイデアをどんどん出していくことで、新しい考え方や解決策を発見するためのミーティングです。「もうこれ以上アイデアが出ない」、「新しい切り口や発想が欲しい!」というときに設定することが多いです。
ブレストには「判断・結論を出さない(結論厳禁)」、「粗野な考えを歓迎する(自由奔放) 」、「質より量を重視する」、「アイデアを結合し発展させる(結合改善) 」などといった約束事があります。
ブレストではテーマ作りが重要となってきます。A.C.O.ではワークショップ形式でブレストを行うことがあります。詳しくは よりよいチームを作るための社内ワークショップのつくり方でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
ミーティングの種類④:レビュー
設計やデザイン、原稿といった成果物を、複数のメンバーにチェックしてもらう場です。制作者の視点では漏れてしまう内容を精査し、品質を確保することを目的としています。
またレビューには進捗状況のシェアや、問題をシェアして解決するなどの側面もあります。プロジェクト・マネージャーが設定する以外に、制作過程で随時、デザイナーやライターが設定する場合もあります。メンバー全員が集まらない場合でも、ちょっとした時間に細かく設定することなどもあります。オフィスにいると、「ちょっとレビューしたいです」ということをよく耳にします。
ミーティングの種類⑤:ディスカッション
一つの課題について議論し、解決することを目的としています。「課題に対する問題点は何か」、「原因は何か?」 など現状を細分化し、解決策を具体的に導きます。
ディスカッションを設定する際、時間内に結論を出すことが重要です。議論が横道にそれないよう、ファシリテーターのスキルが重要となります。また、事前に各自の考えを共有することで、ミーティングを有効に進めることができます。
決断、判断にはとてもエネルギーを使います。何が決め手の基準となるのか? 優先度はどうするか?といった、決断するための評価軸を事前に設定しておきましょう。
ミーティングの種類⑥:タスクシェア
タスクシェアとはメンバーのタスクを共有する際に設定します。メンバーがそれぞれどんなタスクを持っているのか、どんなステータスなのか、困っていることはないか、スケジュール通りに進行しているかなどを共有します。
プロジェクトスタート時に設定したタスクも、プロジェクトの進行とともにズレが発生します。そのズレを修正するため、状況に応じてタスクを振り分けたり、スケジュールを調整することで事故を回避できます。
以上がミーティングの種類の分類です。1度のミーティングでキックオフからのブレストや、レビューからのタスクシェアなど、ミーティングの種類を組み合わせることもあります。
ミーティングはプロジェクトメンバーと意見をぶつける貴重な時間
上記以外にもA.C.O.では細い会議のルールを設けています。例えばファシリテーターと議事録係を必ず決めていたり。基本的にはミーティング設定者やプロジェクト・マネージャーがファシリティーターとなることが多いですが、そうでないこともあります。
また、資料が必要な場合は、かならず事前準備をお願いしています。資料を読まずにミーティングに参加することは、ほかの参加者の時間を奪うことにつながるため、配布された資料に目を通しておくこともルールとして設けています。このような当たり前のことを当たり前に行うことが、生産性の向上につながると考えています。
冒頭にみなさんミーティングは好きですかと尋ねました。私は有意義なミーティングが好きです。ミーティングはプロジェクトメンバーと意見をぶつける貴重な時間だと考えています。A.C.O.のルールではありませんが私自身が心がけていることは、ミーティングでは常に本音で話すことです。
本日ここに紹介したミーティング設定のルール以外にも、ミーティング参加時のルールや、ファシリテーションのルールなども設定しています。これらのルールについてもいずれご紹介できればと思います。それではまた、次回記事でみなさんにお会いできればと思います。
WRITER
高橋 昌之(MASAYUKI TAKAHASHI)
PROJECT MANAGER / WEB ANALYST
A.C.O. Journalの二代目編集長。武蔵野服飾美術専門学校卒業。アパレル企業にてECサイト設立・運営に携わる。その後WEBへ転向、制作会社ディレクターを経て、現在に至る。プロジェクトマネジメント、アクセス解析担当。グロース・マネジメント部所属。2017年11月から編集長に就任。