今回のアカデミストスタッフインタビューは、学術系メディア「academist Journal」の編集長を務める周藤瞳美氏。現在フリーランスの編集者/ライターとして活動するなか、アカデミストではacademist Journalの編集長としてWebメディアの運営に携わっているほか、クラウドファンディングのプロジェクトページやSNS投稿などコンテンツ制作全般をサポートしている。本稿では、アカデミスト参画のきっかけからacademist Journalの展望についてお話を伺った。
——アカデミストに参画したきっかけを教えてください。
大学院生時代に、さまざまな分野を専門とする大学院生を集めた「異分野交流会」をアカデミスト代表の柴藤と共に企画していたのがきっかけです。異分野交流会で感じた研究者の魅力を、一般の人たちにも共有していきたいという思いから、アカデミストの立ち上げ時より外部スタッフとして関わってきました。
——現在はフリーランスの編集者/ライターとして活動されていますが、編集者を志した理由を教えてください。
大学院の修士課程ではヘリウムなどの軽い希ガス元素が化合物をつくるかどうかということを理論的に調べる研究を行っていました。研究自体は楽しく、博士課程への進学も選択肢のひとつとして考えていましたが、異分野交流会を通して、私はどちらかというと、専門性を突き詰めたり、答えのない問題に挑戦したりすることよりも、さまざまなバックグラウンドをもつ人の話を聞いたり、新しい知識に触れたりすることのほうが好きなんだということに気づきました。
また学部時代には、サイエンスコミュニケーターとして小・中・高生や一般の方向けに科学の知識を伝える活動をしていたのですが、この経験を通じて、自分は科学の「知識」ではなく、知の営みとしての「科学」を伝えたい、そしてそれは、自分が前に出て説明するのではなく、研究者本人の言葉で語られるほうがより魅力的だ、と考えるようになり、専門家による発信を裏方で支える「編集者」という仕事に興味をもちました。
——フリーランスとして独立する前にはどういった仕事をしていたのですか?
修士課程修了後に新卒で入社した会社は、ITの専門書籍などを発行する出版社でした。そこでは書籍編集者として、高い専門性を持つ方々に原稿を依頼し本を世に出すまでのサポートを行う仕事を経験しました。約3年間勤めた後、Webの世界での編集を経験してみたいという思いから、Webニュース媒体の編集記者に転職しました。
転職当初はIT分野を担当していましたが、希望がとおり、念願だったサイエンスおよびテクノロジー分野の担当として、取材・執筆・編集業務を行うこととなりました。新しい研究成果に関する記者会見への出席や研究者へのインタビュー取材など、仕事自体はとても楽しかったです。
しかし、いつかは独立したいという思いを持っていたことと、本業の傍ら手伝っていたアカデミストの仕事にもう少し時間を割きたいということで、2017年に会社を辞め、フリーランスとして編集やライティングの仕事を続けていくことを決意しました。現在は個人としての取材・執筆活動を続けながら、アカデミストの仕事にも関わっています。
——アカデミストでの仕事について教えてください。
学術系Webメディア「academist Journal」の編集長として、コンテンツの企画・編集から研究者への取材、マネタイズに向けた事業計画の策定までを行っています。また、クラウドファンディングのプロジェクトページや動画、SNS投稿などコンテンツ制作全般もサポートしているほか、広報業務も一部担当しています。
academist Journalは、編集者と研究者がタッグを組むことで、研究者自らの言葉で情報発信できるような「研究者が主役となるメディア」を目指しています。研究者は普段どういった手続きで仕事を進めているのか、何を考え、どのような世界を目指しているのか——未知の世界に立ち向かっている研究者の姿や生き様を伝え、知の営みとしての科学の楽しさや学問の魅力を一般の読者のみなさんと共有していくことが、academist Journalのミッションだと考えています。
創刊から約3年になりますが、academist Journalがきっかけとなり、共同研究が生まれたり、大手メディアで取り上げられたり、書籍の出版につながったりなど、記事を書くことによってさまざまな効果があったという声を研究者の方々からいただいています。一般の方と研究者をつなぐだけでなく、研究者同士のコミュニケーションを促す役割もacademist Journalにはあるようです。
——アカデミストはどういう会社ですか? 雰囲気やメンバー、周藤さんが思うアカデミストの魅力について教えてください。
アカデミストのチームは、一言で言うと「プロフェッショナル集団」だと思います。それぞれが自分の経験やスキルを生かして、アカデミストのサービス、そして研究業界をより良いものにしたいという熱い思いをもって活動しています。自分に期待されている仕事はもちろん、自分がおもしろいと思うこと、興味のあることを積極的に提案して実行できる環境です。インターン生も学生ならではの視点で新しい企画や仕事を提案してくれるなど、非常に意欲的な方々が多いです。
——今後の目標や目指していることを教えてください。
academist Journalをもっと大きなメディアに育てていきたいです。そのためにはマネタイズについてしっかりと考えていく必要があります。編集という面でも、他の媒体にはない、新しい企画や記事をどんどん世に出していくことで、一般の方と研究者、研究者と研究者との架け橋になるようなメディアにしていければと思っています。