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AbemaTV開発チームがリモートワークを導入して1年、運営する上で気をつけた7つのポイント

AbemaTV 開発局局長 長瀬です。

AbemaTVでは技術者からの要望で週1日もしくは数日のリモートワークを導入し、約1年経ちました。

ちょうど1年前の開発チームのKPTにて、エンジニアからリモートワークの提案が出てきました。いろんな心配はあったのですが「まずはやってみよう!」とスタートさせましたが、振り返ってみると実施して良かったと考えています。

今回は、AbemaTVでの「リモートワーク」の運営において気をつけた方が良いポイントを具体的な取り組みも含めてエントリーしたいと思います。


気をつけた7つのポイント

1.アウトプットの可視化
2.勤怠管理と体調管理
3.「無駄な会議」の撲滅
4.ドキュメント文化・仕様書は大事
5.明確なミッション設定
6.性善説と最低限のルール
7.「コミュニケーション」は大切


1.アウトプットの可視化

リモートワーク導入の際にまず思い浮かぶのは、遠隔だと何をやっているのかが見えなくて不安という点ではないでしょうか。この不安を払拭するためには、各メンバーのアウトプットが常に可視化されている必要があります。

AbemaTVではリモートワーク導入以前からGithubを使ったプルリクエストとレビューを行なっており、日々のアウトプットが可視化されている状態がありました。基本的に開発局内のどのチームでも相互レビューを行うようにしてしています。

また、隔週でチームみんなで集まっての「スプリントレビュー」を実施しており、その場で各チームの成果を全体に共有することを実施しています。

「ソースコードレビュー」と「スプリントレビュー」は開発を進めていく中で当たり前に取り組んでいることではありますが、結果的に個人のアウトプットを可視化することにもつながっています。


2.勤怠管理と体調管理

また、各メンバーの勤怠管理と体調管理もリモートワークでは難しいと思われがちではないでしょうか。パフォーマンス向上のために行なっているリモートワークなのに、知らない間に開発に没頭しそれにより体調を崩してしまっては元も子もありません。

リモートワークの利用申請はとても気軽なものにしています。手続きは大きく2点で、

1)Slack内の専用チャンネルで前日までに報告をすること
2)社内のスケジュール管理ツールにも勤務時間を登録すること

リモートワークで見えない稼働状況を社内のスケジュール管理ツールにも登録することで勤務時間を人事でも把握できるようにしました。

あわせて、超過勤務が継続的に続く場合は、振休を活用してリフレッシュすることでメリハリをつけることにしました。


3.「無駄な会議」の撲滅

対面でのコミュニケーションはいうまでもなく大切です。ただ、それに乗じて「無駄な会議」が増えてしまうということはどのプロジェクトにもあると思います。

AbemaTV開発局では原則的には必要最低限の会議しか実施しないという形にしました(厳密にはそのような雰囲気作りを心がけました)。特にこの点をディレクターに意識してもらうようにしています。会議については、iOSエンジニアの服部が以前執筆した「AbemaTVに入社して3ヶ月経ちました」というブログの中でまとめていますので、ぜひご覧いただければと思います。


4.ドキュメント文化・仕様書は大事

リモートワークで開発に集中できる環境を作るには、対面で確認せずとも理解しやすい完成度の高い仕様書が欠かせないと思います。

開局当初、AbemaTVではスケジュール最優先で開発を推し進めていたこともあって、ドキュメント整備が十分でないことが以前より課題として挙がっていました。

(参考:『「開発力倍増会議」――AbemaTV開局1周年を目前に、継続的に成長できるチームを目指して』

そのためAbemaTVでは2017年6月から仕様書をディレクター同士でレビューし合い、しっかりと品質をチェックする体制を構築しました。この取り組みの詳細については開発ディレクター加納がブログにまとめていますので、ぜひご覧ください。

また、リモートワークでの情報共有はしばしば問題に上がります。これを解決するためには組織のリーダーが積極的にオンラインでの情報共有を率先して実施することが大事だと思っています。実際に、私自身が「ペーパーレス」「議事録共有」などを率先して実施することで「ドキュメント文化」が機能してきました。


5.明確なミッション設定

先日のエントリー「目標を機能させて技術者のコミットメントを最大限引き出すために、AbemaTVではじめたこと」に詳しくまとめましたが、今年5月に目標設定・評価システムを刷新しました。AbemaTV開発局では「世界に通用する開発チームを創る」というビジョンを掲げていますが、チーム強化のためには様々な価値観やバックグラウンドを持ったメンバーの挑戦を尊重しやる気を引き出す目標設定・評価システムが必要と感じたからです。

そしてこれらはリモートワークにも役立っています。3ヶ月に一度組織OKRを決め、それに基いて個人のミッションを設定します。その後2週間に一度のSprint計画MTGで開発の中身を決めていくことで、それぞれのミッションと日々の開発内容がしっかりリンクして事業成果に結びついている実感を持つことができるからです。

一人一人のミッションがしっかり設定されていて、それが周知されている状態が醸成されていれば、働く場所の違いでメンバーやマネージャーが不安に思う気持ちは大いに減ると思います。


6.性善説と最低限のルール

サイバーエージェントで様々な制度を実施していますが基本的には「性善説」に則って運用をしています。これは今回のリモートワークの制度においても同様です。

ただし、運用を実施していると意図しない使われ方をされてしまうことがありました。このため、いくつかの「最低限のルール」を追加しました。

そのいくつかを紹介すると

・リモートワークの利用申請は前日までに実施すること
・平日10時〜19時は、slackで連絡が取れる環境で働くこと

どのような制度でもそうですが、利用状況を定期的にチェックしてブラッシュアップしていくことが大事だと思っています。


7.「コミュニケーション」は大切

リモートワーク導入から約1年経ったこともあり、先日開発局ボード陣にリモートワークについてのアンケートをとりました。「通勤時間を有効活用できるので、 生産性の面でも健康面でも非常に助かる」「自分のペースで集中できるし、柔軟に働けてパフォーマンスがさらに上がった」とポジティブな意見を多くいただき、狙い通りの効果を得ることができました。

同時に、「対面」でのコミュニケーションの良さに改めて気づくことができました。

AbemaTV開発局のメンバーは皆仲が良いので、頻繁にチームメンバーでランチや飲み会に行っていますし、各チームで自主的に社内勉強会も開催してくれているのでありがたいです。ランチや飲み会でのコミュニケーションの重要性もこれまで以上に感じています。


写真:17新卒エンジニアの歓迎会


写真:昇格祝い会食


写真:四半期に一度開催している全体懇親会


さいごに

この1年間リモートワークを導入してみて、気をつけるべき点や実際に改善した点をまとめてみました。

実際にリモートワークを導入して感じることは、「対面」での良さと「リモートワーク」での良さをそれぞれ理解することができたことでした。チームとしてうまく活用することでチームのパフォーマンスは必ず向上すると思います。

サイバーエージェント社内でも「リモートワークって実際うまく機能しますか?」といった質問を受けることが多くあります。今回のエントリーを通して何かの参考になれば幸いです。

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