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「AIの民主化」をカタチにする。若きCTOの思い。

22歳という若さで長島とTechSwordを共同創業し、CTOを務める宮本大輝。そんな彼が率いるエンジニア組織とはどんな組織で、どんな未来を目指しているのか取材しました。

−まず、起業に至るまでの背景を聞かせてください。

大きく2つありまして、1つが大学3年生で行った、アメリカでの研究インターンシップ経験です。工場作業員の支援をARゴーグルで行うシステムの立ち上げに参加し、そこで画像認識部分を1人で担いました。具体的には、Blenderでネジやナットなどの3Dモデルを再現し、レンダリングによりアノテーションデータを自動生成、そのデータに対してSSD-MobilenetやFaster R-CNNなど様々な物体検出を施し、評価を行っていました。このことを皮切りにPythonに初めて触れ、TensorFlowに触れ、この世界へのめり込んでいきました。

もう1つがSORACOMでのインターンシップです。大学4年生の時に夏季インターンシップに参加し、IoTを用いたシステム開発を2週間で行うハッカソンを行いました。そこでありがたいことに、本来なかったはずの審査員特別賞を受賞させていただきました。その後、SORACOMの松下さんからスキルを認めて頂き、SORACOMのサービスを使ったソリューションを考えて実装し、IoTレシピという形で公開するお仕事にインターンとして半年間従事しました。

高校生の時から漠然と起業というものには憧れがあったのですが、エンジニアとしての経験を積むうちに「CTOという立場で会社を牽引していきたい。」という思いが芽生えてきました。

そんな折、後の代表となる長島と出会い、意気投合して起業に至ったというような経緯になります。

−エンジニア組織の構成を具体的に教えてください。

現在開発に携わっているのは私とインターン3名です。3名は他社でのインターン経験こそないものの、コンピュータサイエンスに関する幅広い知識を持っています。私は元々AWSの利用経験があったのですが、現メンバーは参画時にはAWSの経験はありませんでした。ですが、私が考えたアーキテクチャを元にどんどん実装し、ノウハウを素早く吸収・アウトプットのできるメンバーが集まっています。

私と代表の長島が東京におり、他のメンバーは岡山大学の学生であるという兼ね合いもあって、業務は非同期のフルリモートで行っております。基本的にNotionでタスク管理、Slackによる連絡を行っています。人によって都合があったりパフォーマンスの出る時間も違うので、各自が働きやすい時間帯での開発を行っています。

−AIを活用したプロダクトを現役学生ながらに作成できたのは、メンバーの技術力の賜物でしょうか。

その自負はあります。「学生ながら」なんて前置詞は関係なく、私がリードし、それに追随してくれるメンバーがいるチームである、という自信があります。エンジニアが新しい職場を選ぶにあたって「成長できる環境であるか?」はとても重要な要素だと思っています。現時点で優秀なメンバーが集まってくれているからこそ、共に成長し合える方を新しい仲間として迎え入れたいです。

−宮本さん以外のメンバーも、エンジニアとしての技術・背景を持っているのでしょうか。

メンバーの主な研究は情報セキュリティ関連ですが、ディープラーニングを用いてサイドチャネル波形(ハードウェアから漏れ出るノイズ)の解析を試みる研究を行っている方や、個人でRaspbery Piを用いてアプリケーションを制作している方など、各々TechSwordの技術に関連する研究・開発を行っていました。

−HPやTechSword Platformなどの洗練されたデザインは、全て宮本さん考案でしょうか。

創業後の7月に参画し、大学卒業までの期間開発に携わっていたメンバーの力が大きいです。現在彼は他のベンチャー企業に所属していますが、コーディングもデザインもできるメンバーだったため、卒業時点で彼がデザインとフロントエンド開発の約9割を担当してくれました。

私自身もデザインについては昔から学んでおり、HPのデザインや資料デザインなどは私が担当しています。根幹であるAIのみならず、デザインにもこだわることで、いつかグッドデザイン賞を受賞したいと思っています。

−今後、御社に参画される方に向けて、技術的強みや醍醐味を教えてください。

一言で言いますと、総合力です。IoTは往々にして「テクノロジーの総合格闘技」と称されることがあります。弊社はAIを起点にそのIoTが絡んでおり、IoTもAIもエッジもクラウドも用いているという、技術の幅広さこそが強みであり面白さだと考えています。

エッジAI分野は数年前から注目されつつあるのですが、あまり浸透していません。私の周りのエンジニアですら、NVIDIA Jetsonを知らない方も多いです。いつか数百社、数千社へ、Jetsonを数千台、数万台導入していくことで社会インフラの1つともなり得る、そんな醍醐味があります。

▼TechSword Platformのアーキテクチャ


−「クラウド」AIでなくなぜ「エッジ」AIを使うのか、エッジの良さや理由を教えていただけますか。

「なぜエッジか?」に対する回答として「ユーザビリティ」の観点と「機能」の観点があります。

「ユーザビリティ」の観点では、「エッジデバイスを使うことでAI導入が手軽になる」ということが言えます。AIどころかITに抵抗があるお客様にAIを使っていただくにあたって、クラウドの場合、「推論用のエンドポイントがあり、そこに対して画像をBase64で…」などと言われるとさっぱりだと思います。かといって、その辺りを全てこちらで作ってしまうと受託と同じになってしまいます。そこを取り払うために、エッジデバイスを購入し、簡単なセットアップを行い、電源・カメラを接続し、Web上からデプロイ、といった手軽さを実現するためにエッジAIを利用しております。

「機能」の観点では、1つがデバイス上で処理することで通信にかかる時間を削減でき、レスポンスの速さを実現できるということ。もう1つがGPIOやイーサネットのポートを経由して、何かを検知した瞬間に信号を送ることができるので、即座に次のアクションを起こすことができるということ、この2点がエッジの利点です。


▼TechSword Platformの推論基盤として用いているNVIDIA Jetsonシリーズ。両手に乗るほどの小型デバイスでディープラーニングモデルを動かすための様々な工夫を行っている。


−最後に、CTOとしての今後のビジョンについて教えていただけますか。

「すべての人に、AIを。」を主軸に、TechSwordの現メンバーが「創業初期のメンバーでした」というだけで箔が付くような会社にしたいと思っています。

そのためにも我々としてはエッジAIを基軸に技術力を上げることが必要と考えており、私を中心に研究をしつつ、UIやデバイスの使いやすさを追求し、「NVIDIA Jetsonと言えばTechSword」というような会社にしたいです。

そのためにはスキルだけでなく、高い学習能力を持つメンバーが必要です。TechSwordメンバーとして一緒にやっていきたいという気持ちと、データサイエンスやコンピュータに関する基礎知識さえあれば、フレームワークなどのドメイン知識・スキルは後から身に付くものと考えています。ビジョンや私の思いに共感してくださり、私と共にやっていきたいと思ってくださるエンジニアに参画していただきたいです。

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