TOMOO OFFICIAL FANCLUB『YOU YOU』が リニューアル&アプリも同時リリース!
ファンエンゲージメントプラットフォーム「FAM」の企画・開発・運用を手掛ける株式会社Nagisa (本社:東京...
https://nagisa-inc.jp/news_release/20250522/3547
MBOを実施してから3年が経ちました。
株式会社Nagisa代表の横山です。創業した2010年以降、スマートフォンアプリが一気に普及したマーケットで100以上の新規サービスを立ち上げ、累計5,000万DL以上の実績をつくってきました。その僕らが2020年にメディアドゥ社へのグループジョイン後に立ち上げたのが、ファンダムインフラ「FAM」です。
全くこれまでとは違うマーケットで新しいサービスを立ち上げた後、MBOという選択をしました。正直に言うと、MBO直後は「本当にこの判断は正しかったのか」と何度も自分に問い続けていました。あの時は、事業を前に進めているというより、「止まったら終わるから走り続けている」ぐらい気持ちに余裕がなかった。組織、プロダクト、資金繰り等のすべてが同時に重くのしかかり、灼熱の砂漠を身一つで走り続けるような、想像をはるかに超える困難の連続でした。それでも今振り返ると、MBOを選んで本当に良かったと、心の底から思っています。
僕らのこれまで、そしてこれからのチャレンジをまとめていたら、気づけば止まらなくなり、とても長い記事になりました。もし少しでも興味を持っていただけたら、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
FAMによって開設されたファンクラブは、この3年間で約300サイトまで広がり、事務所、レーベルの方々を含めた取引先数は150社以上となりました。
ファンダムの現場では、プロダクトが良いだけでは事業は回りません。プロダクトとして成立していること、いわゆる「PMF(Product Market Fit)」はもちろん重要です。しかしそれだけではファンダムは継続しません。実際に運営が回り、施策が回り、ファンと向き合い続けられる体制まで含めて成立していること。僕らはそれを「SMF(Support Market Fit)」と呼んでいます。その前提に立ち、FAMの企画、開発、運営、CSにとどまらず、チケット、EC、イベント、グッズ、ライブ配信、PPVなど、リアルからデジタルまでを横断し、一気通貫で支援しています。
その施策実行数は年間約500件にも及びます。
こうした現場に深く入り込む運営を通じて、アーティスト、担当者のみなさんの顔が見え、直接対話できる関係を構築することは非常に重要です。こうした現場の知見は、ファンの行動や熱量に関するデータとノウハウとともに、次の施策や新たな機能開発、新規事業にも還元されていきます。
こうした取り組みの結果、MBO以降、売上は前年対比で毎年約2倍の成長を継続しており、5ヵ年の中期経営計画で想定していた成長曲線を上回るペースで事業を拡大しています。
約300のファンクラブにおける経済活動を通じて、事務所やレーベルの方々と日々向き合う中で、僕らが強く実感しているのは、いわゆる推し活が一過性のブームではなく、明確に産業として成立し、今も拡大を続けているという事実です。ファンのみなさんが日常的にコンテンツに触れ、体験に参加し、継続的に応援する行動は、もはや特別なものではなく、生活そのものになってきていると感じます。
こうした実感は、僕らだけの感覚ではありません。全国の15歳〜69歳を対象に実施された調査では、推し活とみなされる支出を合算した市場規模が約3.9兆円に達すると推計されています。この調査では、対象者の約3人に1人が「推し」を持ち、そのうち約7割が実際にお金を使っているという実態をもとに算出されており、ファン活動がすでに無視できない経済圏を形成していることが示されています。
さらに、博報堂生活総合研究所のオシノミクスレポートでは、推し活を行う人々の時間とお金の使い方において一般的な生活者と明確に異なる行動特性を持つことが示されています。推し活層は可処分時間の約38.8%、可処分所得の約37.4%を推し活に充てています。特に若年層ではその傾向が顕著で、10代女性では、可処分時間、可処分所得ともに約50%以上が推し活に使われているという結果も示されています。
こうしたデータは、推し活が一部の熱狂的な層による一過性の消費ではなく、若い世代を中心に生活の中に組み込まれた、継続性の高い行動であることを示唆しています。若年層ほど投下する時間とお金の比率が高いという事実は、今後世代が上がるにつれて、推し活を起点とした消費がさらに拡大していく可能性を強く示しています。
こうした大きな変化を単なる市場拡大としてではなく、ファンの行動が継続的に蓄積されていくファンデータの価値として捉えています。このデータと向き合うことが、次の10年のファンダムを形づくる基盤になると考えています。
FAMで、これから僕らが非連続な挑戦を通じて実現したいのは、ファンダムの次の10年をつくることです。
ファンの熱狂を、アーティストの力に。事務所やレーベルの資産に。
タレントやアーティストを育てたい、支えたいというファンの主体的な想いを、より大きな推進力に変え、事務所やレーベルの方々が日本にとどまらず、世界へ挑戦し続けられる共創エンジンでありたい。
この数年、国内外のエンタメ市場を見ていて強く感じるのは、日本のファンダム文化は、世界的に見てもかなり進んだ位置にあるということです。ファンがコンテンツを一方的に受け取るのではなく、アーティストの方々と長期的な関係性を築き、自分の意思で時間やエネルギーを預け、活動そのものを支えていく。この在り方は、日本では自然に根づいてきましたが、今あらためて大きな価値を持ち始めています。
かつては、日本のやり方は独自すぎる、あるいは特殊だと見られることもありました。しかし今は、コアなファンとどう向き合い、どう事業として成立させるのかという問いに対して、日本のファンダムそのものが、一つの答えを創れるフェーズに入ってきていると感じています。
FAMは、この日本で培われてきたファンダムの力を、経験や感覚、属人性のままにせず、データと構造によって持続成長可能な形に変換するためのインフラを目指しています。
その先に、日本発のエンタメが新しい文化を生み出し、世界をアップデートし続けていく未来がある。僕らは、その可能性に本気で賭けています。
FAMはファンクラブをノーコードで無料開設できるサービスです。ただし、僕らが本当に提供したいのは、ファンクラブを作れること自体ではありません。
今、ファンダムの現場で起きているのは「熱量の分断」です。チケット、グッズ、オンラインくじ、ライブ配信、当日物販のPOS――ファン向けのサービスが、それぞれ異なる仕組み、異なる事業者によってバラバラに管理されている。その結果、「誰が、どの接点に、どれくらいの時間とお金を使ってきたのか」を横断的に把握できない状態が続いています。
運営側においては、施策ごとに管理方法が異なり、数値の突き合わせも関係者との調整も人に依存する。現場の工数は膨らみ、本来向き合うべきアーティストやファンの方々と向き合う時間が削られていく。
そして、この分断がもたらす最も残酷な矛盾は、ファン側にも生まれます。どれだけ熱心に応援しても、その熱量がどこにも蓄積されず、アーティストとの距離が縮まらない。 情報や機能がバラバラに点在しているせいで「どこで何をすればいいのか」という迷いが生まれる。ファンの情熱も、推し活に割ける時間も、無限ではないのです。
本来、ファンダムとは接点同士が相互に結びつき、時間をかけて関係性が積み上がっていく構造のはずです。ID、決済、チケット、EC、配信、イベント――それぞれは独立した機能ではなく、一人のファンの連続した熱量のなのです。
しかし今は、その熱量が分断されている。
FAMが目指しているのは、この分断をファンデータで繋ぎ直し、時間軸まで含めた構造として回る状態に変えていくことです。今日の売上や単発の施策ではなく、「誰が、いつ、どんな形で応援してきたのか」という履歴が自然に積み上がる状態をつくること。
熱量を管理するのではなく、熱量が積み上がる構造をつくる。
そのために僕らは、単なる機能のパッケージではなく、現場に入り込み、施策を設計し、アーティストや事務所の方々ごとの世界観に合わせてカスタマイズをしています。
ファンダムは、デジタルとリアルが分断された瞬間に弱くなる。だからこそ、僕らはその間を繋ぐ。両者が連動して初めて、熱量は増幅していくのです。
重要な意思決定や施策を考えるとき、自然とFAMを通すことが前提になる。そこまで入り込んで初めて、ファンダムを支えるインフラになる。
業務を構造化することで生産性を高め、その余力を、アーティストやタレントの方々がそれぞれの目指したい世界観に合わせた挑戦に注ぎ込めるようにする。機能を提供するのではなく、ファンダムの構造そのものを一緒につくっていく。それが、FAMの思想です。
ファンビジネスで本当に重要なのは、ファンの数をただ増やすことではありません。スーパーファン――日常的にコンテンツに触れ、ライブ、配信、コミュニティ、グッズと複数の接点を横断しながら関わり続ける、熱量の高いファン。この存在との関係性を、いかに丁寧に積み重ねていけるかが鍵です。
スーパーファンは、ただ応援し続ける人ではありません。自らの体験を語り、共有し、周囲を巻き込み、新しいファンを呼び込んでいく。ファンダムを「育てる側」に回る存在です。だからこそ僕らは、スーパーファンとの関係性を偶発的なものに委ねず、日々の接点と体験を通じて持続的に育てていく仕組みをつくりたい。
その先に、ファンとの接点から生まれる経済活動が積み重なり、業界全体のGMVが持続的に拡大していく未来がある。生産性の向上とGMVの最大化は、両立できると信じています。
FAMの設計思想は、2つのレイヤーで成り立っています
①Base Layer:ファンビジネスを成立させる土台
ファンクラブの開設、ID、決済、会員管理、購買・行動データを一元的に管理する基盤です。僕らがここでつくりたいのは、単なる会員リストではありません。「どのファンが、どの接点で、どのように関わってきたのか」という履歴が自然に蓄積され、勘や経験だけに頼らず、再現可能な運営へと変えていける状態です。
システムで効率化を突き詰めるのは、人間味を排するためではありません。むしろその逆で、無機質な業務をシステムが肩代わりするからこそ、人間は人間にしかできない熱狂の創出にリソースを注ぎ込めるようになる。Base Layerは、そのための土台です。さらに将来的には、ここに蓄積された文脈あるデータをAIに接続し、ファンの行動パターンや熱量の兆しを捉え、意思決定や業務生産性を底上げするAX(AI Transformation)にも繋げていきます。
②Application Layer:ファンデータを価値に変える実行レイヤー
Base Layerの上で、EC、チケット、オンラインくじ、ライブ配信、メッセージング、音楽・動画配信など、ファンとの接点を設計し、体験と収益を積み上げていくレイヤーです。ポイントは、これらをデジタルに閉じていないこと。リアルなグッズやイベントも同じレイヤーの一部として捉えています。ファンダムの主役はあくまで人と人との関係性であり、その多くはリアルな体験の中で育まれるからです。
バラバラだったデジタルとリアルの体験を、ファンデータを軸に一つに編み直す。そうすることで、スーパーファンがその熱量にふさわしい特別な体験を受け取れる状態をつくり、同時にあらゆる施策を柔軟に実行できる世界観が生まれます。
この2つのレイヤーで蓄積したデータ、ノウハウ、そして関係各所との信頼を武器に、僕らはファンダムという概念そのものを拡張し、推し活市場において、競争のない新たな市場を非連続に創り出していきます。
Nagisa company deckより抜粋
僕らがFAMを通じて目指したい姿を一言で表すなら、推し活市場におけるユニクロのような存在です。
ユニクロは服を「ファッション」ではなく「究極の普段着」として再定義し、LifeWearという思想で、まだ誰も言語化できていなかった価値を社会に実装してきました。ヒートテックもウルトラライトダウンも、流行を追って生まれた商品ではありません。「本当に必要だが、まだ存在しない価値」を自ら定義し、圧倒的な品質と規模で届ける。このスーパープロダクトアウトの姿勢が、競争のないブルーオーシャンを連続的に生み出してきた源泉です。
そしてユニクロの本質は、自ら提唱する「情報製造小売業」という言葉に凝縮されています。店舗での一次情報、ECの行動データ、カスタマーサポートに届く生活者の違和感。あらゆる接点から得た情報を起点に価値を設計し、商品を生み出し、その商品がまた新たな情報を生む。情報 → 商品 → 体験 → さらに深い情報という循環を、製造から小売まで一気通貫で回し続けられる構造こそが、ユニクロの本当の強さです。
FAMが目指しているのも、まさにこの構造です。
ファンクラブからは、ファンの熱量や行動データが日々蓄積されていく。営業チームや運営チームは現場でアーティストや担当者の方々と顔を合わせ、声を聞いて回る。CSにはファンの生の声が届き、新機能をリリースすればXでエゴサーチして反応を追いかける。そこから得られるのは、机上のデータではなく、「どんな体験がファンの熱量を高めるのか」「どんな設計がスーパーファンを生み出すのか」という、生きた知見です。
この知見と、スマートフォン黎明期から100個以上のサービスを内製で立ち上げてきたNagisaの新規事業開発力を掛け合わせて、まだ世の中に存在しない体験やプロダクトを非連続的に生み出していきます。デジタルとリアルを掛け合わせたIoTサービス、「推し再生」とも呼べる新たな音楽文化、ファンダム文脈から生まれるリアルな商品の発明――すでにいくつものプロジェクトが目まぐるしく、同時進行で動いています。
ユニクロがLifeWearを掲げて巨大なアパレル市場で成し遂げたことを、僕らはファンダムの世界で必ず実現します。
スマホの中を見渡すと、日本で生まれたサービスは驚くほど少なくなりました。世界でつくられたプロダクトに囲まれて生きること自体は、悪いことではありません。それでも、日本発で世界を揺らすようなサービスが減っている現状に、僕は寂しさと悔しさを強く感じています。
ただ、ファンダムに関しては話が違う。この領域には、まだ日本が世界に勝てる余地が、確かに残されている考えています。
エンタメビジネスに関わっていると、世の中の空気が一瞬で変わる、「魔法がかかる瞬間」が確かに存在します。うまく言葉にはできないけれど、驚くべき何かが起きる。その瞬間に人が動き、熱量が生まれ、物語が走り出す。これがエンタメの面白さの一つだと思います。
振り返ると、これまで何度もそんな「魔法がかかる瞬間」に立ち会ってきました。プロダクトをリリースした途端、ローンチ前のサービスLPが想像を超えて拡散され、数十万人が一気に押し寄せたこと。特別な広告や大きな仕掛けを打ったわけでもないのに、Xで自然発生的にバズが生まれ、トレンド1位になったこと。プロモーションをほとんど行わずに、毎月200万DLされるアプリ群が生まれたこと。
これら全てに共通しているのは、つくる側である僕ら自身がどれだけ本気で熱狂していたか、そして飽くなき好奇心と探究心を持って、より多くの人に高い価値を届けようとしていたか、という点だと思っています。僕らなりの仮説を立て、まだ世の中にない面白さを信じて、手を動かし、絶え間ない努力の結果として、あの瞬間が生まれたんだと思います。
これからも、ファンダムの未来をすでにある正解に当てはめるのではなく、一緒に想像し、一緒に熱狂しながら、新しい体験を生み出していく。そのプロセス自体に人が惹かれ、結果として仲間が増えていく。エンタメだからこそ、合理性だけで終わらせず、「これは面白そう」と思ってもらえる余白を大事にしたいと思っています。
再現性は事業成長を続けていく上で必要。でも、再現できない瞬間こそが、エンタメを特別なものにする。
ファンダムに、もう一度魔法がかかる瞬間をつくり、アーティストのみなさんをまだ見ぬステージへ送り出したい。そのために、僕ら自身が一番ワクワクし続ける存在でいたい。そう考えながら、次の挑戦に向かっています。
この3年間、がむしゃらにやってきた中で、僕らを信じ、大切なファンクラブを預けてくださった関係各社のみなさんには本当に感謝をしています。ありがとうございます。
僕らがFAMを通じて向き合っているのは、来たる次の10年を見据え、ファンダムという領域を、勘や経験、そして現場で培われてきた属人性を大切にしながらも、それらに頼りきるのではなく、データと構造、そして非連続な事業の立ち上げによって持続的に成長する産業へと進化させていくことです。
そのためには、僕らだけで完結することはできません。タレント、アーティスト、事務所、レーベルの方々はもちろん、テクノロジー、クリエイティブ、リアルな現場に向き合ってきたみなさんと、一緒に挑戦していく必要があります。ファンダムの現場には、インターネットや表層的なデジタル施策だけでは解けない、リアルで複雑な課題が山のようにあります。だからこそ、ソフトウェアやデータ、プロダクトに加えて、今後はAIの力を、現場と接続させながら活用していきます。
推し活やファンダムに可能性を感じている方、デジタルとリアルの間にある課題を本気で解きたい方、「もっと面白い形があるはずだ」と感じている方がいれば、ぜひ一度お話ししましょう。パートナーとしても、未来を共につくる仲間としても歓迎します。
ファンダムの体験価値を形づくる要素は、リアルな体験の場やテクノロジー、AIなど数多くあります。でも、最後に価値を生み出すのは「人」だと僕らは信じています。だからこそ、ハードやシステムを整えるのは目的ではなく、人が最大限に活躍できる土台をつくるため。その上で動く人の熱量こそが、ファンダムを本当に強くする。
ファンダムには、まだ世の中に実装されていない価値が無数に眠っています。僕らはその価値に魔法をかけ、非連続な挑戦を通じて、ファンダムを文化として、産業として、次のステージへ引き上げていく。FAMとともに、次の10年のファンダムをつくりましょう。