【Essen Interview #1】移動で未来を創発する - モビリティとAIで社会変革を。Essenが目指す未来の姿とは
目次
創業のきっかけは日本一周
未来の科学者養成プログラムに採択される
AI×人流データで効果測定が可能に
プロスポーツチームとコラボ
「モビリティ」×「広告」だけでは終わらない
株式会社Essenは「乗用車に広告を掲載したい企業」と「自分の車に広告を掲載したい方」をマッチングする広告プラットフォーム”WithDrive”を展開しています。
『Be Smart Tokyo』において京王自動車、unerry、京王電鉄と連携し、「地域密着型車両メディア」でスマートサービスを実装!イオンタウン新店舗Openにおける広告キャンペーンを行うなどサービス拡大を続けており、直近ではEast Ventures/GMO NIKKO/global brain/新韓銀行/ベクトル等、資金調達を実施して拡大を続けるモビリティ領域で頭角を表しています。
今回は代表・橘 健吾氏にインタビューを実施させていただき、同社の創業のきっかけや橘氏のパーソナリティ、そしてこれからの展望についてお伺いさせていただきました。
創業のきっかけは日本一周
東北大学を卒業後、東京大学大学院 天文学専攻 博士課程生として現役で在籍している橘氏。
日本中を車で巡りながら、大学院を受験するため勉学に励む中、スポンサー付き自転車を道の駅で発見ー。
「移動が広告としての価値になるのでは?」
このことから着想を得て、早速クラウドファンディングを実施してサービス立ち上げを試みます。
しかし、その当時はモビリティ広告としての定量化(効果測定)に説得力もなく、思うように出資が集まらず、そのアイデアは実現には至らずとなってしまいます。
その後、現在在籍する大学院への進学が決まり、天文物理学の研究を進める中で、データ解析技術の習得や仲間との出会いを経て、当時の原体験「移動が価値」を生み出すことに再挑戦!
2021年に株式会社Essenとして設立、サービスのローンチも果たすことになります。
未来の科学者養成プログラムに採択される
現在はモビリティテック企業を経営する橘氏ですが、実はこれまでの専門は「天文学」。
中学・高校時代から「宇宙」に興味を持ち始め、未来の科学者養成プログラムにも採択された経験を持つ橘氏。
元々のきっかけは母親の影響でSFに関心を持ったところから始まります。(ノストラダムスの大予言などが好きだったよう)
高校時代にはスーパーサイエンスハイスクールに指定されている理数科に在籍し、課外授業の一環で高校と大学の指導のもと研究を続けていたと言います。
そして、東京大学大学院では論文も発表しており、テーマは「長周期漸近巨星分枝星について」。
中間赤外線領域の長期データ(4年分)を調査した結果、変光振幅が大きい星ほど多くのダストを形成していることが明らかになりました。この新たな発見は、変光とダスト形成量の相関を示しており、ダスト形成過程の詳細や宇宙における物質進化の解明、物質供給の研究に貢献する重要な手がかりとなることを発見したとのこと。(https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/8391/)
AI×人流データで効果測定が可能に
本来、設置した広告が何回見られたのかを把握することが難しく、費用対効果を算出できず、広告としての効果測定が非常に難しいと言われていた車両屋外広告。
同社では広告をラッピングした車両の走行データと膨大な人流データをAIによって分析し、広告効果を可視化していることが事業としての競争優位となっています。
車両に貼り付けた広告が閲覧される確率をAIによって算出することで、広告が閲覧された場所と回数を統計的に可視化。これにより、広告掲示場所を限定せず、費用対効果の評価が可能となる車両屋外広告の運用が実現しています。
実は大学院に進学したことが同社の発展に大きく影響しており、前述した通り、星の明るさの変化の解析を行なっていたため、むしろ人のログデータは属性データなどとセットで分析は行いやすいと語ります。
プロスポーツチームとコラボ
”WithDrive”のサービス拡大をきっかけにB.LEAGUEに所属する群馬クレインサンダーズ様や、プロサッカーチームでJ1に所属する川崎フロンターレ様と川崎市市制100周年記念のステッカープロジェクトなどを発足させました。
本プロジェクトの反響はSNS上では写真を撮る方や喜びの声が多数寄せられるなど、非常に大きく、自家用車に広告を掲載したいファンの方々からの問い合わせが殺到しました。
プロスポーツチームとのコラボは、“移動”の価値を直感的に感じてもらえる好例です。B.LEAGUEの群馬クレインサンダーズ様やJ1の川崎フロンターレ様との取り組みは、ファンの皆さんが自発的にSNSで盛り上がり、自家用車への広告掲載希望が殺到するなど、新たなファンエンゲージメントを生み出しました。こうした反響は、モビリティを軸にした新しいコミュニケーションの可能性を強く示していると考えています。
「モビリティ」×「広告」だけでは終わらない
同社のサービスの核となるのは「モビリティ」×「広告」事業。
一方、この事業だけでは終わらない、と橘氏は語ります。
モビリティ広告領域でのスケールを実現した後、道路異常検知、地理情報の作成、EV・安全運転推進、車両誘導による渋滞解消など、「移動することで得ることができるデータ」を基に、更なる価値を生み出すことに挑戦したいとのこと。
私たちは、モビリティ由来の多様なデータを組み合わせ、その“創発”から新たな価値を生み出そうとしています。クルマやバスだけでなく、ドローンや人の動きといった、あらゆる移動の軌跡や利用者行動、道路状況、位置情報を掛け合わせることで、単なる交通広告ビジネスを超え、たとえば渋滞対策やEVインフラ最適化といった、これまで困難だった課題を解決するヒントが得られると考えています。この新たな発想が、人々の移動体験を一段上の次元へ引き上げ、人間が持つ移動の可能性を大きく広げていくと信じています。