AIが急速に普及するなかで、企業の情報発信や業務のあり方が大きく変化しています。
しかし、AIがどれだけ進化しても「人の想い」や「信頼の積み重ね」を代替することはできません。
人にしかできないコミュニケーションの価値はどこにあるのか。
昨年初開催となったワンパク主催のイベント『Wジュンヤの部屋 #01』では、株式会社タカラトミーメディア戦略室 室長の木村貴幸氏とOriginals&Co.代表の中根志功氏をゲストに迎え、ワンパク代表の阿部淳也ともに、『AI時代も変わらない、本質を見失わない企業コミュニケーションとは』をテーマに、組織課題から個人の課題まで、これからの時代に求められる“企業コミュニケーションの在り方”について、約20名の参加者を前に語り合いました。
聞き手は、ワンパク グロース・パートナーの田中準也氏が務めました。
AIで「便利になったこと」と「できないこと」
まず、木村氏からタカラトミーにおけるAI導入の実例が紹介されました。
タカラトミーではMicrosoft CopilotやChatGPTなどのAIツールをオフィシャルで導入し、900名のスタッフにアカウントを配布。会議の議事録作成、人事マニュアルの自動化、商品データベースの検索システム構築など、日々の業務効率化に大きく寄与しているとのこと。
一方で、「おもちゃの0→1を生み出す創造の瞬間は、人間の感性なしでは成立しない」と木村氏。子どもの“ワクワク“をつくる企画や意思決定は、AIには担えない領域だといいます。
AIの進化を冷静に見つめ、「得意な領域」と「人がやるべき領域」を切り分ける取り組みが印象的でした。
株式会社タカラトミーメディア戦略室 室長 木村 貴幸氏
AIが支える現場力。人の想いを軸にオペレーションを最適化
中根氏からは、現在経営するラーメン店でのAI活用が紹介されました。
外国人スタッフの多い店舗では、ブランドのMVV(Mission・Vision・Value)と具体的なオペレーション情報を組み合わせて“多言語対応の接客マニュアル”をAIで作成し、外国人観光客に対しても細やかなサービスを提供することで、Googleのレビューで4.8という高評価を獲得。
「AIにMVVを学習させ、人の想いを軸にオペレーションを最適化する」
中根氏の事例は、AIが“代わりに考える“のではなく、“共に支える“存在であることを示しているように感じます。
さらに中根氏は、「AIにブランド独自のデータを学習させることこそが、価値提供につながる」と語りました。
マニュアルや接客ノウハウといった日々のオペレーション情報をブランドの理念と結びつけることで、単なる効率化にとどまらず、ブランドの価値や世界観を一貫して届けられる仕組みが生まれるといいます。
また、全社的なAI導入においては、個別最適に陥らないためのガイドライン整備や横断的な運用設計の重要性についても意見が交わされました。
Originals&Co.代表 中根 志功氏
AI時代における企業サイトの重要性
分散型メディア時代においても、企業の公式サイトが不可欠であると話す阿部氏は「正確な情報を発信できる唯一の場所として企業サイトの価値が高まっている」と述べました。
SNS上のなりすましやフェイク情報が増えるなか、一次情報を正確に発信できるのは、企業自身のオウンドメディア。AIが検索結果を生成する時代においては、「情報が構造化された信頼できるコンテンツ」こそがAIに理解される情報になると指摘。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)というSEOの基本原則は、AI時代にも変わらない“コンテンツの本質“であることが再確認されました。
人材育成と「リアル」の価値
議事録をAIに任せることの是非については、活発な議論が交わされました。
阿部氏は「AIに任せすぎると、新人の“要約力”や“構造化思考”を育てる機会を奪う」と指摘。効率化の裏で、人材育成の機会をどう確保するかが課題となります。
一方で、AIを「壁打ち相手」として使うことで、多角的な視点を養うツールにもなり得るという前向きな意見も。「AIが進化するほど、リアルな対話やコミュニティの価値が上がる」。この共通認識が、登壇者全員の言葉から感じ取れました。
株式会社ワンパク 代表取締役社長 阿部 淳也氏
AI時代の“本質”を見失わないために
AIが進化しても、信頼は対話から生まれる。それを体現するように、イベント後の懇親会では、
登壇者と参加者が熱い議論を交わしました。
「AIにできないこと」ではなく、「AIと人がどう共に成長できるか」。今回のセミナーは、参加者一人ひとりが“AI時代のコミュニケーションの本質”を再考する有意義な時間となりました。
今回の記事では、イベントの一部をピックアップしてお届けしましたが、実際の現場では、ここでは伝えきれないほどの気づきや議論が交わされました。
次回はぜひ、会場で直接この熱量を感じてみてください!