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きぬた歯科の広告戦略は「命がけ」と「熟成」である ~企業マーケターが“圧倒的な成果”を出せない理由~

MarkeZine Day2024に参加しました。

いくつかの講演を拝聴しましたが、最も印象に残ったのが皆さんご存じの「きぬた歯科」でした。
撮影OK、SNS共有の講演でしたので、写真とともに共有します。

マーケターではなく経営者という、イベントの中では異色の存在でしたが、最もマーケティングの本質を捉えて成果を出している方だと感じ、個人的には一番刺さったセッションでした。

企業マーケターが“圧倒的な成果”を出せない理由

講演内容のまとめは、MarkeZineさんのオフィシャルで後日記事化されると思いますので、自分なりに印象に残ったポイントを消化して当記事に表現したいと思います。個人の解釈も入るため、一部正確な内容ではない点が含まれることをご容赦ください。

私なりにこの講演をまとめると「企業マーケターが“圧倒的な成果”を出せない理由」です。

①「命がけ」でやっていないから ~身銭を切っていない~

最も印象に残ったのは
「(宣伝広告について)自分のお金を使っているから、命がけでやる。だから成功する。」
という点でした。

きぬた院長は
「命がけだからと言って、悲壮感が出るのはNGですが、税金を払って残ったお金を投資している。」
「儲からないものに1円たりとも使ってはいけない」
とおっしゃっていました。

いち企業勤務のマーケターとしては、身につまされるお話でした。。
実際に自分のお金ではないので、どこまでその意識に迫れるか難しいところではありますが、
1円でも無駄にしない意識で、1円に対しても意味を込めて効果を追求する。そんな気概をもって、日々の業務にあたりたいな、と感じました。
(個人的には、あまり小さい金額にフォーカスをしすぎると逆におかしくなるので、あくまでも “気概” として捉えています。)

結局は熱量が大事で、数字やレポートばかり見たり作ったりしているだけではいつまでたってもダメ。
① 自分のお金ならやるか?
② 炎上を恐れずやり切る(→ 想定しておく、恐れてみんなに相談するとエッジがなくなる、賛否両論がある波と波がぶつかったときにヒットが生まれる)
ことが重要

※念のため、「命がけ」というのはあくまでも比喩で、身銭を切っているがゆえに、それだけ効果をシビアに求めて1円たりとも無駄にしないという気概で考え抜き実行すること、と私自身は捉えております。

②「熟成」を待てないから ~短期主義のジレンマ~

次に印象に残ったのは「長い年月をかけて熟成させる」という点です。

有名なきぬた歯科の看板施策も、四半期ベースで考えて元を取るのは不可能。
「長い年月をかけて熟成させる」考え方が大切。そのかいあって、今は看板数は変化しておらずむしろ減っているくらいだが売上は右肩上がりとのこと。

データばかりではなく「仮説」をみんなで立てて、試しにやってみて10年くらい熟成させてみることが大切。株も同じようなもので試しに買ってみて置いておく、と。

四半期ベースで成果を求められる上場企業や、特にWEBマーケティングなどは、どうしても短期主義に陥りがち。会社の評価も半年、1年といった短期でされるため、会社員にとってはなかなか難しいですね。
非上場オーナー社長の立場がゆえに、長期的に考えて勝負できるからこそとれる戦略であり、得られる果実なのかもしれません。

しかしながら、「熟成」は取り入れたい概念・エッセンスではあります。
ワインのように広告宣伝施策も熟成させよう。

なお、「中長期的に、、、」というと、時期性のあいまいさから、経営者や上司からは、ともすると成果に向き合うことからただ逃げているだけと思われるかもしれません。「熟成施策」を実施したいときはしっかりとコミュニケーションをとって、説明をする必要がありますね。

まとめ

当日、八王子にしかないきぬた歯科の広告を伊勢に大量出稿して話題となった事例などが紹介されていました。広告宣伝やマーケティングのセオリーから外れた、一見常識外れの施策ですが「命がけ」と「熟成」この2つの戦略軸で、本質的に突き詰めて考え抜くからこそ、極めて合理的で圧倒的な成果を生む広告宣伝施策に化けるのだと感じました。ただ真似するだけではNG。

その他

気になった点を所感を含めて。

・そもそも広告なんて、誰も見たくない 
→だからこそ、面白さやエンタメ性が重要なのだと思いました。
杉山恒太朗さんの著書でも、クレームが来るCMは「(本質的な意味で)面白くないから」という主旨の記載があったと記憶しています。ご自身がつくった有名なテレビCM『ピッカピカの一年生』はアンファンテリブルであることがポイントであると。

広告の仕事~広告と社会、希望について (光文社新書 1229) | 杉山 恒太郎 |本 | 通販 | Amazon

・1店舗でやっているのも戦略。大きい1店舗でやっているため利益・集客が最大化できる。多店舗展開はランニング・固定費が高くつき案外儲かっていない。20,30店舗やっていますというのはかっこいいが、かっこよく生きる必要はない。 →通常と逆の発想

・あくまでもベースがあった上での、話題化狙い。 →10年以上熟成させた看板広告があるからこそ、最近の話題化を狙った施策が活きてくる。ベースがなく話題化狙いだけならすぐに消える。

・看板施策は、はじめは他人に下品とか色々と言われたが覚悟をもってビビらずにやり切ったら、評価が逆転してきた。他人はしょせん自分の人生に責任を持ってくれない、恐れずにやってみること。 →評価の逆転については芸人で当てはめると、江頭さんや出川さんが良い事例でしょうか。


参考記事:

年間広告費は2.5億円!異端の歯科医院が看板広告を制するまでの波乱万丈ストーリー【前編】 (1/3):MarkeZine(マーケジン)

【きぬた歯科】ドライブ中によく見る“あの看板”はなぜあんなにたくさんあるの? 設置主を直撃! - CARSMEET WEB | 自動車情報サイト『LE VOLANT CARSMEET WEB(ル・ボラン カーズミート・ウェブ)』

きぬた歯科の広告戦略、専門的な分析はこちら
https://biz-journal.jp/company/post_358322.html


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