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人生100年時代、どう生きるか

グラットン教授のThe 100-Year Life(邦題はLIFE SHIFT)が話題だ。私は彼女の最初の著書WORK SHIFTにいたく感銘を受けて、日経や東洋経済で何度か対談をさせて貰っている。

彼女は、平均寿命が100年を突破する時代では「無形資産」(人脈・スキル・知識・評判・精神的/肉体的健康など)を貯めていくのが大事だと議論している。健康が大事なのは言わずもがなだが、次に大事なのは何か。私は、人脈、スキル/知識・評判の中では、圧倒的に人脈だと思う。

人脈をためていけ

スキルや知識の陳腐化のスピード(特に、パワポが使えるとかエクセルが使えるというハードスキル)は加速する。好きでやっていれば言われなくてもキャッチアップできるし、逆に今この瞬間凄くハードスキルがあっても、キャッチアップ能力がなければ3年後には化石になったりする。

それよりも圧倒的に大事なのは人脈だろう。企業の寿命が人間の寿命より短くなる世界において、社内の調整ができるスキルは陳腐化していく。マーケットに放り出された時に、ポータブルな「マイチーム」を持っているかが大事だ。それは、自分と同じビジョンやバリューがあり、違う強み(デザイン、エンジニアリング、企画、営業など)を持った仲間たちだ。評判は人脈にくっついてくる。

去年、AIで名刺管理できるWantedly Peopleをリリースしたのもそういう理由だ。絶好調でリリース5ヶ月で既に1300万枚の処理を突破している。

未来の経済の在り方

これからの社会が目指す方向は、最大多数の最大幸福ではなく、最多少数の最大幸福になっていくと思う。シェアリングエコノミー的な思想が本流になる時、世の中は半径1kmの商売をするロングテールな人たちと、その人達が使うプラットフォームやインフラを提供する圧倒的大企業/多国籍企業に分かれる。

圧倒的大企業で働く人達は結果的にグローバル人材と呼ばれる、NYやベルリン、ロンドンやシンガポールを東京と大阪を行き来する感覚で飛び回るような人たちになる。

残りのロングテールでこだわりのハイマージンのものを売ったり(フェアトレードで仕入れた豆をこだわりの製法で焙煎したコーヒーをスタバの2倍の値段で提供する、みたいな)自分のこだわりのスキルセットでアプリ制作や企画コンサルをするような個人事業主的な人たちは、大企業のように全てのバックオフィス機能を自前で用意する必要はなくなる。労務も財務も人事もECも決済もLPさえも、ほとんどどこかのプラットフォームを使って商売ができる。高単価xニッチ客数で決して凄く儲かるわけではないが、それはそれで納得感があって満足度の高い働き方だし、サステナブルな生き方だと思う。

弱い紐帯を活用する

ロングテールのビジネスを展開する人たちは、最初はオンラインサービスを使って疑似バックオフィスを作れていても、事業が例えば月商100万から1000万規模に育っていけば、様々な専門分野の知識が必要になってくる。デザインやプログラミング、経理、財務、採用、労務、マーケティング、ブランディング、挙げていけばキリがない。そして往往にして人は、自分の専門領域以外には疎いし人も知らない。なのでそこの扉をあけてくれる弱い紐帯が必要になる。

メインの人が100%のリソース、その他の人が20%ずつぐらいリソースをわけて貰ってチームを作っていくイメージだ。



これまでの「人脈づくり」との違い

人脈づくりといえば、胡散臭いイメージが結構ある。とにかく自分のクライアント候補 = リードを作りたくてネットワーキングイベントに出まくる人とかがそうだ。でも、ここでいう「人脈づくり」はリード作りではなく、「仲間作り」だ。

貯金をためる

弱い紐帯は、貯金関係にもあると思う。何かあった時に何か助けて貰いたいと思ったら(無論見返りを期待してはいけない。結果的に貯金がたまればいいな、ぐらいのスタンスがベスト)なるべくできる範囲で自分の弱い紐帯の人たちを助けていくべきだ。それも自分の選択と集中を外れるものを安請負していって自分が倒れてしまっては本末転倒なので、例えば人にメッセージ一本打つだけで相手を助けられるようなものは基本助けるべきだ。そのためにも、相手にとってavailableな位置にいるために、出会ったのであればそのつながりを記録し、アクティベートしていく必要がある。

名刺を貰って机の積んである人は、いますぐ整理して活用し始めた方がいい。この貯金が、人生100年時代を生き抜く武器になる。

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