私宛にスカウトメッセージを送る前に確認してほしいこと
この記事の目的
ありがたいことに、これまでにたくさんのスカウトメッセージを頂いております。
ただし、その中には面談を行う前から「自分の考えと合わない」と感じることが少なからずあります。
そこで本記事では、どんな企業のお話を聞きたいか予め表明することで、採用担当のみなさまにはスカウトメッセージを送る前の判断基準にしていただきたいです。
ひいては、スカウトメッセージをお送りするコストを節約することにも繋がると考えております。コストをかけてメッセージをお送りして、面談前に断る結果になると、私と採用担当のみなさまの双方とも得をしないので…。
目次
- 【メッセージを送る場合は必読】スカウトメッセージに書いて欲しい内容
- 面談をお願いしたい企業の特徴
- 面談を遠慮する可能性がある企業の特徴
- 面談を遠慮するパターン1. 今までのQA業務を肩代わりしたい、人員追加をしたいように見えるスカウト文面
- 面談を遠慮するパターン2.具体的な内容が書かれていないスカウト文面
- 面談を遠慮するパターン3.手段と目的が逆転しているスカウト文面
- 面談を遠慮するパターン4.QA戦略、テスト戦略・品質戦略が見えてこないスカウト文面
- おわりに
【メッセージを送る場合は必読】スカウトメッセージに書いて欲しい内容
スカウトメッセージには、下記の3点の質問に答える形式でメッセージをいただきますよう、お願いいたします。
- 【質問1】なぜ私にスカウトメッセージをお送りしていただいたのか、私のスキルや考えのどのような部分が御社の文化と合うのか?
- 【質問2】現状、発生しているトラブルや困りごとは何か?
- 【質問3】現状考えているテスト戦略、QA戦略は何か?
これらの質問にお答えいただいていない場合、そのまま返信せずスルーさせていただく可能性があります。
それぞれの質問に対して、期待していない回答についても下記に記載します。
【質問1】なぜ私にスカウトメッセージをお送りしていただいたのか、なぜ私のスキルや考えが御社の文化と合うのか
- 「弊社が求めている人材とマッチしている」だと、具体性が無く分かりません
- どのような部分が、御社のどんな文化とマッチしたとお考えなのか教えてください
- 詳しくは後述の「面談を遠慮するパターン2.具体的な内容が書かれていないスカウト文面」をご覧ください
【質問2】現状、発生しているトラブルや困りごとは何か?
- 「QAチームがない」「QAをお任せできる人がいない」「QAチームを拡大したい」「テストを自動化したい」は願望であってトラブルではありません
- その願望が発生した背景となるトラブルや困りごとを記載してください
- もしも現状トラブルが起きていない場合、今後起こりうると考えているトラブルを教えてください
- 詳しくは後述の「面談を遠慮するパターン3.手段と目的が逆転しているスカウト文面」をご覧ください
【質問3】現状考えているテスト戦略・QA戦略・品質戦略
- 完璧な戦略は求めてはいません
- どこまで考えているのか表明をお願いします
- もしも品質面の戦略を考えていなかったとしたら、組織戦略だけでもお聞かせください。
- 全く考えてない場合は面談をお断りする可能性がありますが、ほんの少しでも考えている戦略があればお聞かせいただけると嬉しいです。
面談をお願いしたい企業の特徴
以下に当てはまるような企業様のお話をぜひお聞きしたいです。
- 開発チーム自身でテストをどうにかしたいが、やり方が分からない
- 現在はテスト会社に丸投げしているが、コストもかかるので開発者ができる部分は自分達で行いたい
- 開発チームの中にQAを配置し、一緒に開発を回していきたい
- (「BDD/ATDDのツールを使って」ではなく)BDDのアプローチを用いて、開発を行いたい
- テストの技術を使って、(「テスターを」ではなく)テスト自体をManagementしてもらいたい
- テスト会社が入っているが、来てもらっている人のスキルや来てもらったことによる効果がイマイチ分かっていない
- 自分達自身で品質をどうにかしたい
面談を遠慮する可能性がある企業の特徴
以下のようなスカウト文面を送る企業に関しては、私とマッチングしない可能性が高いです。(「お話をお聞きしたい企業の特徴」に当てはまる点があっても、下記内容にも当てはまる場合には、面談を遠慮することがあります)
面談を遠慮するパターン1. 今までのQA業務を肩代わりしたい、人員追加をしたいように見えるスカウト文面
- 開発が実装に徹するために、QAにテストをお願いしたい
- テスト会社がやっていた業務を、そのままQAの社員にやってもらいたい
- QAメンバーの動きを指示するような(Managementではなく)Controlをしてほしい
- 開発だけでテスト実行をするには工数が足りない状況なので、テスト実行をお願いしたい
- QAチームが大変な状態で疲れているのでなんとかしてほしい
このような文面が入っている場合、「テストやQAを技術や知恵でなんとかする人が欲しい」ではなく、「QAのことを知っている人を入れたい」「とにかくテスト実行をする人手が欲しい」という想いがあるように見えます。
そのような場合には、私とマッチングしないと思いますし、私以外の誰かを入れれば済むように感じてしまうため、面談をお断りさせていただきます。
面談を遠慮するパターン2.具体的な内容が書かれていないスカウト文面
- 「弊社の求めている人材とマッチしている」というような言葉だけ書かれている(どの部分がマッチしたと感じたのか具体的に書かれていない)
- 「この先やってみたいこと」の欄の1行目に書いている「開発チームだけで品質を確保できる組織を作り込みたい」という文を引用して「共感しました」「弊社にも合うと感じました」といった言葉だけ書かれている(会社の文化とどのように合うのか書かれていない)
スカウトメッセージを受け取った身としては、どの部分が良かったと感じたのか、会社の文化との親和度が高いのか分かりません。
このパターンの場合、テンプレでスカウト文面を送ったと判断し、そのまま返信せずスルーさせていただく可能性が非常に高くなります。ご了承くださいませ。
(そしておそらく、私のみならず求職者の多くは、元々その企業に大変興味を持っていない限り、この文面を受け取っても話を聞いてみようと思わないのではないでしょうか…)
面談を遠慮するパターン3.手段と目的が逆転しているスカウト文面
- QAチームを作ったので来てほしい
- QAチームを拡大したい
- テスト自動化を推進してほしい
- QAが上流から関われるようにしてほしい
「QAチームを作る」も「QAチームを拡大する」も「テスト自動化を行う」も「QAが上流から関わる」も手段です。どうしてそう考えたのか目的がハッキリしていないように見えます。
まずは目的であったり、その手段を実施しようと考えるきっかけとなった、実際に発生している困りごとを記載してください。
なお、ここでいう困りごととは、実際に起こったトラブルなどの問題です(もちろん、言える範囲で構いません)。
「QAチームが今まで無かった」「自動テストが今まで無かった」「QAが上流から関われなかった」というような内容は、「QAチームがあれば良いのになぁ…」「自動テストがあれば良いのになぁ…」「QAが上流から関わるようになれば良いのになぁ…」という願望の裏返しなだけであって、困りごとではありません。それらができてないことによって、どんなトラブルが発生しているのか教えてください。
面談を遠慮するパターン4.QA戦略、テスト戦略、品質戦略が見えてこないスカウト文面
- テスト計画、仕様策定、テスト設計、テスト実行、そしてテスト自動化までやってほしい
上記のスカウト文面を開発の領域で置き換えると、「開発のロードマップを引き、要求をお客様と話し合いながら、アーキテクチャを定めつつ、設計も考えた上で、実装もしてほしい」と言っているようなものです。本当に、それらを1人の人間に求めるでしょうか?
プロダクトを引っ張っていくような、とてつもないスーパーエンジニアに要求するならば分かります。その場合、とてつもないスーパーエンジニアと同等の給与と権限を与えようと考えているでしょうか?
仮に「テスト計画」「仕様策定」「テスト実行」「テスト自動化」の全てができる能力があったとしても、それらをどのように行っていくか考える戦略が必要です。
すごい練られた戦略を示す必要はありませんが、どの部分から注力して行っていこうと考えているのかは最低でも示していただきたいです。もしもどこを最初に注力すべきか分からないのであれば、素直にその旨を伝えていただいた方がありがたいです。
(私のみならず求職者の多くは、元々その企業に大変興味を持っていない限り、「テスト計画、仕様策定、テスト設計、テスト実行、そしてテスト自動化までやってほしい」という文面を受け取っても話を聞いてみようと思わないのではないでしょうか…)
おわりに
ここまで書いた内容はあくまでも目安です。
全てがこの通りではありませんが、今までの経験上、「面談を遠慮するパターン」に当てはまる企業と面談をした結果、「その企業と働きたくなった」とイメージが変わったことはほとんどありません。
採用担当の方が私にメッセージを送る際は、事前にこの記事の内容を確認していただけると助かります。(スカウトメッセージを送るのにもコストがかかると思いますので…)