AI時代だからこそ、UXデザインを深く理解する必要がある!
と思い、日本でおそらく最も網羅的にUXデザインのルールをまとめている「Sociomedia ヒューマンインターフェース ガイドライン」を読み進めて、考えたことを記録して、noteマガジンにまとめている。
今日は18個目。まずは引用から。
18. 複雑性保存の法則 (Tesler’s Law of Conservation of Complexity)
プロセスを単純化しようとしても限界がある。この複雑性は減らせず、移動できるのみ。複雑性をできるだけユーザー側からシステム側に移動した設計にすることで操作性を高めることができる。
例えばメールを送るには送信者アドレスと宛先アドレスが必要でこれらは減らせない。しかしメールソフトに適切なデフォルト値や入力補完機能があれば、複雑性がユーザー側からシステム側に移動したことになり、ユーザーの操作を減らすことができる。
https://www.sociomedia.co.jp/9187
これは、UXデザインのルール #2「簡単にする」を実現するための手段として位置付けられる。
また、#13「Constraints」や #14「Precomputation」の理論的根拠とも言える。
具体例としては、まず、オートコンプリート(autocomplete)機能がある。ユーザーが検索ボックスに文字を入力し始めた時に、候補のリストを自動で表示することで、ユーザーの入力する手間を、システム側に移動させている。
グーグル検索で「オート」と入力した後の画面がこちら。

「オートコンプリート機能」と最後まで入力しなくても、クリックするだけで検索できる。
二つ目の具体例は、Googleカレンダー。ログインすると、今日の予定が最初に表示される。これは、日付を選ぶ手間をシステム側に移動させている。
三つ目の具体例は、Amazon。2回目以降の購入で、届け先住所をデフォルトで表示することで、住所入力をシステム側に移動させ、ユーザーの手間を減らしている。
複雑性保存の法則を実践しようとすると、当然、エンジニアの作業が増える。Googleマップを埋め込んだ自作アプリに、場所の検索のオートコンプリート機能を実装しようとしたら、そこそこ大変だった(私が書いた英語記事を参照)。
でも、世界的に見た時、エンジニアが1時間余計に仕事することで、世界中の人の時間が毎回10秒ほど節約される、と考えれば、やっぱり、やるべき。
でも、個々のWeb制作・アプリ開発企業の損益からすると、やるインセンティブがないこともありうる。
AIエージェントにやらせればすぐにできるわけだが、AIエージェントが自発的に提案して実装するだろうか?確率はゼロではなさそうだが、100%でもなさそうだ。
これが、AI時代にこそ、UXデザインを学ぶ必要がある理由だと思う。「複雑性保存の法則」を知らなければ、使いやすくするためにシステムにユーザーの作業を肩代わりさせようという発想が出てこない。
エンジニアの労力を言い訳にしなくてよくなった分、AIに指示を出せる人の存在が不可欠だと思う。
(私が書いたnote記事を一部編集して転載しています。)