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私は昔から、自分の頭の中にあるものを、言葉だけで伝えることがあまり得意ではありませんでした。
考えていないわけではなくて、むしろ逆です。
頭の中では、言葉になるより先に、関係性や構造、図や景色のようなものが浮かんでいることが多い。
たぶん私は、少し思考がビジュアル寄りなんだと思います。
でも、それを一つずつ言葉に変換して相手に渡そうとすると、途中で何かが抜け落ちる。
「本当はもうちょっと違うんだけどな」
「全部説明しようとすると、どんどん長くなるな」
そんなもどかしさを、昔からよく感じていました。
PowerPointに出会って、伝える方法が増えた
そんな私にとって大きかったのが、PowerPointとの出会いでした。
文章だけではなく、情報を並べ替えて、図にする。
文字の大きさを変える。
余白をつくる。
関係性を線でつなぐ。
そうすると、頭の中にあったものを、言葉だけのときよりもずっとロスなく人に渡せる感覚がありました。
「あ、伝えるって、話すことや文章を書くことだけじゃないんだ」
と思ったのを覚えています。
そこからPowerPointが本当に好きになりました。
当時の天職は、たぶんMicrosoftの営業だったと思います(笑)。
振り返ってみると、これが私にとってデザインの原点だったのかもしれません。
コミュニケーションのロスに、たぶん耐えられない
私はかなりの心配性です。
人と話したあと、
「あの言い方でよかったかな」
「違う意味に受け取られていないかな」
「本当はもう少し伝えたかったな」
と、あとから考えることもよくあります。
人とのコミュニケーションには、魂でも込めているのかというくらい消耗します(笑)。
でも、人は好きです。
その人が何を考えているのか。
どうしてそう考えるようになったのか。
何を大切にしているのか。
そういうことを知るのが好きです。
そして、人や会社と関わってきて思うのは、
その人自身、その会社自身がまだ気づいていない魅力って、無数にあるんじゃないか
ということです。
本人にとっては当たり前すぎて、わざわざ言葉にしていないこと。
何気なく続けてきたけれど、外から見るとすごく魅力的なこと。
本人は弱みだと思っているけれど、見方を変えれば、その人らしさそのものだったりすること。
そういうものを見つけると、
「それ、もっとちゃんと伝わったらいいのに」
と思ってしまいます。
もちろん、人と人なので、すべてが100%同じように伝わることなんてない。
それは分かっています。
それでも、たぶん私は諦めきれません。
もう少し言葉を選んだら。
順番を変えたら。
図にしたら。
見せ方を変えたら。
もう少しだけ、伝え手と受け手の間にあるロスを減らせるかもしれない。
そんなことをずっと考えてしまうので、私はたぶん、デザインという仕事に向いているんだと思います。
正直、自分でもごちゃごちゃした経歴だと思います
私はこれまで、人事、広報、戦略コンサル、マーケティングなどの仕事をしながら、プレゼン資料やピッチ資料、名刺、パンフレット、ロゴ、UI/UXなど、いろいろなものをつくってきました。
こうして並べてみると、
「だいぶごちゃごちゃしているな」
と自分でも思います(笑)。
デザイナーなら「Webをやっています」「UI/UXが専門です」と言えるほうが、きっと分かりやすい。
でも最近は、無理に一つにまとめなくてもいいのかなと思うようになりました。
なぜなら私は、アウトプットの形そのものより、その前にあるものを大切にしたいからです。
伝え手は、何を想っているのか。
何を届けたいのか。
何を大切にしているのか。
受け手は、何を体験するのか。
何を感じるのか。
そして、そのあとどう動くのか。
そこが違えば、アウトプットだって変わっていいと思っています。
バーの案件なら、オーナーが「これが自分の店だ」と思えるロゴが必要かもしれない。
採用なら、会社が本当に伝えたかった言葉が候補者の心に残る採用ピッチかもしれない。
アプリなら、機能を増やすことより、ユーザーがそこで過ごした時間や思い出を残せる体験のほうが大切かもしれない。
だから私は、
何を作る人かよりも、何を届けるために、どんな形にするかを考えられる人でいたい
と思っています。
経歴も、作ってきたものも、一見するとバラバラです。
でも振り返ると、私はずっと、
人の中にあるものを拾って、誰かに渡せる形にする
ということをやってきた気がします。
私の仕事は、たぶん「翻訳」です
まだ、うまく言葉になっていない想い。
情報が多すぎて、本人たちにも整理しきれていないもの。
その人や会社にとっては当たり前すぎて、自分たちでは気づけていない魅力。
そういうものを拾って、言葉にしたり、構造にしたり、ビジュアルにしたりして、相手に届く形へ変える。
私にとってデザインは、そんな翻訳のようなものなんだと思います。
だから最近、「コミュニケーションデザイナー」という肩書きが、自分には一番しっくりきています。
ロゴをつくることも、採用ピッチをつくることも、UI/UXを考えることも、私の中ではすべて、人と人の間にあるものを伝わる形にしていく仕事です。
ひとつの制作物に専門性を閉じるというより、
伝え手と受け手の間にあるズレを減らしながら、その人や会社らしさがきちんと届く方法を考える。
それが、今の私がやっていることに一番近い気がしています。
AIが出てきて、「翻訳」の方法が増えた
最近は、デザインだけではなく、AIやテクノロジーにも同じ可能性を感じています。
AIが身近になったことで、
コミュニケーションのロスを減らす方法は、デザインだけじゃないのかもしれない
と思うようになりました。
うまく言葉にできないことを整理してくれる。
情報の抜けや認識のズレに気づかせてくれる。
状況や相手に合わせて、伝え方を変えることができる。
人と人との間にテクノロジーが入ることで、ちょっとしたすれ違いや、言いにくさや、伝達ミスを減らせる可能性があると思っています。
産後、アプリをつくりたいと思ったときも、そんなことを考えていました。
例えば、家族同士のLINEの中にコンシェルジュのような存在がいて、言いにくいことを伝えるのを助けてくれたり、必要な連絡を代わりに促してくれたりする。
そんな小さなことでも、人間関係の摩擦を少し減らせるかもしれない。
私にとって、デザインとテクノロジーはそんなに離れたものではありません。
どちらも、
「自分の中にあるものを、できるだけロスなく相手に渡すにはどうしたらいいんだろう」
を考えるための手段です。
でも、正しく伝わるだけでは、少し足りない
もうひとつ、私がとても大切にしているのが感情です。
情報が正しく伝われば、それで終わりとは思っていません。
触れたときに、少し心があたたかくなる。
重かった気持ちが、少し軽くなる。
安心する。
心地いいと思う。
「なんか好きだな」と感じる。
そういう小さな感情の変化を、私は大切にしたいです。
数字にはしづらいけれど、何かが人の記憶に残るとき、そこには感情がある気がするからです。
「こういうものを作って生きていきたい」と思った瞬間
以前、親友から、結婚式のウェルカムボードを作ってほしいと言われたことがありました。
せっかく親友の大切な日につくるなら、その二人にしかないものにしたい。
そう思って、いろいろなことを考えました。
誕生日。
記念日。
花言葉や色言葉。
好きな場所や思い出の地。
名前に使われている漢字。
二人にまつわるものを一つずつ拾って、考えて、重ねていきました。
見た目としては、シンプルなデザインだったと思います。
でも、自分の中では、
「ここまで思いを込めたら、もうこれは唯一無二だろう」
と思えるくらい、いろいろな意味を込めました。
その後、親友から、
「家にずっと飾ってるよ」
そして、
「毎日、子どもにミルクをあげながら眺めてる」
と言われました。
そのときの感動は、今でもよく覚えています。
結婚式という一日のためにつくったものが、その日で役目を終えずに、家に飾られて、家族が増えたあとの日常の中にも残っている。
ミルクをあげる、何でもない毎日の景色の中に、自分がつくったものがある。
「ああ、私はこういうものを作りたいんだ」
と思いました。
ただきれいなものでもなく。
ただ分かりやすいものでもなく。
その人にしかないものがちゃんと込められていて、その人の人生や暮らしの中に残っていくもの。
唯一無二のデザインをして生きていこう。
たぶん、そう決めたのは、あの瞬間だった気がします。
心に届ける方法を、もっと増やしたい
だから私は、これからもアウトプットをひとつに絞らなくてもいいと思っています。
イラストかもしれない。
ロゴかもしれない。
Webサイトかもしれない。
アプリかもしれない。
もしかしたら、空間やグッズや本かもしれない。
何でもできる人になりたい、ということではありません。
心に残るものをつくるための、届け方を増やしていきたい。
そんな感覚です。
将来の夢
「将来どうなりたいですか?」と聞かれると、実は肩書きではあまりうまく答えられません。
クリエイティブディレクターになりたいとか、こういう仕事をしていたいとか、近い目標はもちろんあります。
でも、もっと先にある夢は少し違います。
私は、最後に自分を支えられるものは、心に残ったものだと思っています。
大切な人と過ごした時間。
しんどいときに思い出す誰かの言葉。
昔から好きだった音楽。
自分で選んできたもの。
ふとしたときに蘇る景色。
そういうものが、あとから自分を支えてくれることがある。
だから、かなり大げさかもしれませんが、
死ぬ間際にふと思い出して、
「この人生でよかったな」と、その人が微笑めるようなものをつくれたらいいな
と思っています。
もちろん、デザインひとつで誰かの人生を救える、なんて思っていません。
でも、その人の人生のどこかに残って、
迷ったときや苦しいときに思い出したり、
自分らしさを取り戻す、小さなきっかけになったりするものなら、つくれるかもしれない。
バーのロゴが、オーナーにとって自分の人生の一部になるかもしれない。
採用ピッチの言葉が、誰かが新しい一歩を選ぶきっかけになるかもしれない。
アプリに残した記録が、何年後かに大切な思い出になるかもしれない。
一枚のイラストが、何気ない暮らしの中にずっと飾られるかもしれない。
そういうものを、形を変えながらつくり続けたいです。
形のないものを、伝わる形にする。
そして、それが誰かの心に残るところまで考える。
私の仕事は、たぶん、そんな「翻訳」なんだと思います。
そして今は、その仕事をコミュニケーションデザインと呼ぶのが、一番しっくりきています。
こんなに長い文章を、最後まで読んでくださってありがとうございました。
ここまで読んで、
「一緒に何かできそうだな」
と思っていただけたら、ぜひポートフォリオも見てもらえるとうれしいです。
Portfolio
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