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高齢化する日本に、フォトグラファーとして何か貢献できないか?単身高齢者のポートレート撮影プロジェクト

このプロジェクトは、地元三重県のウェブメディア:OTONAMIE(※1)が企画したイベントで、ケアマネジャーである辻井さんと、フォトグラファーであるわたくし中西が出会ったことから始まりました。

辻井さんは、利用者である単身の高齢者のみなさんの写真を撮ってあげたいと考えておられました。また、何か利用者のみなさんの日常に、楽しみを提供したいと考えておられました。

それなら私が写真を撮りましょう、ということで始まったのです。

辻井さんの勤める介護事業所は大阪市西成区にあります。

1995年の国勢調査によれば、大阪市に暮らす60歳以上の単身高齢者109,715人のうち10,732人が西成区にお住いだそうです(※2)。

一方、内閣府の平成29年版高齢社会白書によると、2000年には全国の65歳以上の単身世帯は3,032,000世帯だったものが、2015年には5,928,000世帯とほとんど2倍、2030年には7,298,000世帯にのぼると予想されています(※3)。

西成区は土地柄、全国の色々な地域から流れてきた人が居住しておられ、大阪市の単身高齢者の10%が居住しているという特殊な状況がありますが、全国的にも単身高齢者は増加の一途を辿っていると言えるでしょう。

単身高齢者の多くが、何十年も写真を撮るということをやっていない、そうゆう中で、何かがあった時には遺影が無いということが起こります。
実際、辻井さんの方でお葬式の段取りをされるときに、遺影がないということは起こっていました。

加えて言えば、一人で暮らす高齢者には、家族や地域の中で「おじいちゃんおばあちゃん」という役割がありません。
西成区のように他の土地から転居してきた高齢者には、近所に親族も暮らしておらず、地域のコミュニティにも属していないということもあります。
お坊さんと辻井さんだけのお葬式、ということもあったそうです。

日本が急速に高齢化している中で、このような問題は日本の各地で起きてくるでしょうし、今後世界の先進国にも起きてくる問題です。

そこで辻井さんと私は単身高齢者のポートレートを撮影する活動を始めました。

遺影を撮るという目的もありますが、撮影をすることで、高齢者の方々に「モデル」という役割を創出したいと考えました。

撮影日時のアレンジや利用者の皆さんへのモデル活動への勧誘は、普段から高齢者の皆様と関わっている辻井さんがしてくれています。
2回目の撮影からは、メイクにこれまたOTONAMIE通じて知り合った三上さんが入ってくださり、さらにブログで我々の活動を発信してくださっています(※4)。

高齢者の方々の中には、もう何十年も写真を撮っていないという方もいらっしゃいます。
その方が、美容院に出かけて髪を整え、おしゃれをして撮影に臨むことを、非常に楽しみにしてくださいます。

また、出来上がった写真を、長い間疎遠になっていた親族に送るなどして、連絡を取るきっかけになったりもします。

撮影の時には、最初は少し照れながらも、若い頃に写真館で撮った写真を見せてくれたり、楽しかったこと、苦しかったこと、十人十色の様々な人生の話を聞かせてくださり、これは我々にとってもとても楽しいひとときです。

この撮影の活動を継続しながら、次に我々が取り組みたいことは、写真の展示です。

それもアートギャラリーなどでかしこまってやるのではなく、例えば喫茶店だとか商店街の中だとか、コミュニティの中で人の集まる場所、できればモデルになった高齢者の方々も出かけていける場所で、そこで新たな交流が生まれて欲しいと考えています。

また、これまで介護に縁のなかった人にも、このような取り組みを知って、介護の仕事に興味を持ってくださる方が増えて欲しいと考えています。

私はフォトグラファーとして、この取り組みを世界に向けて発信して行きたいと考えています。

辻井さんは以前からこのような活動をしたいと構想されていましたが、実現のハードルになっていたのは費用面です。
プロのカメラマンに撮影を依頼すれば費用がかかります。利用者の方々は年金や生活保護で生計を立てておられ、そこから費用を取るというのは現実的ではありません。

私はこの活動をするにあたって、利用者の方々や介護事業者からお金を取ろうとは考えていません。
私はそれ以外の方法で、この活動にかかる費用を補填できるマネタイズをしたいと考えています。

写真のコンテストに応募して賞金を得たり、写真の奨学金に応募するというのもいいかもしれません。

また、私は米国のフォトエージェンシー:Gettyimagesの契約フォトグラファーです(※5)。
モデルをしてくれた利用者が文書で承諾をしてくれたら、Gettyimagesの力を借りて、高齢者をモデルとしたクリエイティブイメージを、世界中に発信することができます。
前述の通り、先進国の高齢化は避けられない問題です。世界中の様々な企業が、高齢者に向けてサービスや商品を提案するでしょう。
世界中の色々な方が、私が撮った高齢者の写真を、自分たちのサービスや商品を訴求させるためのビジュアルとして購入してくだされば、活動資金になります。

この活動が共感を得られたり、人様に取って価値のあるものになっていけば、自ずと資金面の問題は解決できると思っています。
目先の費用問題に囚われて矮小な活動になってしまうよりも、高齢者の皆さんに楽しんでいただけて、多くの人に価値を感じてもらえるよう、懸命にやることが第一だと考えています。
私は自分の得意なことで社会に貢献したいし、報酬というのは貢献があるから得られるもののはずです。

自分のできる貢献を大きくしていって、価値を生み出すことに挑戦したいと考えています。

この活動に共感して賛同してくださる方がいらっしゃれば、何かの形で関わってくだされば嬉しいです。

このノートは有料ノートですが、最後まで公開していますので、投げ銭やサポートの形で支援してくだされば大変ありがたいです。
支援いただいたお金は、モデルのしてくれた高齢者の皆様にプレゼントするプリントのインク代などに利用させていただきます。

展示をするのにいい場所を知っている、紹介できそうという方がいらっしゃったら是非教えてください。

こんな風にするといいんじゃない?とか、ご意見やアドバイスを頂けるのも嬉しいです。

ご自身のSNSのアカウントで、この記事を紹介してくださったら嬉しいです。

我々は大阪で活動していますが、他の地域で同じ活動をしたいと思ってくださる方がいれば、情報交換して一緒に活動したいです。

その他何か我々が思いもよらないような方法で、この活動の助けになるようなことがあるのかもしれません。何か思いついたらご連絡ください。

よろしくお願いいたします。

※1:三重県に暮らす・旅するWEBマガジン-OTONAMIE(オトナミエ)
※2:国勢調査に見る大阪市の単身高齢者(60歳以上)
※3:内閣府「 平成29年版高齢社会白書」第1章 高齢化の状況、第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向、1高齢者の家族と世帯
※4:人生最後はとっておきの写真を飾ろう。 モデルという役割が単身高齢者の明日への楽しみをつなぐ、新しい形の撮影会
※5:GettyimagesポートフォリオiStockポートフォリオ

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