【自社や業界の認知度別】新卒採用の面談時に心がけていること
Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash
新卒採用の現場で学生と面談している時、過去の会社とは違うアプローチをしているなということにふと気づいた。言われてみれば当たり前だが、自分の中でいろいろ考えながらアプローチの手法を変えている。
学生にまったく知られていない会社で行う面談と、学生が会社を知ってくれてる時の面談では、相手の興味度合いも、こちらの狙いも異なる。現職で後輩にいろいろ指導しているところだが、これは一度文章化しといたほうが良いなと思ったので記録に残しておく。
本記事は、新卒採用の現場で、説明会だとかOB面談だとか、採用プロセスの中での面談だとか、そういったケースで学生と話す際に心がけていることをまとめたものである。
はじめに:学生面談の狙い
- 学生に、当社の事業・職種を知ってもらい、興味を持ってもらう。
- 当社の業務が学生の興味・志向性・経験・スキルのどれかと結びつくかを確認する。
- 結び付く可能性がある場合はそれを強固にし、応募へつなげる。
※結びつかなさそうであれば、双方ミスマッチの可能性があるので、結び付かないとジャッジすることも大事。無理に結び付けたり、引っ張ろうとしない。よく理解しないまま応募されて、選考過程で「思ってたのと違う」というギャップを生じさせない予防でもある。
野望は「当社に興味持って応募してもらう」ことだが、一番は価値観のすり合わせだ。
採用担当として学生に会社を理解してもらい、学生自身が「応募したい(ここで働いてみたい)」と思うきっかけを作る。「ミスマッチを減らすため」とはよく言うが、一方で「マッチする部分がどれだけあるのか?」「マッチしてると思う部分をどれだけ見つけられるか?」といろいろ情報提供をする場でもある。学生は当初気づいてなかったけど、ちゃんと理解してもらったらめっちゃマッチするやんけ!!みたいなことは多々ある。
学生の希望と合わない場合でも、「合わない」ことが明確になるだけで双方にとってプラスであるという気持ちで面談を実施する。合わない場合でも、学生の良いところ、考えていることを客観的に指摘することで、この面談が学生にとって有意義なものとなるようにする。せっかく時間を作ってくれてるのだ。
基本的な流れ
自己紹介
- 面談のスタンスについての説明
面談の呼びかけに応じてくれた理由等をきっかけにちょっと雑談
聞ける範囲で業界への興味、当社のどこに引っかかったのかを確認する - 企業紹介
相手の興味や理解度に合わせて内容を調整する。 - QA
- 学生への質問
就活の話やら、専攻の話やらを通じて学生の興味や得意を探る。
レジュメに書いてあるwhatを聞くだけでなく、whyやhowを聞いて考え方や興味のアンテナがどこにあるのかなどを伺う。 - クロージング
会話の内容から、ポジションに合いそうだなという場合は応募の後押しを行う。「こういうところで活かせそう」というイメージが持てたら良い。
自社の属する立ち位置別、意識するポイント
業界・当社への認知がそこそこ高い場合(人気業界で、むしろ面談を要望される場合)
ここに属していたときは、OB訪問を経験した。訪問というかweb面談だが…。人気業界っぽかったので、「先輩!話を聞かせてください!」的な感じだ。つまり、学生側が当社や業界にそもそも興味があるパターンである。
- 人気なのは嬉しいが、学生の理解や認知が不足しているケースがあることに留意する。(ミーハー的なアレ)
- 「自分の経験/スキル/能力が活かせそうか」「自分の関わりたい事業なのか」のポイントをすり合わせる。
- より具体的に志望動機を描けるように、学生の興味や経験と、志望動機の結びつきの解像度を高めてみる。
- 一方、やりたいことを聞いていると、違う業界でもできるケースがあるので、その話もできると良い。それでいてもなお当社に対しマッチする部分が見つかるなら良い。
- 学生の「志望動機」「自己PR」などを聞きながら、「あのプロジェクトで活かせそう」「あの人と相性が良さそう」などと思いながら面談し、フィードバックする。過去の経験や志向性が、当社の何にマッチするのかを丁寧に見つけていく。
「憧れ」的なところで志望している学生も多く、それはとても嬉しいことだが、ちょっと落ち着いて、その溢れんばかりの志望度合いを解きほぐしていくのが大事だったりする。
学生の業界理解は高いものの、当社認知が低い場合(人気業界っぽいが会社の知名度は低い)
業界的には人気だけど、業界ランキングを見ていたら御社見つかりました、みたいなケース。これは学生面談のみならず、説明会などの学生と接点を持つポイントで心がけていることになる。「同じ業界でもこういう違いがあるんだな」と理解してもらうのと、具体的な職務をイメージしてもらうことで、「漠然と受けてみる」よりも明確な意思を持って受けてもらうことを狙う。
業界的には人気なので、前項に引き続きミーハーチックに業界理解が追いついていない学生もいるので、解像度を高めてあげることでぐっと興味を持ってくれる可能性がある(理解した上で興味がなくなることもある。それはそれで良い)。
- 業界の中での当社の特徴をきちんと説明する。大手とは何が違うのか、違う中で何が得意なのか。
- 「自分の経験/スキル/能力が活かせるのでは?」「自分の関わりたい事業なのでは?」と思ってもらえそうなポイントが見つかれば強調する。
- ぜひ応募してよとがっつくのではなく、あくまで選択権は学生にある前提は理解しておく。
- マッチしそうだなと思ったら、他の社員面談をセッティングするなり、具体的な仕事イメージを持ってもらうのは惜しまない。
学生の業界理解が低く、当社認知も低い場合
toBのため一般的な認知が低い業界、あるいは業界は人気だけどその中でも裏方っぽい事業(人気業界ではあるけど、一般ユーザーには馴染みがなさそうなことをやっている事業など)。
珍しい制度があったり、単純に勤務地だったり、業界見てたらたまたま引っかかったり…と、出会いのきっかけが条件面スタートなことが多い。もしくは、ダイレクトリクルーティングでこちらから声をかけて、「とりあえず会ってみる」を獲得できたケース。
- 扱っている商材を細かく説明するより、「それによって誰の役に立っているのか」「どんな相手と仕事をするのか」を説明するほうが効果的。
- 例えば、バラエティに富んだ業界と取引できるとか、実はみんなの生活に根付いたところで役に立ってるとか、目立たないけどここで学んだ技術は業界の根幹を担っているので発展性がある、だとか。
- それをどれだけ学生が身近に感じられるか。学生が自分の口で、親や友人に「こんなことやってる会社らしいわ」と説明できる何かを持って帰ってもらう。
- 「自分の経験/スキル/能力が活かせるのでは?」「自分の関わりたい事業なのでは?」と思ってもらえそうなポイントが見つかれば強調する。(再掲)
- ぜひ応募してよとがっつくのではなく、あくまで選択権は学生にある前提は理解しておく。(再掲)
- マッチしそうだなと思ったら、他の社員面談をセッティングするなり、具体的な仕事イメージを持ってもらうのは惜しまない。(再掲)
心構えのようなもの
上記の判断・行動をするためには、ある程度「求める人物像」と呼ばれるような、ジャッジの基準を設けておくことが必要。「この業界に興味がありそうか?」だったり「ITツールにストレスが無い」だったり…簡単でもいいので、最低限このあたりは面談で拾おうというものを意識しておく。
バイトの経験、学校での専攻、趣味の取り組みなど、経験や興味のベクトルが「もしかしてこの仕事に向いてるのでは…?」と自分なりに解釈できるかどうかの物差しも必要になってくる。このためには、採用担当自身が自社の業務理解をすることが求められる。
というか、まぁ採用担当ばっかりがこの判断するんじゃなくて現場と一体になって採用するのが一番なわけですが。本記事はあくまで採用担当が学生をフォローする段の話である。少なくとも「あの人と話してもらったらおもしろそうだな」とイメージできると強い。
まとめ
結局のところ、私自身が「学生が何に興味持っているのか」事態に興味があり、「それならうちのこれが向いてそうだな~」「この業界だけ見てるのもったいないな~」「同じ業界でもアレに特化してるところとかチェックしたらおもしろそうだな~」なんてことを考え、話していることが多いなぁと気づく。
採用担当でいながら、割と客観的な立場で接している。そのうえで、こりゃマッチしそうだなと思ったらそこを推していくような流れになることが多い。あくまで選択するのは学生側であり、私はそのきっかけとなりそうな、動機になりそうな要素を提供し、サポートをする。いわば学生の中の解像度をあげるような役割を心がけているのかもしれない。