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新卒一括採用は、無くなるのか? <就職活動の未来を見据えて、いま学生がすべきこと>

11月5日に、関東の私立大学の 就職課・キャリアセンターの方々が集まる場で講演をさせて頂く機会を頂きました。その際に「新卒一括採用は、無くなるのか」という議題が非常に盛り上がりましたので、私の意見を書いていこうと思います。

▼講演をご一緒したネットマーケティングの宇田川さん、HARESの西村さん、MOLTSのそめひこさんと

※本来であれば10月に書かせて頂いたブログの後編を書くべきですが、講演で出たお話を早めにご報告させて頂きたかったので、こちら優先させていただきます。10月のブログの後編も、11月中には書かせていただきます。

※WANTEDLYのオフィシャルブロガーとして歴代1位のいいね!数を頂いた10月のブログはこちらになります


■そもそも、新卒一括採用とは何かの定義

新卒一括採用という言葉の定義ですが、wikipediaには以下のように書いてあります。

企業が卒業予定の学生(新卒者)を対象に年度毎に一括して求人し、在学中に採用試験を行って内定を出し、卒業後すぐに勤務させるという世界に類を見ない日本独特の雇用慣行である。

以上のことから

①年度毎に一括して求人する
②在学中の学生に内定を出す
③卒業後すぐに勤務させる 

今回は以上の3つを満たした採用を、新卒一括採用と呼ばせていただきます。

■ヤフーが新卒一括採用を廃止して話題に

ヤフーが新卒一括採用の廃止をリリースし、大変話題になりました。(詳細

ここでのポイントは、廃止の狙いを以下のように公表していることです。

「従来のように新卒、既卒、第二新卒などの枠にはめず、幅広く人材を募集することで、より優秀な人材、多様な人材を確保できるようにしたい」

これまで、仮に年間100人を採用する企業があるとすると

・新卒採用で50人
・中途採用で50人

のように、(多くの企業は慣行で)枠数を決めて学生向けに数を確保していることが多かったですが、それが

・優秀な人100人

と、採用方針が変わる、ということです。

企業にとっては、優秀な人であれば仮に大学を卒業していない人でも即採用を行う可能性もあり、逆に優秀でなければ、学生を1人も採用しない、という選択肢も、十分にあり得るということです。

■ 合理的に考えると、 企業が新卒採用に拘る必要はない

よく、新卒採用は「ポテンシャル枠」という言われ方をしますが、企業にとってのポテンシャル枠は、「第二新卒」も入ることが多いです。では、採用決定後から入社まで半年以上かかり、ビジネスの基本を(多大なコストを使って)教え込む必要がある新卒者と、他社でビジネスの基本を叩き込まれた後の状態で、場合によっては即日入社してくれる第二新卒者、どちらが採用したときにメリットが大きいかというと、後者の方が良いでしょう。

■ポテンシャル枠という概念も、無くなるかもしれない

仮に30代でも40代でも、入社後にぐんぐん成長する社員はたくさんいます。
所謂ゆとり世代の若い人より、競争を味わってきた世代の人の方が成長意欲も高く、伸びしろは大きいかもしれません。若い=ポテンシャルがある、とは一概に言えなくなってきています。

即戦力で、ポテンシャルもあれば、それは企業にとって、最高の人材と言えるはずです。
そういう人が採用できれば、わざわざ「ポテンシャル枠」を設定して、若い人を採用する意味もなくなります。

■とはいえ、新卒一括採用は、突然なくなったりはしない

これまでの慣習がいきなり変わり、新卒一括採用をする企業がなくなる日がすぐに来るかというと、それはまずないと思います。しばらくは、徐々に廃止する企業が増えてくる、という程度だと推測されます。

①即戦力でポテンシャルもある人は、なかなか採用できない

新卒採用をした企業も、優秀な社員が簡単に辞めないように努力しているので、転職マーケットにこのような人が出てくるケースは多くはないですし、仮に出ていたとしても、どの企業からも欲しがられる人材なので、競争が激しいです。採用力がよほど強い会社出ない限り、採用は難易度が高いです。

②優秀な人は、早めに囲いたい

転職市場に優秀な人が出てくる約束がない以上、早め早めに自社に優秀な人を囲ってしまった方が、優秀な人の数を確保できる可能性は高くなります。仮に大学生にアプローチするとしたら、1年生の時から優秀な人材を見極め、囲ってしまった方が良いですが、まだまだアグレッシブな意思決定をできる学生も企業も少ないので、在学中はインターン、卒業後のタイミングが就職の正式なタイミング、というケースが多いのが現状ですし、今後もすぐには変わらないと思われます。

③意思決定ボードにいる人たちと企業の価値観は、すぐには変わらない

大学を卒業して大手企業に入って出世することが人生の王道だ、と思っている人たちが意思決定ボードにいる限り、積極的にこの慣習を壊そうとはしないでしょう。 また、経団連の倫理憲章では、正式な内定日は10月1日とされていることもあり、これに従わないというリスクを冒す必要があるか?周りも守っているのだから自社も守ろう、という企業の価値観も、変わっていくには時間がかかると予想されます。

④通年採用をするリソースがない会社も存在する

一括採用をメインにしている会社は、その時期にだけ予算や採用メンバーを用意しますが、通年採用を行うとそれが時期限定の取り組みではなくなってしまうので、コストや人員をあてられない、という企業も出てきます。

■採用力が強い企業から、徐々に新卒一括採用をやめていく

採用力が強く、採用にかけられるリソースを用意できる企業は、「即戦力で、ポテンシャル が高い人材を採用する」動きをどんどんとっていきます。

ヤフーのような成長企業でこそ、合理的な判断をクイックに行うのでこの動きは加速するでしょう。

■何かのめりこんでいることがない人は、とりあえず企業で働いてみたほうが良い

では、そのような状況の中、学生はどうすればよいのか。新卒一括採用を行う会社がまだまだ多数な以上、いますぐ学校をやめるなどの大胆な行動もそれはそれでリスクがあるかもしれません。一方で、成長企業はどんどん新卒一括採用を辞めていく。

私がすすめたいのは、(学校に通いながらで良いので)できる範囲で成長企業で働いてみて、即戦力に近づく という選択肢です。

形態はアルバイトでもよいし、インターンでも良いですし、とにかく企業で1年でも2年でも、働ける時間に働くだけで、学ぶことも多いです。

何より自分自身にとって、企業で働く経験をしておくと、自分自身がどんな人たちとどんな働き方をすることがやりがいに繋がるのかを理解して就職活動ができるので、入社後のズレが発生する可能性を下げることにも繋がります。

すでに学生生活で、のめりこむものがある人は、そのまま続けるのが良いと思います。何かを極めようとする人の話は、面接で聞いても非常に面白いですし、他では得られない学びがたくさんあるでしょうし、何より「やりきる経験」が、必ず社会人になってから活きると思いますので、頑張って最後までやりきってください。

■コンビニや飲食店でアルバイトをするくらいなら、成長企業で働いた方が良い

こんなことを書くとコンビニや飲食店にお勤めの方に怒られそうですが、少なくとも、私の学生時代の体験談では、そう思いました。一緒に働く人達のレベルの高さ、日々の仕事のスピード感、ダイナミックな変化など、アルバイトの学生メインの組織と成長企業では、 体験できることの幅やレベル感に大きな差がありました。どちらもお金をもらえるお仕事であれば、成長企業で働く方が、学ぶことも多いと思います。

■長期インターンの経験談

2006年11月、部活も引退し、一方で留年が決まっていた私は残りの約1年4か月の学生生活はアルバイトに没頭しよう、さらに今までやったことのない種類の仕事にふれてみようと思い、3種類のアルバイトを並行して始めました。

・平日の昼はDeNAで営業のインターン (時に、大学の授業にも出席)
・平日の夜は先輩が経営する飲食店でアルバイト
・休日はディズニーランドでアルバイト

飲食店もディズニーランドも、お仕事の時間は楽しかったですし学ぶことも多かったですがDeNAでのインターンがエキサイティングすぎて、少しでも多くの時間をすぐにそちらに専念するようになりました。

なぜ数ある企業の中でDeNAを選んだのか、インターン時代に学んだこと、DeNAでの体験談はこちらにまとめています。

■短期インターンで学べること

企業側が用意する短期インターンは、企業側の目線で見ると学生の見極めの場や、アトラクトの場としては非常に有効ですが、学生にとってどれだけ有益かは疑問です。

学んだ気になるだけで、実は身にならない

学んだことを活かして仕事に取りかかり、成果につなげるプロセスが重要ですが、短期インターンはそれをする前に終わってしまします。

企業の中の人を良く見た気になるが、表面しか見れていない

企業側も、短期インターンには企業内のエースしかアサインしないので、インターンの場でいくら良い社員が多いと思っても、実際に入社して一緒に働く人は違ったりします。

やるなら、社員の人たちに負けないくらい気持ちで多少期間もコミットし、対価もきちんと受け取ってい働く方がおすすめです。

■インターン先の探し方

ググったらたくさん情報が出てくるので、悩むよりまずは行動。興味があることをやればよいだけですが、一応アドバイスを書くと

①成長企業で働いてみたほうが良い

世の中の会社を停滞企業と成長企業に分けるなら、圧倒的に成長企業で働いた方が良いです。どうせなら、少しでも成長率の高い会社に行くのが良いと思います。理由としては成長企業は裁量権が大きい、あとは停滞企業で働いた経験は、いざ働くときに成長企業では恐らくあまり活きることはないですが、成長企業で学んだことは停滞企業でも活かせることもたくさんあると思います。

②デザイナーやエンジニア、ライターなどの専門職になりたい人

・自分自身が好きなもの、サービスを作っている会社を選ぶのが良いと思います。

賛否両論はあると思いますが、ベストを考えると好きなものを作り、それが楽しければ最高なはずなので

・最新技術を仕事で体験できる企業で働くことも良い経験になります

最近だとVRやドローン、AIなど、仕事でかかわれる企業はまだ多くはないですが、学生のうちに働く機会があれば、中々他の企業の人には経験できないことなので、優位性のある体験になるはずです。

③企画、マーケティング、コーポレート、営業になりたい人

まずは、全員営業をやった方が良いと思います。
企画もマーケティングも、最も重要なのはお客様の声を聴くこと、と定義付けている企業は多いです。どんな商品を作っても、どんな市場分析やプロモーションを行ってもお客様が買ってくれなければ、ビジネスは成り立ちません。私が2008年に入社したリクルートでは、コーポレートや企画の部署に配属になる人も最初の3ケ月は営業の部署でOJTで営業をすることが研修内容に組み込まれていました。

営業であれば企業も対価を払いやすいですし、現状学生インターンを受け入れていない企業も、導入が最もしやすい職種になります。

■長期インターンをした後、別の会社に就職する際に気を付けてほしいこと

学生時代に営業を経験していた私は、リクルートに入社してすぐに、これまでの経験を活かして活躍しまくってやろうと思っていましたが、正直最初の1年は全く売れませんでした。

せっかく若いのに、自分の経験に固執して、新しいやり方や文化を受け入れられないようであれば、到底「ポテンシャル枠」とは言えない扱いになってしまいますし、自分の成長がそこで止まってしまいます。

・自分がデキル奴だと思ってはいけない
・文化ややり方の違いを愚直に受け入れる

この2つを、とにかく気を付けてください。

リクルート1年目、もがいていた時の体験談は、こちらにまとめております。

■困ったらいつでも相談してください

当社は色んな企業に、インターンシップ設計のコンサルティングをしているのと、スタートアップ界隈で学生インターンを募集している会社もたくさん知っています。個人的なアドバイスで良ければ、いつでも相談に乗りますので気軽に連絡下さい。

■当社も学生の募集、してます

当社も一緒に働く学生の募集をはじめました。ご応募お待ちしております。

ライター募集

営業募集

以上、長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。

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