書籍【世界と日本経済大予測2024-25】読了
古書店で手に取ってみた。
本書はシリーズ化されており、最新巻も発売されているが、2023年11月発売版が目に入ったので、敢えて購入した次第である。
当時「2024〜2025年の予測」として書かれた本書だが、実際に2025年に改めて読み返した場合、答え合わせができると思ったからだ。
その時の予測は、果たして外れているのか、当たっているのか。
結論だけで言えば、大きな流れでは間違っていないように思う。
私自身も専門家ではないために、細かい点では食い違いがあっても気付けていない可能性がある。
しかしながら、読んでみても違和感を持つことは、ほとんどなかった。
2000年以降の5年間だけで見ても、コロナ禍による経済封鎖から、それらが開けるまでの経過期間があり、さらにロシアのウクライナ侵攻が2022年2月にあり、その年の年末から生成AIのブームが起こった。その後生成AIは、益々進化して、今ではビジネス現場では定着しつつあるし、さらにAIエージェント化、フィジカルAIへ向かって変革中と、まさに時代の変化が見て取れる。
いつでも「激動の時代」「変化の時代」などと言われるが、この5年間の変化は決して誇張とは言えないだろう。
本書の第2章では、グローバルビジネスにおける収益構造の変化などが語られている。
かつての「大量生産(そして安価に)大量消費」という単純な経済合理性は、もはや通用しない時代になりつつある。
世界中に物流網が整備されたことによって、希少な製品を、どこからでも仕入れ、どこにでも販売することが可能になった。
ファウンドリーの代名詞とも言える台湾のTSMC社が、半導体製造では大きな世界シェアを獲得している一方で、製造装置や材料などは、日本も含めた各国が各工程のシェアをそれぞれ担っている。
このことによって、部品一つ、素材一つが、どこか一国の事情だけで供給がストップした場合のリスクが大きくなっている。
国の事情は様々で、災害や厄災だけでは決してない。
政治的不安定な場合もあるし、他国との貿易交渉によって不利な条件を飲まされることもある。
サプライチェーンの連携に複雑化が増しているからこそ、一つの工程が止まるだけで、全体がストップしてしまう。
コロナ禍以降は特に、あらゆる製品について、海外での製造に依存することに懐疑的になっているため、国内製造に回帰する流れも出てきている。
物資によっては、国家の安全保障にも関わるために、海外からの輸入がストップしても成り立つように、ということだ。
調達の難易度は益々増していく中で、企業はコストよりも、安定や安全を優先する覚悟が求められている。
地政学リスクを無視した経営は、もはや存立し得ないということだ。
そんな中で日本国内を見渡すと、少子高齢化と人口減少の問題が加速しており、複雑化の要因が益々増えているという状況である。
一方で、この人口減少を追い風と捉える一面もあるのが興味深い。
究極的な人手不足のため、DXを加速しやすい環境なのだと、著者は説く。
人材獲得合戦は今現在でも過熱している。
著者の予測だけでなく、これは私自身が実感していることでもある。
とにかく若くて優秀な人材を採用することは困難で、とても苦労している。
同時並行で、人が少なくても今までの仕事が回るように、省力化、効率化を進めていくしかない。
この待ったなしの状況が、DX化・ロボット化を後押しするのは間違いない。
古い慣習や非効率な作業を今すぐに変えていかないと、とてもじゃないが競争に打ち勝つことはできない。
マシンに任せられることはドンドン任せて、人間はより高度な業務にシフトせざるを得なくなっている。
この変化が、ホワイトカラーの仕事の在り方を根本から変えつつあり、この状況に対応できる社員と、対応できない社員の二分化が起きているのも、悩ましいところである。
しかしながら、この状況は不可逆なはずなので、どうにか対応できる道筋を見つけていくしかないと認識している。
アンラーニング、リスキリングという言葉が躍っているが、この発想の転換ができるかどうかが、生き残るための大きな一歩であるはずだ。
古い成功体験に縛られた組織をどうやって変えていけるか。
そもそも、変化を拒む「現状維持」というマインドを変えなければ、未来は益々厳しい状況になっていくことを認識させる必要がある。
2023年の予測を、2025年の現実と照らし合わせて分かったことがある。
確かに世界は激動しているが、そこには一定の流れが存在している。
もちろん予想外のことも起きている。
しかし、その状況を見極め、本質を探りながら、一歩でも二歩でも早く主体的に行動すれば、必ず道は開けるはずだ。
不確実な時代を生き抜くために、次の一手を打ち続けていきたいと思っている。
(2025/9/18木)