商品を売って終わりではなく、その先に生まれる関係まで育てたい。
約11年間携わった 和歌山県「完熟みかんオーナー制度」は、そんな私の仕事の原点のひとつです。
私が「完熟みかんオーナー制度」を担当したのは2013年。すでに始まっていたこの商品を引き継ぎ、約11年間、運営と商品育成に携わりました。
夏にオーナーになり、みかんの成長を楽しみに待つ。年末までの間、生育状況を「みかん通信」でお知らせし、収穫を迎える年末には完熟みかん30kgが届きます。
30kgという量だからこそ、自宅で楽しむだけでなく、年末のお歳暮として大切な人へ贈ることもできます。贈答用には「○○家のみかん」と名入れすることができ、まるで自分で育てたみかんをおすそ分けするような親しみがある。受け取った方からも「オンリーワンの贈り物」として喜ばれたという声をいただきました。
私が大切にしたのは、みかんを「販売すること」だけではありませんでした。
年々原価が高騰する中でも、品質と提供価値を守るため、お客様の声を聞きながら、情報発信の方法や贈答資材、価格施策などを改善。前年のお客様への案内や早期購入施策なども重ねながら、約500名規模、リピート率約50%のロングセラーへと育っていきました。
また、生産者と話を重ねる中で、「商品を届けるだけでなく、実際に産地を訪れてもらえないだろうか」という発想が生まれました。
そこで、オーナーのお客様が産地を訪れ、生産者や地域に触れる機会を試験的に企画・実施しました。
買う。待つ。届く。贈る。またオーナーになる。そして、産地を訪れる。
一つの商品から、お客様と生産者、そして地域との関係が少しずつ広がっていく。その経験から、商品には「モノ」を届けるだけではなく、人と人、人と地域をつなぐ力があることを学びました。
私がこれからもやりたいのは、まだ十分に知られていない地域の価値を見つけ、誰かにつなぎ、長く選ばれるものへ育てていくこと。
これまでは主に「食品」という形で届けてきましたが、これからは食を起点に、体験や観光、地域のコンテンツへも広げていきたいと考えています。