「売る」前に、まず話を聞く
約12年間、食品通販のバイヤー・MDとして、全国各地の産地を訪ねてきました。
その中でも印象に残っているのが、四国・勝浦のみかん農家との出会いです。
自治体から紹介されたその地域では、おいしいみかんを作っている一方で、全国的な知名度はまだ十分ではありませんでした。
「このみかんを、もっと多くの人に知ってもらいたい」
そんな思いで生産者を訪ねましたが、話を聞いてみると、すぐに通販で販売できる状況ではありませんでした。
過去の通販では、価格や販売量が重視され、生産者が大切にしていることが十分に伝わらなかった経験があり、通販そのものに慎重になっていたのです。
商品だけではなく、その背景まで届ける
そこで、すぐに商品化の話を進めるのではなく、まず生産者の話を聞くことから始めました。
私たちが届けたいのは、価格だけではないこと。
どんな土地で、どんな人が、どんな思いで育てているのか。
そうした背景も含めて、お客様に商品の価値を伝えたいとお話ししました。
その後、夏から収穫まで産地を取材し、育て方や土地の特徴、生産者の思いを番組やWebのコンテンツとして形にしていきました。
一度売って終わりではなく、育てていく
販売を始めると、毎年楽しみにしてくださるお客様が生まれ、商品は約5年間続きました。
この経験から感じたのは、商品を見るだけでは分からない価値があるということです。
まず現地へ行く。
人に会う。
話を聞く。
そこから、その土地や商品の本当の魅力を見つけ、「誰に、どんな価値として届けるか」を考える。
これは、今でも私が仕事をするうえで大切にしている姿勢です。
そしてこれからは、食品だけに限定せず、食を起点とした体験や観光、地域のコンテンツにも、この経験を活かしていきたいと考えています。