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仙台市議選、こども政策アンケートに真面目に答えた候補者はこの人たちだ!!

 こども達のために日本を変えるフローレンスは全国でこどもや親達のための活動をしています。そんなフローレンスは、東北の中心地、仙台に支社を持ち、活動をしています。


 さて仙台市では、7月30日に市議選を控えています。


 2022年、2023年と待機児童0を達成した仙台市ですが、一方で、隠れ待機児童がいたり、障害児の保育に制限があったり、障害児が相談しようとすると最大4ヶ月の待ち時間がかかったりと、政治主導で解決が望まれる保育の課題が数多くあります。


 そこで市議選の立候補者の皆さんに、保育と障害児支援に関する考えをうかがいたく、アンケートを実施しました。


 52人に送付したところ、19名の候補者から回答がありました。(4割弱というこの数値をどう思うか。仙台市のみなさんに解釈はお任せします)


 答えてくれた候補者、えらい!!少なくともこの人たちは、仙台市のこども子育て課題に真っ向から答えよう、っていう姿勢があるっていうことなわけです。


 メアドがなかったりメアドが古くてエラーになって返ってきちゃう候補者とかいて、もうそういう人は、市民の問い合わせに答える気ないな、と分かっちゃう。


 アンケート結果全文はフローレンスの公式サイトで紹介しているので、ちょっとマニアックになりますが、ここでは各質問と回答について解説を交えて見ていきます。


1.仙台市では、保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業を行っていますが、どのように評価していますか。

 このモデル事業は、保育所や幼稚園に通っていない、いわゆる「無園児」の0~5歳の子どもを、定員に空きのある保育所で週1~2回程度、定期的に受け入れるものです。


 僕たちも仙台市から受託された5つの保育園のうちの1つとしてモデル事業に取り組んでいきます。ポイントは「定期的に」預かるという点です(詳しくはこちら)。このモデル事業を通じて、定期的に預かることの重要性が改めて示されることを確信しています。


 回答を見てみると、

「子育て環境充実調査特別委員会等で同モデルについて先進的な取り組みとして提言を行なってきました。今後取り組みを進めていくべき事業として評価しています。(伊藤ゆうた候補)

「高く評価します。(小田島久美子候補)

 のように、実施についてはすべての候補者がポジティブに評価をしていると言ってよさそうです。


 満額の評価をしていない方を見てみても、

「今年度から事業を開始したところなので、今後も継続が必要です。(佐々木まゆみ候補)

「保育所資源の有効活用という点では一定の評価をするものですが、保育所の人員や地域ニーズ等の課題を把握・解決し、早期に本事業に移行すべきものと考えております。(野田ゆずる候補)

 のように、単発の支援にならずに本制度になることが重要と考えている方が多いです。


 本制度になるように、僕たちもモデル事業をしっかりやって定期的に預かる効果を示していきます!


2.仙台市発達相談支援センター(アーチル)が、受付から相談対応まで最大4ヶ月かかることに対して、どのようにお考えですか。

 子どもに障害があったり、発達がゆっくりだなと思ったら、仙台市では仙台市発達相談支援センター(アーチル)に相談するんですね。そのアーチルに相談するまでの待ち時間が、なんと最大4ヶ月ということで、市議会でも何度も取り上げられる大きな問題になっています。


 障害福祉サービスを使うためには受給者証というものを発行してもらう必要があります。一般的には役所の障害福祉課で発行されるのですが、仙台市では未就学児についてはアーチルが発行することになっているんですね。その受給者証を発行してもらうに当たっても相談対応まで4ヶ月も待つということで、問題をさらに深刻にしています。


 実際、お子さんに医療的ケアがあってフローレンスの医療的ケアシッターの利用を希望していたご家族も、受給者証がぜんぜん発行されなくてサービスを利用できずに転居を選択される方もいて、新聞で取り上げられたこともありました


 さて、こちらもすべての候補者が大きな問題と捉えていると言ってよさそうです。


 対応については大きく分けると2通りに分けることができ、

「実際にアーチルから支援につないでもらった経験のあるものとしては、4カ月待ちは長いと感じます。アーチルに連絡をする段階では、すでにある程度思いつめた状態になっていると予想できますし、小児発達の専門医での初診受付は非常に限られており、頼る先を見つけるのはかなりエネルギーが必要です。アーチルはすぐに相談が受けられるよう、もっと体制を厚くするべきと考えます。(ごとう咲子候補)

「各区に1以上の施設の増設と、支援体制の拡充が必要。(大沼えつこ候補)

 

 のように、アーチルの施設数や体制を強化するという考え方と、


「発達に課題を抱えている子どもたちは着実に増えている。相談にあたる職員を増員しても抜本的な解決にはつながらない。現在の2館体制から中心部にも新たな支援センターを設置することも考えねばならない。一方で、もう少し地域の小さな単位で相談できる体制があってもいいのかもしれない。まずは初期相談、そこからアーチルに繋がっていけるような体制の整備も、急ぎ検討し現在のような相談の待ち時間を減らす取り組みを構築すべきと考える。(猪又 隆広候補)

「大変危惧しており、今まで3回の本会議で取り上げて参りました。この問題は単純にアーチルを増やすという議論では根本的な解決は遠いと感じており、昨年アーチル相談前の相談支援事業の拡充を議会で提案し本年から予算化されました。その結果多少は改善傾向があるものの、いまだに待ち期間が長いという相談もあるところで先日もアーチルに訪問し意見交換を行って参りました。アーチルの職務分掌の見直しや、各区役所業務の見直しなど根本的なところから議論を行わなければいけないと考えています。またデジタライゼーションによる相談窓口を明確に分けるなども検討すべきと考えます。(ごうこ正太郎候補)

「仙台市の大きな問題として、アーチルがあります。北部と南部に2か所ありますが、相談まで待ち時間が長すぎます。今、様々な提案をして、かなり短くなってきましたが、それでも他都市と比較すると時間がかかりすぎます。今、アーチルの改革を進めていて、児童発達支援事業所に繋がる受給者証は、状況に応じて相談の前でも発行出来るように改善している所です。(佐藤わか子候補)


 のように、アーチルが担っている機能を分散させていくという考え方の、二通りが見て取れます。


 仙台市には固有の事情もあり一概に言うのは難しいのですが、機能を分散させていくことが他の自治体のように待ち時間を短縮できて、当事者の方に一刻も早く安心してもらうことができるのではないかと思います。


3.厚生労働省は、インクルージョンを推進していく上では、児童発達支援と幼稚園・保育所等との併行通園を推奨していくことが重要としていますが、どのようにお考えですか。

 障害があったり発達に特性があるお子さんは、先程書いたように児童発達支援という療育機関を利用します。児童発達支援は45分から数時間が一般的で、保護者が就労したい時の預かり先としては短いです。厚労省は、児童発達支援と保育園を併行して使っていくことを推奨している。当たり前ですよね。


 仙台市には、児童発達支援の中心的な役割を担う、「児童発達支援センター」が11個もあります。この児童発達支援センターはすべて仙台市の指定管理です。


 しかし、ここに通っているお子さんから「併行通園は認めない」「保育を利用するなら児童発達支援センターを退所してほしい」とセンター職員から言われた、という相談がフローレンスに入ってくることがあるので、この質問をしてみました。


 ほぼすべての議員が「併行通園できるようにしようよ」という意見を表明しています。

「仙台市では現在、2018年3月に策定した「仙台市幼児教育の指針」に基づいて、家庭や地域、 幼稚園、保育所、認定こども園等と連携しながら取り組まれていると認識しており、児童発達支援と幼稚園・保育所等との並行通園について組織の枠を超えた対応が必要と考える。(石川けんじ候補)

「「仙台市幼児教育の指針」に基づいて、すべての子供の保育、教育の基盤づくりの観点からも併行通園について条件整備を整えて、取り組むべきである。(つじ 隆一候補)

「児童発達支援と幼稚園・保育所等との併行通園について、組織の枠を超えた対応が必要である。仙台市では2018年3月に、家庭や地域、幼稚園、保育所、認定こども園等における幼児教育の充実を図るため「仙台市幼児教育の指針」が策定されており、組織を超えて横断的な視点を持った子どもの保育、教育の基盤の認識がある。併行通園を行うことについてもこれまでの本市の保育等行政の取り組みを活かし、人的物的等の条件整備を整え加速度的に行っていくべきである。(ひぐちのりこ候補)


 のように、「仙台市幼児教育の指針」を挙げてくれた候補もいれば、


「私も同じ考えを持っていて、東京の桜キッズの取り組みを仙台に導入しようとしましたが、アーチルの問題があり、うまく行きませんでした。今、個別に沢山の相談が寄せられているので、個別ではありますが、何件か併行通園してもらっています。仙台市として取り組むよう働きかけをしています。(佐藤わか子候補)

 既に併行通園を実現させている実績を書いてくれた候補もいました。


 仙台市の児童発達支援センターの人たち、見てるー!?


4.仙台市には、障害のある子どもを保育園に預けたくても預けられず、就労を諦めている人が一定数おります。この現状についてどう思われますか。

「障がいを持った子どもが保育を受けられないということでもあり、結果として保育を受ける権利、集団生活、友だちとの交流など経験する権利がうばわれている。保護者が保育所に入れないために働くことができないということは生活不安にもつながる場合も含め働く権利、生活の多様性の制限など様々な影響があり多くの権利侵害であると考える。(細野敬士候補)

「問題であると思います。障害のあるお子さんを預けられず、仕事に就けないことによって、世帯収入が減少し、生活への不安が生じるばかりか、つきっきりでお子さんのケアをせざるを得ない保護者の精神的・肉体的負担にも繋がります。障害児の受け入れ体制の拡充は、市としての課題であると考えています。(渡辺たかのぶ候補)

「事例のほかに様々な条件での隠れ待機児童は問題は喫緊の課題であり、障害者政策はきめ細かな対応をすべきであります。(佐々木心候補)


 のように、ほとんどの候補者が改善を求めています。


「就労を希望する保護者が、保育所にこどもを預けたくても預けられない現状を改善したい。こどもの障害の程度にもよるが、小児訪問看護の活用でニーズに対応できる場合は、活用できるようにしたい。(いのまた由美候補)

 という意見もありました。


 例えば香川県の高松市など、お子さんを普段から見ている訪問看護師が保育園で医療的ケアのサポートをできるように自治体が整えている事例もあります。

 仙台市でもぜひ活用できるようにしてほしいです。


5.仙台市の医療的ケア児の保育所受入れ人数は100万人当たり4.6人で、政令指定都市20都市中17位です。この現状についてどう思われますか。

「とても少ないと思います。仙台市立の保育施設は4ヶ所のみ、私立が6ヶ所とのことで、医療的ケア児が増加している状況に、仙台市としての対応が必要ではないかと思います。まずは家庭のニーズの把握、そして現場の体制整備でしょうか。(大河原ふゆこ候補)

 のように、これもほとんどの候補者が改善を求めています。


 フローレンスは2014年から障害児保育園ヘレンを東京で運営しています。惜しみなくノウハウを提供するので、選挙が終わったらぜひ行政職員を連れて見学に来てください。


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 最後に気になったこと。

「全てを公的機関だけで賄おうとすることには無理があると思います。民間の力を借りて、市民のニーズに応えていこう、との姿勢が行動に現れる日を願っています。(かまた城行候補)

「相談をされる保護者には大変な苦労と負担をかけている。民間との連携も踏まえて今後相談体制及び認定に要する期間短縮に努めていきたい(鈴木ひろやす候補)

 のように、民間との連携を訴える意見がありました。この意見はまったくその通りと思いつつ、これ、東京ではあまり聞かないというか、公立とか民間とか区別して考えることがあまりないので、印象に残りました。


 仙台市は公の力でこれまでやってきたのだと思います。例えば、普通は市区町村に1つの児童発達支援センターが、市の指定管理で11個もあるのが、その象徴なのでしょう。


 しかし言うまでもなく民間でもこども子育ての課題に取り組んでいる団体はたくさんあります。例えば、仙台市にも医療的ケア児に対応している民間の児童発達支援があります。医療的ケア対応というのは貴重で、他の自治体だと即待ち行列ができてしまうほどです。しかし仙台市では、アーチルから仙台市営の児発センターのみが紹介されるので、せっかく医療的ケアに対応している施設があっても閑古鳥が泣いていると言います。


 公立と民間で断絶させてないで、医療的ケア児とその家族を助けるために、両輪で進んで行ったら良いのに。


 というわけで、仙台市議選のアンケート結果でしたー!

 みなさん、投票のご参考にしてくださいなっ!


 答えてくれた候補者のみなさん、忙しい中、本当にありがとうございましたー!!

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