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BtoB組織の中で、UX組織を立ち上げた話

BtoB組織の中で、UX組織を立ち上げた話

記事はこちた

https://note.mu/memo_notes/n/n07beee80e36b

以下、上記より引用

2016年「おかいもの研究室」というユーザテストを軸にしたUXコンサルティングサービスをNHN テコラス株式会社で2016年7月に立ち上げました。(2018年6月にNHN JAPAN株式会社に所属を移動、2018年11月現在でも細々と続けています。)

そんな「おかいもの研究室」の誕生秘話(正確には「UX事業組織をどう作ったの?」)を聴いてみたい!という方から2018年の現在でもたまに連絡が来て相談にのったりしています。

全てのはじまりはASPカートシステムを新規サービスとしてリリースする!というミッションから

私はNHN Japan(現:LINE / NHN JAPAN)という会社にて、主にPCゲームプラットフォーム(ハンゲームや新規サイトなど)周りの企画&PMやスマホゲーム事業立ち上げ、経営企画室で社内システムの改善企画などをやっていました。

NHN JapanがLINEと言うサービスを立ち上げ、会社が分割して、まぁ色々な事が起こり、2015年8月に転籍にて代表取締役の直属部隊としてNHNテコラスのEC事業本部に合流しました。EC事業経験年数は極めて短い経験しかありませんが、戦略立案およびプロジェクトファシリテーションを担う役割がありました。

そんな私がCARTSTARというASPカートシステム(ネットショップ構築システム)をプロジェクトリーダーとして半年でリリースせよ!という特大ミッションを頂きました。

正確に書くと、
1)最初はプロジェクトファシリテーターとしてプロジェクト全体を支援してね。メンバーの教育もできればね。(な感じ。)
2)1ヶ月後に、やっぱプロジェクトリーダーやってね。(と言われる。)

補足ですがベースとなるASPシステムはサービス中。なのでゼロからの構築ではない。しかし新サービスを後半年でリリースって!結構無茶ですよね!稼働できるエンジニアは数人だし・・・。

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さて、ここから時系列で・・・。

2016年7月後半〜8月中旬|合流、先ずは理解から

CARTSTARのプロジェクトに合流したときの印象は、メンバーはEC経験値も情熱も高いのですが「良い機能があれば売れる」という思考が強すぎていました。つまりマーケティングがとても弱く、結果としてプロダクトとしての強み・優位性が全体的にぼんやりしていました。(言語化が弱い。)

そこで私はまず「現状の課題を洗い出し整理、プロダクトの強みと優位性の方向性を再定義する」ことから始めました。(教科書的な進め方)

製品を理解するためにASPカート市場を理解する

そもそもASPネットショップ構築システムについて詳しくないので、まずASPカート市場はなんぞや?という極めて初歩的かつ素朴な疑問を解決することから。

簡単に言うと疑問点を洗い出し周辺の人(開発、企画、営業、CS)に確認して整理する。それを客観的に見るため外部のECコンサルタントの方に確認してもらう。

自社製品と他社ASPカートの比較から考えて、整理した結果

① どの会社のASPカートも市場へのメッセージは「機能」と「実績」が中心。
② どの会社のASPカートも機能的な大きな差異はない。機能の同質化がかなりのレベルで進んでいる。
③ ネットショップ市場(特に本店、独自ドメイン)は成熟、しかし店舗さん(クライアント)は独自性を出したいという意識が高い。ただし独自性はデザインが中心。
④ 「かんたんに!」と言う事が結構重要。「かんたんに!」は色々な視点でバラバラ。人によって言葉が違う。

↓↓↓

私は機能重視での戦いは難しいと判断しました。新機能で勝負しても他社も直ぐに追いつきます。特許が取れるのすごい機能の実装も現実的ではありません。(そもそも時間がない。)

また競合としている他社は、何年も前から開発をスタートしており、機能の充実度(≒機能数)では追いつくのは難しい。(リソースが少ない。)

そこで私は「機能至上主義からの脱却」をまずマーケティングのテーマの1つと心の中で決めました

2016年8月中旬〜後半|テーマは機能至上主義からの脱却で行こう!(と心に誓う)

思考は製品開発とマーケティングテーマの間で行ったり来たり。(数日ですが)

・製品開発にとって重要な要素を絞り込み
・マーケティングのテーマをザックリと決め
・両者をバランスよく横断させ
・なおかつ「成長の仕組みを組み込む」

ことができるのか?。もちろん仮設検証が高速で回せるようにデータを取れることは重要だよねー。なんてことを色々と考えてました。

図にするとこんな感じ、かっこよく言うと、グロースハック的な思考が大事だよね。


う〜ん、まだまだ足りないな

「機能至上主義からの脱却」って具体的にはなんだ?という視点で考えると・・・。(つまり組織上の視点を変えると・・・。)

NHN グループは、エンタメ企業だよね。(ツム〇〇とか妖怪ウォッ○とか#コンパスとか、ハンゲームとかcomicoとか割と有名じゃん。)なのでグループとしてはB to C事業には結構・圧倒的に強いよね。それを取り入れよう!私も一時ハンゲームのプラットフォーム企画隊長だったしなー。

ということで

① ユーザー視点からプロダクトを作る事をやろう!
② ユーザーの行動から意思決定するというプロセスを導入しよう!
③ それをブランディングしよう!
ってのを思いついたのです。

BtoBtoCで行こう!

営業資料には書けないけど、全世界何千万ダウンロードの〇〇ツムを開発しているNHNのユーザー視点でプロダクトを作る能力って控えめに言っても、普通のASPサービスを作っている企業には絶対負けないよ!って事です。

慎重に行こう

これまでの戦い方は、競合と同じ機能の充実度での戦いなんですよね。「機能至上主義からの脱却」というテーマは、既存のメンバーへのコミュニケーションを間違えると大きな溝を作る可能性があるんです。否定に聞こえるからね。(慎重に慎重に)

2016年9月|おかいもの研究室という名前を思いついた!まずは部活から〜。(BtoB企業にUX思考の文化を作る挑戦の始まり。)

BtoBtoCへの意識改革は、簡単ではありません。そこで消費者を研究する「おかいもの研究室」という言葉を作りました。意図は分かりやすい名前を作ることで社内への意識改革を進めるためです。この言葉によって数人の仲間が集まりました。(つまり洗脳・・・。)

おかいもの研究室の社内浸透大作戦、4つのポイント

① 名前が大事

「おかいもの研究室」という名前が大事でした。
カッコよくすると「UXラボ」とか「消費者行動研究所」とかでしょうか。
でもこの類の言葉を使ったら「上から目線」に見えるだけ。社内で溝を深くするだけ。とにかくイメージしやすく。警戒されないことが大事でした。あと”ひらがな”。

② 本格的に人を育てる

大学で講師なども行っている非常に優秀な人間中心設計専門家の力を存分に借りユーザテストを沢山やりました。その結果をプロジェクトメンバーに共有することで、製品開発とマーケティングの溝を埋めていきました。(ユーザテストの社内担当は、洗脳1号と本人も言っている清水という人に全て委ねました。当時の私としては成長を期待してのカケ(博打)です。結果、博打には勝ちました。)

③ 社外の力を使う

テスト結果は、社外の方(業界では名の通ったECコンサルタント)にも見て頂きました。意識して巻き込みました。その方は非常に面白がって頂き、積極的に社内メンバーや役員、当時の弊社代表にまで「おかいもの研究室」のプロダクトの作り方とコンセプトは面白い!と言って頂きました。(言ってくださいと頼みました。)名の通った社外のECコンサルタントの客観的な声は非常に有効でした。

④ 部活ですよ♪

強引に浸透かつ拒否反応を最小にするために部活で活動開始です。(何でもありです。)

2017年1月|部活から公式のサービス名称へ

とにかく言い続けました。そして真面目に愚直に消費者行動をプロダクトに適応することをやりました。公開している具体的な流れはこちら。
以下は全て清水の記事となります。


『おかいもの研究室が作った食品ギフトECサイト』の記事


ユーザテストはこう活用する!『ユーザテスト×食品ギフトECサイト』1.サイト制作の流れ紹介編おかいもの研究室のECサイトの作り方:リモートユーザテストと定量的なデータの活用・専門家評価により、競合サイトをベースにしokaimonolab.jp


ユーザテストはこう活用する!『ユーザテスト×食品ギフトECサイト』2.ヘッダ解説編おかいもの研究室のECサイトの作り方:リモートユーザテストと定量的なデータの活用・専門家評価により、競合サイトをベースにしokaimonolab.jp


ユーザテストはこう活用する!『ユーザテスト×食品ギフトECサイト』3.商品ページ解説編おかいもの研究室のECサイトの作り方:リモートユーザテストと定量的なデータの活用・専門家評価により、競合サイトをベースにしokaimonolab.jp


ユーザテストはこう活用する!『ユーザテスト×食品ギフトECサイト』4.ギフト紹介ページ解説編おかいもの研究室のECサイトの作り方:リモートユーザテストと定量的なデータの活用・専門家評価により、競合サイトをベースにしokaimonolab.jp


ユーザテストはこう活用する!『ユーザテスト×食品ギフトECサイト』5.トップページ解説編おかいもの研究室のECサイトの作り方:リモートユーザテストと定量的なデータの活用・専門家評価により、競合サイトをベースにしokaimonolab.jp

結果として、CARTSTARのリリース時には1つの目玉(つまり他社との差別化要因として)プレスリリースにも「おかいもの研究室」という名称を世に出すことができました。ただしCARTSTARのプロジェクトマネジメントがメイン業務なのでそのバランスには気を使いました。

※「おかいもの研究室」の商標登録もしました。

以下プレスリリース抜粋
独自研究から生み出した業種別デザインで売上アップを支援するネットショップ構築プラットフォーム「CARTSTAR」の提供を開始

消費者行動を調査・研究する「おかいもの研究室」を新設立
業種ごとに最適化した標準デザインを準備することで簡単に導入でき、かつ売上アップを支援するネットショップ構築プラットフォーム「CARTSTAR(カートスター)」の提供を開始することをお知らせします。また、“消費者ファースト”を実現するため、お客様の行動を理解し、調査・研究を行う「おかいもの研究室」も設立します。

NHN テコラス、独自研究から生み出した業種別デザインで売上アップを支援するネットショップ構築プラットフォーム「CARTSTAR」の提供を開始NHN テコラス株式会社のプレスリリース(2016年1月27日 13時09分)NHN テコラス、独自研究から生み出した業種prtimes.jp

2016年7月「おかいもの研究室」は正式化へ

しばらくはCARTSTARの業務が中心でした。
しかし「おかいもの研究室」は社外(特にメディア)からの反応が良いので、2016年4月15日に組織として独立が決まりました。

そして以下のミッションを頂きました。

6月1日にサービスメニューを公開してください。(1ヶ月半で準備しろと・・・。しかもGW挟むぞ・・・。)
7月1日からは事業化(お金儲けしなさい。売上目標もつけるからね・・・。)

何とか用意して約束通り7月から事業化しました。

その後、柏木と清水の二人で色々な所で講演会などをしつつ、ユーザテストを中心にした、UXコンサルティング事業を行うのでありました。

おかいもの研究室|NHN JAPANおかいもの研究室の柏木です。 最近「スタートアップ」の考え方が、これからの事業成長に必要なのではないか?と思いその界隈の本okaimonolab.jp

後日談・・・。

2017年3月に、ゲーム事業に戻れ!と辞令が急に出て、「おかいもの研究室」とメンバー丸ごと、ゲーム事業会社であるNHN PlayArtに転籍するのでした。「おかいもの研究室」は引き続きやっても良いよ!って事でね。

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