皆さん人生で一番後悔していることは何ですか?
そう聞かれたら、私は迷わず答えます
「目の前の苦しさから逃げたこと。」
私は2歳半で柔道を始めました
兄と姉の送り迎えについて行った道場
父が指導者だったこともあり、気づけば畳の上に立っていました
……とは言っても、最初から柔道が好きだったわけではありません。
初めて着た道着はすぐに脱ぎ捨てて、パンツ一枚で道場を走り回る
今思えば、周りを困らせる暴れ馬のような子どもでした
それでも毎日学校が終われば道場へ向かい、練習して、試合をして、また次の日も畳に立つ。その繰り返しが私の日常でした
試合で負けるたびに泣いていた私に、先生(父)がかけてくれた言葉があります。
「負けて泣くのは、練習不足の証拠だ」
その一言は、幼かった私の心に深く残りました
泣くくらい悔しいなら、泣かなくていいくらい努力しよう。
そう決めてからは、誰よりも勝ちたい、誰よりも強くなりたい。その気持ちだけで畳に立ち続けました。
全国大会では3位という結果も残しました。
でも、不思議なくらい嬉しかった記憶はありません。
私の中に残っているのは、「1位になれなかった」という悔しさばかりでした。
“もっとできたんじゃないか”
“もっと努力できたんじゃないか”
そんなことばかり考えていました。
そして、小学校6年生の時に私は柔道から離れました。
練習が苦しかった。
遊びたかった。
頑張り続けることに疲れてしまった。
「もう辞めよう。」
そう決めた瞬間は、少しだけ楽になった気がしました
でも、その”楽”は本当に一瞬でした
時間が経つほど、心に残ったのは安心ではなく後悔でした。
「あの時、逃げなければ。」
「あの時、もう少しだけ頑張れていたら。」
人は失敗したことよりも、自分で諦めてしまったことの方を、何年経っても忘れられないのかもしれません
高校で推薦をもらうために、私は柔道へ戻りました
きっかけは決して格好いいものではありません
勉強をしたくなかった。ただ、それだけです。
でも、もう一度畳に立った時、気づきました。
私が逃げたかったのは柔道じゃない。
苦しい現実でした。
逃げた先に待っていたのは楽な人生ではなく、「あの時逃げなければ」という後悔だけだったんです。
柔道は私に、勝つこと以上に大切なことを教えてくれました。
“諦めないこと”
“努力を積み重ねること”
“感謝を忘れないこと”
そして何より、苦しいから逃げるのではなく、苦しいからこそ向き合うこと。
あの日、一度大切なものから逃げた私は、その後悔を何年も抱え続けました
だから今は、どんなに苦しくても簡単には逃げません。
あの日の後悔を、もう二度と味わいたくないから。
あの出来事は、柔道人生の挫折ではありませんでした。
私の人生で、「逃げない」と決めるきっかけになった、一番大切な出来事でした。