こんにちは!高橋一大です。
静かな休日の朝、使い込まれた陶器のカップに淹れたての珈琲を注ぐと、黒い水面に白い湯気がゆっくりと立ち上り、一瞬だけ不思議な模様を描いては消えていきます。その儚くも美しい変化を見つめていると、世界は常に目に見えない小さな動きや物語で満たされているのだと実感させられます。日常の何気ない隙間に転がっている光の破片や小さな音の重なりに気づく瞬間こそ、私たちが生きている世界の豊かさを教えてくれる気がするのです。
私はフリーランスの動画クリエイターとして、企業のPR映像や導入事例の動画など、さまざまな映像コンテンツの制作を担当しています。映像制作会社での長年の勤務を経て独立した今も、ずっと大切にしているのは、表面的な華やかさだけでなく、その裏側にある熱量や思いをどうやって画面の上に浮かび上がらせるかという視点です。
動画を作り上げていく工程は、どこか水槽の中にひとつずつ透明なガラス玉を沈めていく作業に似ていると感じることがあります。光の差し込む角度や水の濁り具合によって、沈めたガラス玉が時に強くきらめき、時に静かに背景へ溶け込んでいく。企画から撮影、編集に至るまでの各プロセスにおいて、どのようなカットを選び、どのような配置で並べるかによって、画面全体が放つ空気感や熱量はまったく異なるものへと変化していきます。
また、長年使い込まれた革製品の手入れをする時の感覚も、私の映像制作における重要な指針となっています。表面の小さな傷や使い込むことで増した艶をひとつずつ確かめ、丁寧にオイルを馴染ませていくように、動画の中にある音の強弱やカット間のテンポをミリ単位で磨き上げていくのです。言葉で説明し過ぎるのではなく、映像の肌触りやリズムを通じて、観る人の心の中にじんわりと伝わるような質感を作り出すことを目指しています。
私たちが過ごす毎日の生活の中には、まだ誰にも見つけられていない美しい瞬間や、語られるのを待っている魅力的なストーリーが無数に眠っています。レンズというひとつのフィルターを通すことで、見慣れた景色やありふれた日常に新しい意味や光を与えていくこと。
これからも画面の向こう側にいる人々の心に深く届くような作品を目指し、ひとつひとつの素材と丁寧に向き合いながら、表現の可能性を探求し続けていきたいと思っています。