AIに乗り遅れていたデザイナーが、バイブコーディングに挑戦してiOSアプリをリリースした話|Goodpatch Blog グッドパッチブログ
こんにちは。グッドパッチのUI/UXデザイナー、KCです。最近はデザイナー界隈でも、生成AIの話題で持ちきりです。MCP、AIエージェント、バイブコーディング──日々新しい単語が飛び交う昨今、正直に言うと、僕はAIの進化に全くついてい...
https://goodpatch.com/blog/2026-03-flex-counter
正直に言うと、数ヶ月前まで僕は 「AIに乗り遅れている」 と焦っていました。そんな僕が2026年2月にグッドパッチへ転職して、早いものでもう約4ヶ月。ひとことで言えば、「デザイナーとして、AIとどう向き合うか」を手探りし続けた4ヶ月でした。
この記事は、かつての僕と同じように転職やAIへの一歩を迷っている人に向けて書いています。きれいにまとめることよりも、そのとき何を考えて、何をやって、どうなったのかを、事実と気持ちのまま残しました。何かひとつでも参考になればうれしいです。
まず最初に書いておきたいのが、「入る前と入った後で、会社への解像度がどう変わったか」の話です。
具体的には、ChatGPTで仕事の相談や壁打ちはする、くらいの使い方どまり。「生成AIをちゃんと使いこなせている」と言える実感はまったくありませんでした。SNSのブックマークには「生成AIで効率化」みたいな記事が溜まる一方で、日々の忙しさを言い訳に、ちゃんと触りに行けていない。そんな状態でした。
ブックマークしただけで、ちょっとAIに詳しくなった気がしてたけど気のせいでした🥲
ちなみに、クライアントワーク自体は前職でもやっていたので、そこへの不安はほとんどありませんでした。特に引っかかっていたのは、"AI"のだったんです。
4ヶ月時点で 「これはGoodpatchに入ってよかったな」 と素直に感じているポイントが、3つあります。
入る前と今のギャップで言うと、想像していたよりずっと刺激的で、学びの多い場所だったというのが4ヶ月時点での率直な感想です。
という前提を置いた上で、ここからは、その4ヶ月で具体的にどう動いてきたかを書いていきます。
本題に入る前に、入社前のことも少しだけ書いておきます。
実は、AIの勉強は 入社前から始まっていました。きっかけは2つあって、1つは前述の「乗り遅れている気がする」という焦り。もう1つが、オファー面談での会話です。「AIの活用と、それを社内外に発信していくことも期待しています」と直接言葉にしてもらえて、「乗り遅れている感」と「期待されていること」が一致した瞬間に、入社前にやることが自分の中ではっきりしました。
本を読んだり動画を見たりするより、何かしら自分の手で形にするほうが速いと思って、勉強し始めてすぐに個人開発に着手。Cursor / Figma / Layermate を組み合わせて、入社前の1ヶ月で「Flex Counter」というカウンターアプリをiOSにリリースするところまで持っていきました。
アプリを作ると決めた頃のタイミングで、「この体験、入社後にブログで出せないかな」と考えるようになりました。デザイナーがバイブコーディングで個人アプリをリリースした話って、自分が候補者だったら気になるはずだし、社内的にも「入って早々に発信するメンバー」のサンプルになるかもしれない、と。
実際にこの内容は、「AIに乗り遅れていたデザイナーが、バイブコーディングに挑戦してiOSアプリをリリースした話」として Goodpatch Blog に掲載してもらえました。
「自分でも、AIと一緒なら最後までやりきれた」というこの小さな成功体験が、入社後のすべての動きの起点になるとは、このときは思っていませんでした
そうやって入社前から走り出した上で、テーマはシンプルにこの2つを最初から決めて持っておくことにしました。
この2つを特に意識して過ごしてきました。あれこれ広げるよりも、まずは 「目の前の人に信頼される動きをする」と「AIを毎日使い倒す」 に時間を使う。それで何が起きるかは、やってみてから考えればいい、と。
このテーマに沿って、ざっくり3つに分けて取り組んでいました。そして振り返ると、この3つはどれも、結局「AIをどう使うか」が中心にあった4ヶ月でした。
この4ヶ月で、業種の異なる3つの案件に関わりました。フェーズも進め方もバラバラで、機密保持の都合で具体的に書けない部分も多いので、ここでは案件ごとの細かい成果ではなく、3つを通して自分の中に残った学びを中心に振り返ります。関わった案件は、ざっくりこんな組み合わせでした。
特に嬉しかった成果は、大手ドラッグストアのアプリ案件は、単発で始まった新規案件だったが、継続案件に切り替わったことでした。
3案件に共通して効いたのは、受け身で待たずに、自分から主体的に動くことでした。必要な情報は、自分から関係者に聞きにいって集める。いきなり大きく動かさず、小さな機能やたたき台からまず試して、感触を確かめる。気になったことや懸念は、遠慮せず早めに口に出す。
「目の前の人に信頼される動きをする」というテーマに対して、正解の動き方は案件ごとに違っても、根っこは "自分から主体的に動くこと" で共通していたな、というのが4ヶ月で一番はっきりした感覚です。実際、一番深く関わった案件では、進め方や方針について向こうから相談してもらえる場面が増えてきて、仕事のパートナーとして信頼してもらえている実感があります。
もう一つの大きな変化が、AIによって"何を議論できるか"の幅が変わったことです。
象徴的だったのが、Figmaで画面を作るのをやめて、バイブコーディングでプロトタイプを作る進め方に切り替えたこと。意識的に「脱Figma」と決めた瞬間があったわけではなく、「どっちが速くて価値が高いか」で毎回選び続けたら、結果的にFigmaの画面編集がゼロになっていた、という感覚に近いです。
個人開発でiOSアプリを作りきっていたので、バイブコーディングでプロトタイプを作ること自体は、自分にもできるはずだという感覚は入社時点で持っていました。
半信半疑だったのはむしろ、"趣味の延長"ではなく案件のど真ん中で、それが本当に通用するのか、というところ。やってみたら、クライアントさんのご協力もあり思いの外スムーズに回って、「あ、いけるんだ」と。
これによって、「絵で議論する」段階から「動くものを触って体験を検証する」段階へ進めるようになりました。静的な画面では検証しきれなかった操作感やインタラクションまで、ユーザー検証の対象に乗せられる。「Figmaで線を繋ぐのが当たり前」という思い込みを、AIを手にしたことで気持ちよく捨てられた、これがこの4ヶ月で一番大きな仕事観の変化だったと思います。
この"脱Figma"の進め方は、ブログに詳しくまとめています。
①と②は「自分がどう動くか」の話でしたが、もう一つ、この数ヶ月で踏み出せた感覚があります。それが、自分が身につけたAIの使い方を、自分だけのものにせず、クライアントチームにも渡していくということです。
きっかけは、先方のデザイン・企画チーム向けに開いた 「バイブコーディング体験会」。Claude Codeでプロトタイプを作るハンズオンを、自分がメインのファシリテーターとして設計・進行しました。参加者の多くはAIでの開発は初めて。「個人の生産性を上げる」だけで終わらせず、先方が自分たちでプロトタイプを作って試せるようになるのが狙いでした。
やってみて一番学んだのは、「うまく作る」より「まず触ってもらう」を最優先に置くこと。最初の数分で「自分にもできた」という成功体験さえ作れれば、後半で多少つまずいても前向きに乗り越えてもらえる。エラーが出てAIが言うことを聞かない場面も、隠さず「じゃあ、その場で一緒に直しましょう」と実演したほうが、かえって学びになりました。
「自分が作る」から「相手も作れる」へ。体験会のあとには 継続開催の依頼までもらえて、AIの"広げ方"にも手応えが出てきました。
4ヶ月のあいだに、ほぼすべての業務を、AIを通して進めるようになりました。たとえば、デザイン以外にも、
「自分ひとりで考える」より、AIと一緒に考えるほうがアウトプットの質もスピードも上がる場面が多くて、AIがもはや日常の作業環境の一部になっている感じです。
案件で得たAIの使い方は、できるだけ文章で残すようにしてきました。AI関連で書いたのは、Goodpatch Blog 2本 + 社内ブログ 10本 の計12本です。
外部に公開している2本は、どちらもこの記事の中で紹介したものです。
社内ブログには、バイブコーディングでのプロトタイピング、エディタとClaude Codeの組み合わせ方、AIと音声入力をセットで使う方法など、実践しながら得たノウハウを10本残しました。
12本書いてみて、「これは続けてよかったな」と素直に感じているのは、書くことで、自分の経験が"次に使える形"に整理されていくことです。「何が原因で」「どう変わって」「次に再現するなら何が必要か」、これを言葉にしないと、記事は書き終われない。だから書き終わるころには、その経験が次の案件でもそのまま使える形になっているんですよね。
最近は、記事に書くことを前提に案件に取り組めるようになってきた感覚もあります。案件を進めている最中に「ここは後で記事に書こう」と感じた点を、その場でメモするようになりました。
そして、この"書き続ける"がしやすい環境がグッドパッチにあることも、正直すごくありがたいなと思っています。書いたものがちゃんと読まれて、それがまた次の誰かの発信につながっていくmその回転の速さがあるから、「書いても読まれないかも」と手が止まることがない。発信そのものを後押ししてくれる空気があるから、振り返りを次に活かすサイクルを、安心して回し続けられているんだと思います。
案件と並行して、「誰かに頼まれたわけじゃないけど、自分がやっておくと組織のためになりそうだな」と思えるものにも、いくつか手をつけました。うまくいったものも、途中で止まったものもあります。
ひとつは、案件で作ったフォーマットやドキュメントを、その案件だけで使い捨てにせず、次に同じタイプの案件を担当する人がすぐ使える形で社内に残すことです。自分が入った当初、必要な情報や過去のやり方を探すのにけっこう苦労したので、「次の人が、最初の数日を仕組み探しで溶かさなくていい状態」を作りたかったんです。地味だけど、組織貢献としてはここがいちばん手応えがありました。
もうひとつは、メンバーが社外イベントにもっと気軽に参加できるよう、イベント情報が自然と集まってくる仕組みを作ろうとしたこと。ここでもAIを相棒に、いくつかの方法を試したのですが、技術的な壁にぶつかって、これはいったん保留にしています。
止まったあとは、「仕組みで解決できないなら、まず自分が一参加者として動いてみる」に切り替えました。社外のイベントに顔を出して、持ち帰った学びを社内で共有していく。自分が動いた結果を発信することで、結果的にまわりの参加のきっかけにもなればと、いまはそんなアプローチを取っています。
4ヶ月の振り返りを書いてみて、改めて、「動きながら考える」が自分に合うやり方だと、改めて分かってきました。動く前に考え込むより、動いてから見えてくることのほうが圧倒的に多かった4ヶ月だったなと思います。
そしてもう一つ感じているのが、AIがあることで「動きながら考える」がやりやすくなっているんじゃないかということ。手を動かす、考える、また手を動かす、というサイクルを、AIが横で並走してくれるおかげで、以前よりずっと回しやすくなっている気がします。
ほんの数ヶ月前まで「AIに乗り遅れている」と焦っていた僕でも、少しずつ変われてきていると思います。だから、もし今同じように感じている人がいても、行動してみればわりとすぐ景色は変わります、というのは声を大にして言いたいところです。「AIに乗り遅れている」と焦っていた頃の自分に伝えたいのは、AIは"勉強してから使う対象"じゃなくて、"動きながら隣に置く相棒"だった、ということ。大事なのは、完璧に理解してから使い始めることじゃなくて、目の前の小さな作業をひとつ、AIに渡してみることだけだったな、と思います。
クライアントの方やメンバーといろんな場所で飲みに行きました。グッドパッチは基本的にフルリモートの働き方なのですが、それでもこうしてオフラインで集まる機会が意外と多くて、これは入る前のイメージといい意味で違ったところです。とはいえ、撮り忘れた飲み会も多くて、ここには撮れていた一部だけ載せておきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
もしこの記事を読んで、グッドパッチの「AIへの向き合い方」や「動きながら考える」働き方が少しでも気になったなら、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!「転職を決めている」段階じゃなくても大丈夫です。「ちょっと話を聞いてみたいな」くらいの温度感で、気軽に声をかけてもらえたら嬉しいです。