先日、MicrosoftがCopilotのアイコンをリニューアルしました。9月に発表された新しいCopilotは、チャットや作業の委任、アプリ作成などを一つの場所にまとめたものです。新しいアイコンも、二つの四角形が一つになる形でその考え方を表し、AIが「考えている」「情報を集めている」といった状態を動きで伝えるようになっています。
これをきっかけに、アイコンの使いやすさに関する研究を調べてみました。アイコンデザイン以外にも使える考え方が多くありました。
① シンプルにする
アイコン研究の第一人者であるMcDougallらの実験では、アイコンの複雑さの影響は長く続き、目的のアイコンを見つける速さに関わっていました。別の実験でも、シンプルなアイコンは複雑なものより速く見つけられました。見た目の美しさが探す速さを助けたのは、複雑なアイコンの場合だけでした。
→ 装飾を足す前に、形を減らせないかを考える。
② 意味と見た目を近づける
アイコンの見た目と機能の結びつきの強さを「意味的距離」と呼びます。使い始めの段階では、この意味的距離が成績を最もよく予測し、ばらつきの最大55%を説明しました。慣れてくると、機能そのものへのなじみのほうが重要になりました。
→ 初めて見る人が「何のボタンか」を想像できるか確かめる。
③ 最初は具体的に、あとは「慣れ」が効く
実物に近い具体的な絵の効果は、主に最初に意味をつかむときに表れました。
→ 新しく作るなら具体的に。リニューアルなら、利用者が慣れた要素を一部残す。
④ 周りと区別できるようにする
アイコンの見分けやすさは、意味の違いと見た目の違いの両方をつけることで高まりました。
→ 色だけ、形だけで区別しようとせず、両方に違いをつける。
⑤ 動きには意味を持たせる
待ち時間の研究では、何らかの反応(フィードバック)があると、利用者が許容できる待ち時間が長くなりました。AIの読み込み表示の研究でも、アニメーションやグラデーションのある表示は、待っている間の退屈を減らしました。いま何が起きているかを伝えると、不確かさが減って待ちやすくなるという報告もあります。
一方で、読み込み中にアニメーションを加えると、黒い画面のときより待ち時間が長く見積もられ、速さや満足度の評価が下がったという研究もあります。
→ 動きで「今何をしているか」を伝える。飾りのための動きは逆効果になりうる。
研究は出発点。決めるのは受け手
ここまで見てきた研究に共通しているのは、判断の基準が常に「使う人」の側にあることです。研究は手がかりになりますが、最後は実際に使う人の感覚で確かめるしかありません。
そして大切なのは、闇雲に省くのではなく、目的を持って省くことだと感じます。目的があるからこそ、自信を持って省くことができ、省いたことそのものが意味を帯びてきます。もちろん、自分の好きなデザインを描くことが目的なら、それは自由です。けれど、ビジネスの中で必要とされるデザインを考えるなら、受け手の感覚を持っていることが欠かせません。
もう一つ感じたのは、受け手の視点は「効率」のためだけのものではないということです。分かりやすいアイコンは、売上につながる前に、まず「迷わない」「不安にならない」という使う人の負担を減らします。小学校の教員だった頃、黒板の掲示や合図を一つ変えるだけで、子どもたちが安心して動けるようになる場面を何度も見てきました。相手の負担を減らすことが、結果として成果につながる。この順番は、教室でもビジネスでも、そしてデザインに限らずどの仕事にも当てはまると考えています。
参考文献
- Microsoft Design「More than a mark: How Copilot's icon joined the conversation」(2026年10月5日)
https://microsoft.design/articles/more-than-a-mark/ - Microsoft「Introducing the new Copilot with Home, Code and Autopilot」(2026年9月25日)
https://blogs.microsoft.com/blog/2026/09/25/introducing-the-new-copilot-with-home-code-and-autopilot/ - McDougall, S., de Bruijn, O., & Curry, M. (2000). Exploring the effects of icon characteristics on user performance: The role of icon concreteness, complexity, and distinctiveness. Journal of Experimental Psychology: Applied, 6(4), 291–306.
https://doi.org/10.1037/1076-898X.6.4.291 - McDougall, S., & Isherwood, S. (2009). What's in a name? The role of graphics, functions, and their interrelationships in icon identification. Behavior Research Methods, 41(2), 325–336.
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https://doi.org/10.1016/j.apergo.2017.06.015 - Pibernik, J., Dolić, J., Stanić, R., & Mandić, L. (2018). User experience of wait – animation progress indicator.
https://www.bib.irb.hr/943014 - Long seconds: How AI text-loading design affects the subjective feeling of waiting for users(AHFE Open Access)
https://openaccess.cms-conferences.org/publications/book/978-1-964867-71-7/article/978-1-964867-71-7_16
📷写真は、広島県厳島神社の鳥居⛩️