こんにちは!松岡史晃です。
誰かと一緒に何かを作り上げるとき、私たちは互いの頭の中にある見えない地図を持ち寄っています。私の仕事は、その地図に描かれた細かな道筋をたどり、目的地までの歩みを支えることです。
日々の対話の中で、私はよく小さな「植木鉢」のことを思い浮かべます。相手と交わす言葉の一つひとつは、土の中に蒔かれた小さな種のようなものです。最初は芽が出るかどうかもわからない静かな状態ですが、じっくりと話を聞き、時間をかけて水を注ぐことで、少しずつ緑の芽が顔を出します。急いで花を咲かせようと力任せに引っ張っても、茎が折れてしまうだけです。相手のペースに合わせてじっくりと育てる姿勢が、何よりも大切だと実感しています。
また、複雑な課題を整理するときには「知恵の輪」を解く感覚に似た発見があります。力任せに引っ張り合っても金属はかみ合ったままですが、角度を少し変えて静かに滑らせると、驚くほどあっさりと結び目が解ける瞬間があります。相手の抱える困りごとも同じです。正面から力づくで解決しようとするのではなく、視点を変えて物事の重なり具合を観察することで、すんなりと道が開くポイントが見つかります。
さらに、チームや組織の中で活動するときは「合唱団」のハーモニーを意識します。全員が同じ声量で同じ音を主張し続けると、ただの騒音になってしまいます。相手の出す音の高さや響きに耳を傾け、時には自分の声を抑えて相手を引き立てたり、逆に力強く低音で支えたりすることが求められます。それぞれの得意な音域を生かしながら調和を目指すことで、ひとりでは決して作れない豊かな響きが生まれるのです。
人と人との関わりから生み出される仕事には、あらかじめ決められた正しいマニュアルが存在しません。だからこそ、相手の気持ちに想像力を働かせ、最適なアプローチを模索し続ける楽しさがあります。土を耕し、知恵の輪をほどき、ハーモニーを奏でるように、目の前の人と丁寧に向き合っていく作業には尽きない魅力が詰まっています。
これからも相手の声を深く聞き取りながら、互いにとって心地よい着地点を探す試みを続けていきたいと考えています。ひとつひとつの対話を大切に重ねていくことこそが、確かな信頼を築くための歩みになると信じています。