「あの資料、どこにありましたっけ」。どの会社でも、一日に何度か飛び交う一言だと思います。
私たちは今、社内の資料を読み込ませたチャットボットに、この種の質問を投げています。仕組みはRAG(検索拡張生成)といって、質問に近い部分を資料の中から探し出し、その内容をもとに答えを作るものです。使っているのは、私たちが提供しているONEBOTです。
使ってみて分かったのは、答えの質を決めるのはボットの賢さより、元の資料だということでした。古い版と新しい版が両方残っていたり、同じ内容の資料が二つあって書いてあることが食い違っていたりすると、ボットはどちらも読んで、間違った答えを返します。人が見れば「こっちは古い」と分かるものを、ボットは区別できません。だから先に、資料を整理しました。ボットの設定ではなく、人の作業です。地味ですが、ここが土台でした。
次に、権限です。社内の資料は、全員が見てよいものばかりではありません。ボットが全部を読める状態だと、見てはいけない人の質問に、見てはいけない資料をもとにした答えが返ってしまいます。答えが出てから隠すのでは遅く、資料を探す段階で、その人が見てよいものだけに絞る必要があります。最初に決めておくべきことでした。
もう一つは短い話です。同じ質問が、少し減りました。まずボットに聞いてみる人が増え、同僚の手を止めることが減った、という感覚です。回数を数えたわけではないので、あくまで実感です。ボットの答えは判断の材料で、決めるのは人です。
ONEBOTは、日本の企業向けのAIカスタマーサポートとして作ったものです。社内で使うのは、その本来の用途とは少し違います。それでも、資料の整理と、見てよい人ごとの権限という二つは、自分たちで使って初めて実感として分かりました。ONEBOTにも、その経験は入っています。
AIチャットボットを検討されているなら、機能の比較より前に、「元になる資料は、いまどんな状態か」「誰がどの資料を見てよいか」を、一度確認してみるのも一つの方法だと思います。
皆さんの会社では、同じ質問が何度も繰り返されていませんか。