仕様のやり取りが長引くきっかけの一つは、開発が始まってから「この画面とあの画面で、言っていることが違います」と気づくことです。私たちがAIを使うのは、この往復を減らすためです。開発が速くなる、安くなる、といった約束をするための道具にはしていません。
要件定義書の初稿は、ヒアリングのメモを生成AIに渡して作っています。箇条書きのメモから、章立てが整った下書きが数分で出てきます。ただ、それをそのままお客様にお見せすることはありません。ある画面では「削除は管理者のみ」、別の画面では「担当者も削除できる」と書かれていても、AIは両方をそのまま文書にしてしまうからです。こうした食い違いは、人が通しで読むか、機械で候補を拾うかしない限り、文書の中に残ります。残ったまま開発に入れば、どこかで誰かが気づき、質問が行って戻ってきます。
そこで、開発に入る前に、食い違いの候補を洗い出して、まとめてお客様に確認します。質問を1回にまとめられれば、開発の途中で何度も往復することは減らせます。
AIに埋められないものもあります。たとえば「繁忙期は承認フローを一部省略する」といった、ヒアリングで語られなかった業務のルールです。渡されていない情報は、初稿には入りません。これはお客様に聞くしかないので、最初のヒアリングには人が入ります。
AIの出力が正しいかどうかを確かめるのは、人の仕事だと考えています。往復が何回減ったという数字は、今のところお示しできません。それでも、開発に入る前に食い違いを見つけておくほうが、あとで直すよりずっと軽いと感じています。
発注する側として、AIが入る開発でいちばん気になるのは何ですか。よければコメントで聞かせてください。