人は年齢を重ねるほど、「こうなりたい」という気持ちを失っていくように感じます。
幼い頃は違いました。
テレビを見ればヒーローに憧れ、警察官になりたいと思う子がいる。
ドラマを見れば看護師に憧れる子がいる。
サッカー選手、野球選手、パティシエ、宇宙飛行士。
子どもの頃の夢は、何の根拠もなく、ただ純粋に「かっこいい」「自分もなりたい」という感情だけで生まれます。
そこには周りの目も、現実的な損得もありません。
ただ、自分の心が動いたものに一直線だった。
私もその一人でした。
幼い頃の夢は、カーレーサー。
車が好きで、速く走る姿に憧れていました。
でも、その夢はある日を境に変わります。
バスケットボールとの出会いでした。
最初のきっかけなんて、本当に些細なものです。
「友達がやっているから。」
そんなありふれた理由で始めたスポーツでした。
正直、最初は10年以上も続けるなんて想像すらしていませんでした。
ですが、気づけば人生のほとんどをバスケットボールと共に過ごしていました。
なぜそこまで続けられたのか。
今振り返ると、その理由は一つしかありません。
ゲームや遊びでは決して味わえない”本当の楽しさ”を知ってしまったからです。
私が小学生だった頃、周りではイナズマイレブンが流行り、ポケモンが流行り、3DSを持って遊ぶことが当たり前でした。
友達同士で「あのゲーム懐かしいよな」と話している姿を今でもよく見ます。
でも、私はその会話に入れません。
その頃の私は、放課後になると体育館へ向かい、バスケットボールしかしていなかったからです。
だから、「懐かしいゲーム」という思い出がありません。
その代わりにあるのは、体育館の床の匂い。
汗で滑るフローリング。
何百回、何千回と繰り返したシュート。
仲間と交わした「絶対勝とうな」という言葉。
そして、練習終わりに見上げた夜空。
それが私の青春でした。
もちろん、友達から遊びに誘われることもありました。
「今日遊ぼうや。」
そんな誘いに対して、私の返事はいつも決まっていました。
「今日はバスケあるから無理やわ。」
それどころか、
「遊ぶんやったら、一緒にバスケせえへん?」
そう言って周りを誘っていたこともあります。
それほどまでに、私にとってバスケットボールは”遊び以上に楽しいもの”でした。
しかし、その楽しさは決して楽なものではありません。
私が所属していたチームは、決して「楽しくやろう」という環境ではありませんでした。
監督が体育館へ入ってきた瞬間、空気は一変します。
怒号が飛び交い、厳しい指導が始まる。
ミスをすれば叱られる。
思うようにプレーできず悔し涙を流す日もありました。
何度も辞めたいと思ったことがあります。
何度も自分の未熟さに腹が立ちました。
努力しても結果が出ない。
試合に出られない。
仲間との差を感じる。
そんな経験は数え切れないほどあります。
それでも私は辞めませんでした。
なぜなら、その先にある景色を知っていたからです。
仲間と一つの目標に向かって努力し、
何度も壁にぶつかり、
その先で勝利を掴んだ瞬間。
あの達成感は、言葉では表現できません。
「あの瞬間のためなら、この苦しさにも意味がある。」
そう心から思えたのです。
そして、もう一つ。
私がバスケットボールを好きだった理由があります。
それは、自分だけの価値を感じられたことです。
周りには野球をしている人が多くいました。
サッカーをしている人もたくさんいました。
だからこそ、バスケットボールを本気でやっている自分に、少しだけ特別感を抱いていました。
「誰もがやっていること」ではなく、
「自分だからこそやっていること。」
その感覚が、誇らしかったのです。
バスケットボールを通して私は数え切れないほどのことを学びました。
努力の大切さ。
継続する力。
仲間を信じること。
自分の弱さと向き合うこと。
目標を立てる意味。
そして何より、
人は一人では限界があるということ。
どれだけ才能があっても、一人では勝てません。
仲間がいて、支えてくれる人がいて、厳しく指導してくれる人がいる。
その環境があったからこそ、今の自分があります。
私はこの経験が、社会人になった今でもすべて繋がっていると感じています。
仕事も同じです。
人間関係も同じです。
毎日が順風満帆なわけではありません。
思い通りにいかない日もあります。
苦手な人もいます。
悔しいこともあります。
逃げ出したくなる日もあります。
ですが、その先に「自分が本当に欲しい未来」があるのなら、その感情だけで立ち止まってしまうのは、あまりにももったいない。
大切なのは、
“今の感情”ではなく、“未来の自分”を基準に行動すること。
人は好き嫌いで行動すると、成長は止まります。
しかし、「なりたい自分」が明確な人は違います。
嫌なことがあっても前へ進めます。
苦手な人がいても学ぼうとします。
失敗しても挑戦をやめません。
それは、自分が見ている景色が今ではなく未来だからです。
だから私は、目標を持つことは人生において何より大切だと思っています。
どんなに小さな目標でもいい。
「来月までにこれを達成する。」
「今年中にここまで成長する。」
その一つひとつが、人を変えていきます。
そして、その目標を本気で追いかけ、達成した瞬間の感覚を、一度でいいから味わってほしい。
あの感覚を知っている人と、知らない人では、その後の人生の歩み方が大きく変わると私は思っています。
なぜなら、人は一度「努力が結果に変わる瞬間」を知ると、もう一度その景色を見たくなるからです。
努力は裏切らない。
そんな綺麗事を言うつもりはありません。
努力しても報われないことはあります。
ですが、
努力した人にしか見えない景色があることだけは、胸を張って言えます。
だからこそ、今もし何かに迷っている人がいるなら。
「なりたい自分」を一度、本気で考えてみてください。
誰かと比べる必要はありません。
正解を探す必要もありません。
大切なのは、自分自身が心から「こう在りたい」と思える姿を見つけることです。
そして、その姿に少しでも近づくために今日一歩踏み出してください。
環境は人を変えます。
本気で成長したい人が集まる場所に身を置けば、自分も自然と前を向けます。
逆に、現状維持を望む環境にいれば、気づかないうちに自分も現状維持を選んでしまいます。
だから私は、自分の未来を変えたいなら、まず環境を変えることを勧めます。
最後に、一つだけ伝えたいことがあります。
人生は、「なりたい自分」を追いかけている時間こそが、一番充実しています。
夢が叶った瞬間よりも、その夢に向かって必死に走っている時間の方が、後から振り返れば何倍も輝いて見えるものです。
だから、今の自分に問いかけてみてください。
「5年後、自分はどんな人間になっていたいか。」
その答えが見つかった瞬間から、人生は少しずつ変わり始めます。
そして、その未来を信じて今日を積み重ねた人だけが、「なりたかった自分」と出会えるのだと、私は信じています。