「求人を出してもなかなか応募が集まらない」「面接に来る方と自社の求める人物像にギャップがある」「採用しても定着につながらない」——。 医療機関や薬局に限らず、多くの経営者や人事担当者の皆様がこうした採用の課題に頭を悩ませています。
人手不足が叫ばれる今、条件面だけで魅力を伝える従来型の採用活動だけでは、自社にフィットする優秀な人材に思いが届きにくくなっているのが実情です。
優秀な層に「この職場で働いてみたい」と感じてもらい、相思相愛で仲間として迎えるための「3つの見直しポイント」をご紹介します。
1. 「条件の提示」から「やりがいと期待の共有」へ
従来の求人情報は「月給〇〇万円、週休2日」といった労働条件の掲載が中心になりがちです。もちろん条件も大切ですが、意欲的な人材ほど「自分がそこでどう成長できるか」「どんなやりがいを得られるか」というストーリーに魅力を感じます。
誰にでも当てはまる無難な募集要項から一歩踏み出し、自社ならではの魅力を言葉にしてみましょう。
- 「成長の機会」を具体的に伝える ここで働くことでどのようなスキルが身につき、医療人・プロフェッショナルとしてどのように価値を高められるのかを示します。「指示通り動くスタッフ」ではなく、「一緒に組織を良くしていく仲間」として迎える姿勢を伝えることが大切です。
- 「期待する役割」を誠実に共有する 「現在こういう課題があり、あなたの力を貸してほしい」と具体的なミッションを伝えることで、「自分が必要とされている」というモチベーションにつながります。
単なる条件比較ではなく、「あなたと一緒にこんな仕事をしたい」というメッセージを届けていきましょう。
2. 転職市場の外にいる「潜在層」にも視野を広げる
求人サイトで応募を待つだけでなく、自発的に自社の想いや情報を発信していくアプローチも効果的です。
日頃から自分の仕事に対する想いや学びをSNSやブログ(X、LinkedIn、noteなど)で発信している人は、現在の職場でも前向きに活躍している「潜在的な優秀層」であることが少なくありません。すぐの転職を考えていなくても、こうした層との接点を作っておくことが将来の採用につながります。
- 共感した発信には、積極的に声をかけてみる 共感できる考え方や熱量のある発信を見つけたら、「求職中かどうかにかかわらず、その考え方にとても共感しました」とメッセージを届けてみましょう。
- 中長期的な縁をつなぐ すぐに採用に至らなくても、「いつか一緒に仕事ができたら嬉しい」という誠実な意思を伝えておくことで、その方が将来キャリアを考える際の「大切な選択肢の一つ」として自社を思い出してもらえるようになります。
3. 面接を「見極める場」から「お互いの未来を語り合う場」へ
「やりがいや期待の言語化」と「丁寧なアプローチ」。この2つの想いを形にする最終確認の場が「面接」です。
面接を単に「企業側が求職者を品定めする場」と捉えてしまうと、双方にとって緊張感ばかりが残り、魅力を伝えきれません。優秀な人材ほど「自分に合う企業かどうか」を観察しています。面接は、お互いの理解を深める対話の場と捉え直すことが大切です。
- 「なぜあなたが必要なのか」を誠意を持って伝える 現場のリアルな現状や課題をオープンにし、「だからこそ、あなたの経験や考え方が必要なのです」と伝えることで、求職者側も働くイメージと存在意義を実感できます。
- 相手の発信や背景に興味を持つ 事前に相手の発信や経歴を読み込み、「事前におっしゃっていたあの考え方、ぜひ当院・当社の現場でも活かしてほしい」と伝えることで、相手は「自分を正しく見てくれている」という安心感と信頼感を抱きます。
面接を「落とすための試験」ではなく、「お互いのモチベーションを高め合い、未来の可能性を確かめ合うプレゼンテーションの場」へとアップデートしていきましょう。
選ぶ採用から「惹きつけ合う採用」へ
優秀な人材との出会いは、条件の競い合いだけではありません。 「どんなやりがいを提供し、どんな期待を寄せられるか」という自社の想いを丁寧に伝えることから始まります。
組織の規模の大きさにかかわらず、想いに共感した素晴らしい人材を引き寄せる可能性はどの職場にもあります。求人票を待つ受動的なスタイルから、自社の魅力を能動的に届ける「アトラクト(惹きつける)型の採用」へ、一歩を踏み出してみませんか。