石田大顕です!
よく「自分には絵心がないから」「センスに自信がないから」という理由でデザイナーを諦めようとする方がいます。しかし、プロとして活動する中で実感するのは、デザインは「才能」ではなく「ロジック(論理)」の積み重ねであるということです。
もちろん、色彩感覚や造形能力も武器になります。しかし、商業デザインの本質は「表現」ではなく「課題解決」です。デザイナーとして生きていくために、私が最も大切だと考えている3つのポイントを深掘りします。
1. 「なぜ?」に答えられる論理的思考
デザインにおいて、すべての要素には理由が必要です。 「なぜこの色を選んだのか」「なぜこのフォントなのか」「なぜここに余白を置いたのか」。これらをクライアントに論理的に説明できなければ、それは単なる「好み」の押し付けになってしまいます。
例えば、私がUI/UXデザインを手掛ける際、ボタンの配置一つにしても「ユーザーの視線誘導の法則(Fの法則など)」や「人間工学的な押しやすさ」を根拠に提案します。プロのデザイナーになるためには、「なんとなく」を徹底的に排除し、言語化する力を養うことが第一歩です。
2. 徹底的な「聴く力」と「観察力」
デザイナーの仕事は、MacやiPadに向かう前から始まっています。 クライアントが抱えている「本当の悩み」は何なのか。売上を上げたいのか、認知度を高めたいのか、あるいは採用難を解決したいのか。
制作会社時代、私は多くのプロジェクトでヒアリングを担当しました。そこで気づいたのは、クライアント自身も、自分の欲しいものを正確に把握していないことが多いという事実です。
相手の言葉の裏にある意図を汲み取り、背景にある市場環境を観察すること。この「聴く力」こそが、的外れなデザインを作らないための防波堤になります。デザインは「自分の作りたいもの」を作る場ではなく、「相手が必要としているもの」を形にする仕事だからです。
3. デザイン以外の領域への好奇心
優れたデザイナーは、デザインのトレンドだけを追いかけているわけではありません。 マーケティング、心理学、経済、テクノロジー、時には歴史や文学まで。一見、デザインとは無関係に見える知識が、アウトプットの質を劇的に高めます。
例えば、ブランディングを行う際、その業界の市場動向を知らなければ、競合との差別化はできません。ユーザー心理を知らなければ、人を動かすレイアウトは組めません。 私自身、34歳になった今でも、ビジネス書を読み、新しいWebサービスを触り倒す時間を欠かしません。「引き出しの多さ」は、そのまま提案の幅に直結します。
🚀 技術は後からついてくる
PhotoshopやFigmaといったツールの使い方は、練習すれば誰でも習得できます。しかし、今回挙げた「論理的思考」「聴く力」「広い好奇心」といった土台がなければ、ツールに使われるだけの作業者で終わってしまいます。
デザイナーという職業は、自分の作ったものが世に出て、誰かの行動を変えたり、企業の成長を支えたりする、非常にやりがいのある仕事です。フリーランスとして活動する今、私は毎日その責任と喜びを感じています。
もしあなたが今、デザイナーへの一歩を踏み出そうとしているなら、まずは身の回りにあるデザインを「なぜこうなっているんだろう?」と観察することから始めてみてください。その「なぜ?」の積み重ねが、あなたを本物のデザイナーへと導いてくれるはずです。
この記事が、あなたのキャリアの一助となれば幸いです。共により良いデザインを追求していきましょう。