感情を動かす画面の設計図
Photo by Brooke Balentine on Unsplash
こんにちは!栗山和暉です。
みなさんは、部屋の模様替えをしたときに、机の位置を少し変えただけで、勉強や仕事への集中力が驚くほど変わったという経験はありませんでしょうか。あるいは、お気に入りのカフェの椅子に座った瞬間、なぜか心がすっと落ち着いて、いつもより長い時間を過ごしてしまったことはないでしょうか。私たちが暮らす日常には、目に見えないけれど、確かに人の行動や気持ちを優しくコントロールしている空間の設計が存在しています。私がフリーランスのウェブデザイナーとして毎日向き合っている画面の世界も、これと全く同じです。
多くの人は、ウェブサイトのデザインというと、表面を綺麗に飾ったり、流行りの色を塗ったりする作業を思い浮かべるかもしれません。しかし、私にとってのデザインとは、画面の向こう側にいる人の行動を自然に導き、クライアントが抱えるビジネスの課題を解決するための強力な道具です。ただ見た目が美しいだけのサイトは、座り心地の悪い高級な椅子のよう。本当に価値があるのは、使う人がその存在すら忘れてしまうほど、滑らかで心地よい案内図が描かれているサイトなのです。
私が以前、ある会社の手がけるイベント用の縦長のページを新しくしたとき、真っ先に行ったのは綺麗な絵を描くことではありませんでした。ページを訪れた人が、どの場所で読むのをやめて帰ってしまっているのかを、データから徹底的に観察したのです。そして、文字の並び順をほんの少し入れ替えたり、ボタンの大きさを押しやすいように調整したりしました。まるで、暗い夜道を進む人の足元を、小さな手回し懐中電灯の明かりでそっと照らすように、迷わず進める一本の道を用意したのです。その結果、申し込みをしてくれる人の割合が、以前の2倍以上にまで跳ね上がりました。
ウェブサイトは、作って納品した瞬間がゴールではありません。むしろ、そこからが本当の始まりです。私は、新しく公開したサイトを、土に植えたばかりの小さな苗木のように考えています。実際に多くの人が訪れることで、初めて見えてくる課題や風向きがあるからです。だからこそ、公開後もデータの数字を見つめ、水をやるように何度も手を加えながら、サイトをより良い形へと成長させていく。その地味で温かいプロセスの先にこそ、ビジネスを大きく動かす本当の楽しさがあります。使う人の心地よさと、企業の成功を徹底的に追い求めるパートナーとして、私は今日も新しい画面を組み立てています。