アートが「分からなかった」私が、アートの仕事を志すようになった原点
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実は、もともと私はいわゆる「アート」に強い興味があったわけではありませんでした。むしろ「難しくてよく分からないもの」という印象の方が強かったと思います。
そんな私が美術の道に進んだのは、高校生の時に友人が美大受験をすると言い出したことや、自分の将来を考えた時に「クリエイティブなことがしたい」と思ったことがきっかけでした。はっきりした目標があったというより、少しの勢いと直感に近い選択だったように思います。
美大に進学し、制作や講評、さまざまな作家や作品に囲まれる日々の中で、少しずつアートのおもしろさに気が付いていきました。まず、作品を制作する中で自分の世界が広がり、より柔軟で多角的に物事を捉えられるようになりました。そのことで、大学入学以前よりも、生きることが少しだけ楽になったとも感じました。
さらに、絵画や彫刻、写真や映像、インスタレーションやファッションといった様々な表現に触れるうちに、アートは世界や時代を映すものなのだと捉えられるようになりました。作品が生まれた文脈を考察し、その作品を私がどう受け取るべきか、現代社会の中でどのように位置づけるべきかを考えることが好きになりました。気がつけば、アートのおかげで私の心はとても救われ、世界は大きく広がっていたのです。
そんな心境の変化の中で、「かつての自分のようにアートを敬遠している人にも、もっとアートが届けばいいのに」という思いと、「アートを人に届ける手伝いがしたい」という気持ちが芽生えました。
美大という環境では、日々たくさんの作品を目にすることができます。しかし、どんなに良い作品があっても、「場」がなければ人には届きません。そして、アーティストとして生きていくことの難しさも痛いほどに感じてきました。そんな経験を通して、作品がちゃんと届くべき人に届くための「場作り」がしたいと思うようになったのです。