【平松昭良】建築出身インテリアデザイナーの視点|平松昭良
こんにちは、インテリアデザイナーの平松昭良と申します。 noteでは初めての投稿になるので、自己紹介がてら、これまでの私の経歴についてお話したいと思います。 ...
https://note.com/akira_hiramathu5/n/n73f572e38059
Photo by Matthew Jackson on Unsplash
現在、私は企業の空間デザインプロジェクトに携わりながら、これまで培ってきた家具製造の経験と建築的視点を融合させた、新しい価値づくりに挑戦しています。これまでのキャリアでは、主に家具単体のデザインに向き合い、素材選びや構造、使い心地にこだわりながら、生活の一部を支えるプロダクトを形にしてきました。しかし今、私の関心は家具を置く空間そのものへと広がっています。
現在進行中のプロジェクトでは、オフィス空間のリニューアルをテーマに、働き方の多様化に対応した環境づくりを進めています。リモートワークが一般化し、出社の意味が問われる中で、オフィスは単なる作業の場ではなく、人が集まり、アイデアを共有し、創造性を引き出す場へと変化しています。そのため、従来のようにデスクや椅子を配置するだけではなく、コミュニケーションの生まれ方や、個々の集中の仕方まで含めて設計する必要があります。
そこで、今回のプロジェクトでは、ゆるやかなゾーニングを意識しています。明確に区切られた会議室や作業スペースだけでなく、偶発的な会話が生まれるラウンジ的なエリアや、短時間の集中作業に適した半個室空間など、多様な働き方に応じた場所を用意しています。その中で、家具は単なる置かれるものではなく、空間の性質を決定づける重要な要素として機能します。素材の質感や高さ、配置のリズムによって、人の行動や心理に影響を与えるため、一つひとつの設計に対してこれまで以上に慎重な検討が求められています。
家具製造会社での経験は、こうした場面で大きな強みになっています。例えば、既製品では実現できないサイズや機能を持つ家具をオーダーメイドで設計する際、製造工程や素材特性を理解していることで、現実的かつ質の高い提案が可能になります。また、長く使われることを前提とした耐久性やメンテナンス性への配慮も、プロジェクト全体の価値を高める要素の一つです。
さらに今回のプロジェクトでは、サステナブルな視点も重要なテーマとなっています。再生素材の活用や、解体・再利用を前提とした設計など、環境負荷を抑えながら長期的に価値を維持できる空間づくりを目指しています。単に“環境に優しい”というだけでなく、それが企業のブランドや働く人の意識にもポジティブな影響を与えるようなデザインを意識しています。
また、プロジェクトを進める中で強く感じているのが、チームでつくることの重要性です。建築設計者や施工チーム、クライアント企業の担当者など、多くの関係者と連携しながら進める空間デザインは、一人のデザイナーだけでは完結しません。それぞれの専門性や視点を尊重しながら、共通のゴールに向かって調整を重ねていくプロセスそのものが、最終的な空間の質を左右します。
特に意識しているのは、若手デザイナーとの関わり方です。自分がこれまで経験してきたことを一方的に伝えるのではなく、彼らの発想や視点を引き出しながら、一緒に考える姿勢を大切にしています。新しい感覚や柔軟なアイデアは、時に自分では思いつかない方向へプロジェクトを導いてくれることもあります。そうした相互作用が、より良い空間づくりにつながっていると感じています。
今回のプロジェクトは、私にとっては単なる業務の一つではなく、「これからどんなデザイナーでありたいか」を見つめ直す大きな機会でもありました。家具単体ではなく、空間、建築、さらにはその先にある人の暮らしや働き方まで視野に入れたデザイン。そうした広いスケールで価値を生み出すことに、これまで以上のやりがいを感じています。
10年という節目を迎えた今、改めて感じているのは、デザインとは「形をつくること」ではなく、「体験をつくること」だということです。自分が関わった空間が、そこで過ごす人の行動や気持ちにどのような変化をもたらすのか。その影響を想像しながら、一つひとつの判断を積み重ねていきたいと考えています。
このプロジェクトはまだ進行中ですが、完成したときにどのような風景が生まれるのか、そしてそこで働く人たちにどんな変化が訪れるのかを想像すると、今からとても楽しみです。これからも新しい挑戦を続けながら、デザインを通じて人の暮らしをより豊かにすることを目指していきます。
noteでも発信していますので、ぜひ読んでみてください!