麻酔前評価チェックリストを「テンプレ化」するという選択
麻酔前評価チェックリストを「テンプレ化」するという選択
― 安全と効率を両立させる現場改善 ―
医療現場において、麻酔前評価は患者安全を守るうえで極めて重要なプロセスです。
しかし現実には、「評価項目の抜け漏れ」「担当者ごとの記載差」「忙しさによる確認不足」など、ヒューマンエラーが起こりやすい工程でもあります。
そこで近年注目されているのが、麻酔前評価チェックリストのテンプレ化です。
なぜテンプレ化が必要なのか
麻酔前評価は、経験や勘に頼る部分が多くなりがちです。
ベテラン医師ほど頭の中で整理できている一方、若手や非常勤スタッフにとっては「何をどこまで確認すべきか」が曖昧になりやすいのが実情です。
テンプレ化によって、
- 評価項目の標準化
- 記載レベルの均一化
- 確認漏れの防止
- 多職種間の情報共有の円滑化
といった効果が期待できます。
テンプレ化されたチェックリストの基本構成
ブログや院内資料で紹介しやすい形として、以下のような構成が一般的です。
① 基本情報
- 年齢・性別・身長・体重
- 予定術式・手術時間
- 既往歴・手術歴
② 全身状態の評価
- 心疾患・呼吸器疾患の有無
- 高血圧・糖尿病などの慢性疾患
- ASA分類
③ 服薬・アレルギー情報
- 抗凝固薬・抗血小板薬
- サプリメントの使用
- 薬剤・食物アレルギー
④ 気道評価・麻酔リスク
- Mallampati分類
- 開口制限・頸部可動域
- 挿管困難の既往
⑤ 最終確認欄
- 特記事項
- 麻酔方法の選択
- 同意取得の有無
テンプレ化がもたらす「現場の変化」
チェックリストをテンプレとして運用し始めると、
「確認すること」よりも「判断すること」に時間を使えるようになります。
また、
- 引き継ぎ時の説明が簡潔になる
- インシデント報告の質が向上する
- 教育ツールとしても活用できる
など、安全文化そのものの底上げにつながります。
まとめ:テンプレは「縛る道具」ではなく「守る道具」
テンプレ化というと、自由度が下がる、形式的になるという印象を持たれがちです。
しかし麻酔前評価チェックリストにおけるテンプレは、
現場を縛るためのものではなく、患者と医療者を守るための共通言語です。
まずは小さなフォーマットからでも構いません。
自施設の実情に合わせて、育てていくテンプレ運用を始めてみてはいかがでしょうか。