業界を深掘りすると“必要な士業”がより明確になる――運送業の点数制度/飲食業のHACCP/建設や製造の専門リスクまで(佐藤彗斗)
業界を深掘りすると“必要な士業”がより明確になる
――運送業の点数制度/飲食業のHACCP/建設や製造の専門リスクまで(佐藤彗斗)
法人向け保険営業として現場に立ち続ける私は、
「業界ごとにリスクの質がまったく違う」
という事実を強烈に感じています。
そして、
そのリスクは 業界特有の制度やルール に深く結びついています。
今回は、
運送業・飲食業を中心に、各業界の“深い論点”を取り上げ、
どの士業がどの部分を支えられるのかを明確にします。
◆ 運送業:点数制度という“見えないリスク”をどう管理するか
運送業では 「点数制度(行政処分基準)」 が会社の命運を左右します。
ドライバーが一度違反を起こすだけで、会社全体の評価に影響。
一定ラインを超えると、監査・事業停止処分もあり得る業界です。
■ 社会保険労務士:運行管理 × 労務管理の二重構造を整える
点数制度は 労務管理と直結 しているため、社労士の専門領域です。
● 解決ポイント
- 休憩・休息時間の確保
- 労働時間の客観的管理
- 健康起因事故を防ぐ体制づくり
- 点数制度に基づく指導記録の整備
● 現場ストーリー
社労士を導入し、
「休息時間の確保」と「記録の残し方」を改善した運送会社では、
行政の監査を無事クリアし、点数改善にも成功。
■ 弁護士:事故発生時の“正しい初期対応”が会社を守る
事故対応の誤りは点数悪化だけでなく、損害賠償の増大につながります。
● 弁護士が必要な場面
- 過失割合の交渉
- 被害者対応
- 事故後の契約トラブル
- 点数制度の行政対応の助言
事故トラブルを放置すると、
取引停止・風評被害・保険料高騰 にまで影響します。
■ 行政書士:運送業許可の維持と事業報告の要
行政書士は、運輸局への書類作成・更新業務のプロ。
- 事業報告書
- 自動車事故報告
- 運行管理者の選任届
- 点数制度に基づく改善報告
許認可が止まると、売上が一瞬で途絶えます。
◆ 飲食業:HACCPは「義務化」だけではなく“仕組み化”が重要
飲食業は HACCP(ハサップ)対応が義務化 されましたが、
実際には“形式だけ”で済ませている企業が非常に多いのが現状。
■ 行政書士:HACCPの仕組みと書類作成
HACCPは「計画書+記録」が必須。
行政書士はこれらの整備に強く、実務に耐えうる仕組みを作れます。
● 行政書士が行う支援
- HACCP計画書の作成
- 記録様式の整備
- 保健所対応
- 新規店舗開設時の許認可フロー
● 現場ストーリー
焼肉店を経営する企業に行政書士を紹介。
HACCPの導入により、
衛生基準の統一と新人教育の効率化 が進み、
クレームが激減しました。
■ 社会保険労務士:シフトと衛生管理は“労務課題”
飲食業は以下の課題が頻発します。
- 深夜勤務の扱い
- 衛生管理者の配置
- 慢性的な人不足
- 労務教育が現場任せ
社労士が入ることで、
「衛生 × シフト × 労務」の三位一体管理 が機能します。
■ 税理士:原価率とキャッシュの管理
飲食業は数字の波が激しく、税理士の関与が経営安定に直結します。
◆ 建設業:入札制度・専任技術者・監理技術者
建設業は 法令・資格・許認可が複雑で、“知らなかった”が命取り。
【深掘りポイント】
- 専任技術者の常勤要件
- 元請・下請の法的責任
- WEB入札の不備
- 社会保険未加入問題
行政書士・社労士・診断士の連携が最も効果を発揮する業界です。
◆ 製造業:ISO/品質事故/補助金の専門性がモノを言う
製造業は「品質」と「生産性」が生命線。
【深掘りポイント】
- ISO9001/14001
- 工程管理の属人化
- 製品事故(PL法)
- 設備投資の大型補助金
弁護士(製造物責任)、診断士(生産性分析)、行政書士(補助金)の
三者連携が成果に直結します。
◆ なぜここまで“業界の深さ”を書くのか?
理由はシンプルです。
・経営者は、自社の“業界リスク”を完全には把握していない
・士業は、その深い部分を“可視化”する存在
・営業は、その橋渡し役という唯一無二の立場にいる
だからこそ、私は46歳になった今も現場に立ち続けています。
社長の言葉の端々から業界特有の課題が見え、
その課題に最適な士業を結びつけることで、
経営の未来が大きく変わる瞬間 を何度も見てきました。
◆ 最後に:深掘りすればするほど、士業の価値は立体的になる
- 運送業=点数制度 × 労務 × 法務
- 飲食業=HACCP × シフト × 衛生
- 建設業=許認可 × 資格者 × 原価
- 製造業=品質 × 補助金 × 事故対応
そして、
それらを“最適なタイミングで”結びつけるのが営業の仕事。
法人保険営業は、士業の力を経営に活かすための“指揮者”です。
この視点を持てば、営業としての価値は一段と高まります。