人口減少は止まりません。地方の自治体は移住者の獲得に力を入れていますが、移住は自治体どうしの奪い合いです。どこかの町に一人移住すれば、どこかの町から一人減る。日本全体で見れば、支え手の総量は増えません。
だとすれば、地域の支え手を増やす道はもう一つしかない。「住んでいない人が、その地域に関わり続けること」です。国はこれを「関係人口」と呼び、全国1,436の自治体が取り組んでいます。私もこの考え方を信じています。
ただ、「関わり続けているか」は誰も見ていない
この夏、鹿児島県・鹿児島市・国の資料をひたすら読みました。そこで分かったのは、関係人口はどこでも「ある時点の人数」で測られている、ということです。イベントの参加者数、LINEの友だち数、ふるさと納税の件数。
同じ人が翌年も関わり続けたのか。関わりは深まったのか、離れたのか。それを追いかけた公表データを、私は見つけられませんでした。総務省自身が「客観的指標を置くことはほぼ不可能」と書いています。
これは誰かの怠慢ではなく、構造の問題です。行政が持つ記録は「参加した」「登録した」という入口のログで、翌年の同じ人と突き合わせる仕組みがそもそも無い。だから予算は「増やす」施策に流れ続け、「続いたのか」は誰にも分からない。
私のアプローチ:関わりを記録し続ける現場を、自分でつくる
この課題に対する私なりの答えが、鹿児島の関係人口プラットフォーム「薩摩BASE」です。2026年7月に公開し、メンバーは93人。そのうち81人は鹿児島の外に住んでいます。
薩摩BASEは、鹿児島が好きな人が「行ったり来たり」しながら関わり続ける場です。イベントやツアーを開き、鹿児島の産品を届ける。そして一つだけ、他の取り組みと違うことをしています。メンバー一人ひとりの行動を、デジタル会員証「SATSUMA PASS」で個人単位・日次で記録し続けていることです。
イベントに申し込んだ、参加した、メンバーどうしが「会えた」と登録した、お金を使った、誰かを紹介した、期間をあけてもう一度参加した。「愛着がありますか」というアンケートではなく、実際の行動です。記録は2か月で602件になりました。
関係人口を「何人いるか」ではなく、「何人が関わり続け、鹿児島に何をもたらしたか」で語れるようにする。そのための物差しを、現場から自分でつくっています。
記録が積み上がると、答えられるようになる問い
一度訪れた人は、その後も関わり続けているのか。関わりを続けさせているのは、訪問の回数なのか、それとも「また会える相手」がいることなのか。一人の関係人口が、一年で鹿児島にどれだけのお金と紹介をもたらすのか。
いまの93人・2か月の記録では、まだ何も言い切れません。でも、こうした問いに行動データで答えられる場所は、他にほとんど無いと分かりました。記録を続ければ、答えは見えてきます。
これから
2026年度からは総務省の「ふるさと住民登録制度」が始まり、10年で1,000万人の登録が目標です。関係人口の「数」はこれから、もっと大きくなります。だからこそ、数の先――続いたのか、深まったのか、地域に何をもたらしたのか――を見せられる場所が要ると思っています。
薩摩BASEをその場所として育てながら、同じ課題に向き合う地域・自治体・企業と一緒に仕事をしていきたい。そう考えている方がいれば、ぜひ話をさせてください。
▶ 薩摩BASE https://satsumabase.jp
▶ 詳しい数字と出典(note)https://note.com/shinchi_takahiro/n/n90c73df8c0a0