こんにちは!城間勝行です。
夏の盛りに古い日本家屋の縁側に座って冷たいお茶を飲んでいると、心地よい風が吹き抜けるたびにガラスの風鈴が涼やかな音色を奏でてくれます。
目に見えない風そのものの姿かたちは誰にも捉えることができませんが、そこにある風鈴が揺れることで初めて風の存在や強さを鮮やかに実感することができます。
私たちが日々向き合っているシステムやプロダクトの開発現場も、この目に見えない風と風鈴の関係性に非常によく似た構造を隠し持っています。
どれほど優れた技術やアイデアがあったとしても、それがただ頭の中にあるだけでは誰もその価値に気づくことはできません。
形のない抽象的な想いをコードやデザインという具体的な形に変換し、世の中に放つことで初めて人々の心を動かす波紋が生まれるのです。
新卒で入社した大規模な組織においては、何千人ものユーザーが安全に利用できる巨大なインフラを構築することが何よりも求められました。
そこには鉄の規律と揺るぎない正確さがあり、決められたレールをいかに脱線せずに走り抜けるかがエンジニアとしての最大の使命でした。
巨大な歯車の一つとして全体の調和を保ちながら、堅牢な仕組みを支え続ける経験は、エンジニアとしての確かな骨組みを私の内部にしっかりと刻み込んでくれました。
しかしその後、少人数のスタートアップの世界へと足を踏み入れたとき、その景色は劇的に塗り替えられることになりました。
明日何が起こるか予測できないスピード感の中で、まだ輪郭すら曖昧な不完全なアイデアを形にし、失敗を恐れずに素早く軌道修正を繰り返す。
あらかじめ用意された正解のルートなど存在しない荒野の中で、仲間たちと知恵を絞り合いながら新しい価値を生み出す興奮は、私のなかに眠っていた別の情熱を呼び覚ましました。
堅牢さを重んじる大企業の文化と、柔軟な変化を愛するスタートアップの文化。
一見すると正反対に見える二つの世界を体験したからこそ、私は状況に応じた最適なアプローチを柔軟に選び取ることができるようになったと確信しています。
開発という仕事の本質は、ただ目の前のコードを書くことだけにあるのではなく、複雑に絡み合った課題の糸を一本ずつ解きほぐし、誰もが安心して歩ける新しい道を切り拓くことにあります。
目の前にある画面の向こう側には、必ずそれを必要とする生身の人間が存在しており、その人たちの日常をそっと支える温かい架け橋になれるよう心を配りたい。
風鈴の音が夏の暑さを忘れさせてくれるように、私たちが紡ぎ出すテクノロジーもまた、誰かの心に心地よい変化を届ける確かな存在であってほしいと願っています。
明日もまた新しい風を感じるような新鮮な気持ちで、目の前にある難問に向き合いながら、自分なりの答えを丁寧に探し求めていきたいと思います。