考えることと、つくること
私は、社会の中で当たり前とされている価値観や仕組みに対して、いつも少し立ち止まって考える癖があります。
なかでも、成果や地位をもとに人の価値が決まっていくような競争社会のあり方には、ずっとひっかかりを感じていました。
そうした問いから、貨幣と実生活の関係や社会構造そのものに関心を持つようになり、経済学部に進学しました。経済を通して、制度や仕組みがどのように人々の行動や選択に影響を与えているのかを読み解こうとしてきました。
一方で、映画や哲学、美術や音楽といった表現や思想にも関心があり、コロナ禍の在宅期間をきっかけに、より深く触れるようになっていきました。
私は、クリエイティブを「言語では伝えきれない情報を届けられる手段」として捉えています。
どのように伝えるかを都度選び直すことを大切にしており、形式やジャンルにとらわれず、受け手の体験そのものをどう設計するかを意識しています。
あるとき、音楽について友人と会話をするなかで、あらゆる音楽をBGMとして捉えていることに気づき、音楽の多様性を提示できないかと考えるようになりました。そこから、誰もがフラットで直感的に音楽を楽しめる空間をつくるために、「聴く」という行為そのものを再構築するプロジェクトを立ち上げました。音だけでなく、空間・照明・映像なども含めて、体験全体を設計する場づくりを行なってきました。
このプロジェクトでは、計16回以上のイベントを開催し、私は企画構成からフライヤーなどのビジュアル制作まで一貫して携わりました。回を重ねるごとに認知が広がり、最終的には初期の約4倍の集客を達成しました。
また、個人では表現の幅や深度を深めるために、新たな技法や表現形式への挑戦を続けています。
映像制作やグラフィック、平面作品などを経て、現在はアナログでのドローイングにも注力しており、思考や観察を、手を通して捉え直すことを試みています。
私は、仕事を通じて誰かの思考や感覚に前向きな影響を与えられるような働きかけをしていきたいと考えています。そのためにも、広い価値観や新しい見方を提案できる場で、他者と協働しながら取り組むことを大切にしたいです。一人でも多くの人にポジティブな作用をもたらすかたちを、実践のなかで探り続けていけたらと思っています。