クルージングヨット教室物語210
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「今週って、隆くんって実家に帰ったんでしょう」
雪は、横浜のマリーナのクラブハウスで陽子たちと話していた。
「なんで、急に今週に実家へ帰ったんだろう?なんかあったのかな」
雪が聞いた。
「そういうわけじゃないみたいよ」
「なんか、隆さんって放っておくと、東京から出ないというか、今年の正月も麻美ちゃんの実家でずっと過ごしてたから、自分の実家には帰っていないらしいの」
陽子が答えた。
「それで、麻美ちゃんが帰ろうって話して、ようやく帰ることにしたらしい」
「それで、麻美ちゃんもついて行ったんだ」
雪が陽子に聞いた。
「それは、隆さん1人じゃ恥ずかしくて実家に帰れないとかで、いつも麻美ちゃんがくっついて連れて帰っているんだって話よ。麻美ちゃんから聞いたんだけど」
香織が言った。
「そうなんだ」
「っていうか・・」
雪が言いかけた。
「普段だって、隆くんって渋谷の自分の家にはほぼ帰っていなくて、麻美ちゃんの実家でずっと暮らしているじゃない」
雪が言った。
「それで、自分の実家へ帰る時も、麻美ちゃん同伴って・・」
「あの2人は、もう結婚してしまった方が良いよね」
雪の話の後を、陽子が続けていた。
「さて、今日はどうする?キャプテン」
瑠璃子が香代に聞いた。
「キャプテン!」
窓の外を眺めていた香代から返事が無いので、再度、香織も聞いた。
「え、私?」
香代が振り向いた。
「キャプテンなんて言うから気づかなかった」
「だってキャプテンじゃないの、ラッコの」
瑠璃子が香代に言った。
「隆くんも、麻美ちゃんもいないんだから、今日の予定は香代ちゃんが決めて」
雪が言った。
「ねえ、ねえ、お姉ちゃん」
窓の外から子供が香代に話しかけてきた。
「え、何?」
「お姉ちゃんって、背の高いお姉さんと一緒にいた人でしょう」
男の子は、香代に聞いた。
「うん、そうだけど」
少年は、横浜のマリーナのジュニアヨット教室の生徒さんだった。
「お姉さんのこと、覚えていてくれたの?」
「ううん。お姉さんはあんまり知らないけど、背の高いお姉さんのことは覚えてる」
少年は、香代に正直に答えていた。
「俺らのOPの船体を艇庫から出すのいっぱい手伝ってくれたし」
「ね、背の高いお姉さんって今日はいないの?」
「これから艇庫から船を出すんだけど、また手伝ってほしいな」
少年たちが香代たちのいるクラブハウスの窓枠に集まってきていた。
「背の高いお姉さんはいないんだけど、私たちが手伝ってあげようか」
瑠璃子が少年たちに答えた。
「背の高いお姉さんって・・」
「明らかに、麻美ちゃんのことだよね」
香織と陽子が話していた。
「よし!じゃあ、手伝ってあげよう!」
香代と瑠璃子が少年たちと一緒に艇庫へ移動しているので、何となく香織や陽子、雪も一緒に艇庫へ移動していた。
「これをどこに持っていくの?」
「表のところに出して、そこでマストやセイルを立てて、艤装するの」
「そうか、じゃ、お姉ちゃんも手伝ってあげよう」
いつも、ラッコの艇上では一番年下で麻美子に甘えている香代が、少年たちの前ではお姉さんらしく振る舞っていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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