「ちょうど良い時間の電車あるかな?」
保田の駅に着くと、麻美子が言った。
「帰りの電車の時間も調べておかないとな」
中村さんが言った。
「え、3分後に発車するじゃん」
計算の得意な瑠璃子が時刻表を見るなり、叫んでいた。
「もう切符買って、電車に乗らないと」
「隆とか陽子ちゃん、足が速そうな人たちで先にホームに行っていて」
麻美子は、バッグからお財布を取り出しながら、皆に言った。
「香代、速いな」
真っ先にホームまで走っていってしまった香代の後ろ姿を見ながら、隆が言った。
「まだ3分もあるんだから、あそこまで走らなくてもいいのに」
陽子も苦笑していた。
「まだ来ていないよ」
後からやって来た隆に、香代が言った。
「間に合ってよかった」
「速いよ、香代ちゃん」
香織が言った。
「高校の時に陸上部だったもの」
香代が、香織に答えた。
最後に、麻美子が皆の分の切符を持って、ホームにたどり着いた。
「電車来た。東海道線みたい」
オレンジと緑の電車だった。
横浜出身の人には、オレンジと緑の電車は東海道線にしか見えなかった。
「勝山の駅に着いたら、帰りの電車の時間も確認しておこう」
隆が言った。
保田から勝山までは、ほんの数分で着いてしまう。電車は空いていて、全員座れてしまうぐらい席は空いているのだが、中村さん、麻美子と雪ぐらいしか席には座らず、あと残りは皆、立ったままだった。
「勝山だよ!」
隆が座っている麻美子に向かって叫んだ。
「わかっているわよ」
麻美子が苦笑しながら、中村さんたちと席を立ってドアに向かった。
「お風呂入って、ごはんを食べたら1時間ぐらいかな」
「1時間で行ってこれるかな」
「2時間、3時間か」
勝山駅の時刻表を確認する。
「この辺の時間帯を覚えておけば大丈夫そうね」
電車の本数は、なんとかありそうだった。
「マザー牧場の案内があるじゃない」
帰りの時間は、隆たちに任せて麻美子は香代と駅に貼ってあるマザー牧場のポスターとパンフレットで明日行く場所の確認をしていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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