クルージングヨット教室物語180
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「そういえば、こっちの船になんか食料を積んでいたっけ」
隆は、舵を代わってもらった陽子に聞いた。
「そういえば、ローゼンで買った食料って、全部ラッコに積んでしまったよね」
「そうだ。食料こっちに無いじゃん」
瑠璃子も言った。
「ああ、なんか積んではあるよ」
中村さんは、キャビンの入り口からアクエリアスのギャレーを確認した。
「ほら、カップ麺がいくつかとレトルトのカレー、カンパンがあったよ」
「なんか防災グッズみたいじゃないですか」
隆は、中村さんが手にしているギャレーから見つけた食料を見て、苦笑した。
「まあ、向こうに着いたら夜をなんか美味しいもの食べれば良いよ」
中村さんも苦笑していた。
ベイサイド、横須賀の猿島を越えて、ヨットは観音崎に近づいていた。
「陽子、ちょっと代わってくれる」
隆は、陽子からラットを代わってもらった。
少し前方を走っていたラッコの近くまで、アクエリアスを近づけた。
「なんかだらけているな」
隆は、ラッコの艇上を眺めて、思わず笑ってしまった。
ラッコのラットを握っているのは香代で、麻美子と雪はフォアデッキで横になって寝そべっていた。香織は、一応コクピットに座ってはいるが、足を投げ出して寝そべっていた。
「うん」
麻美子が顔を上げて、近寄ってきたアクエリアスの姿を確認した。
「どうしたの?」
麻美子は立ち上がって、ラットを持っている隆に大声で聞いた。
「お昼!お昼がこっちに何もない!」
隆が叫んだ。
「あ、そうか!」
麻美子は、ラッコのキャビンの中に入ると、出かける前にローゼンで買ってきたサンドウィッチをいくつかバスケットに詰めて、デッキに戻ってきた。
「食べる?」
バスケットを高く掲げながら、アクエリアスに向かって聞いた。
「はーい。食べます!」
陽子が麻美子に手を振った。
「食べるじゃないよ、食べるに決まっているじゃんね」
隆は、麻美子の言葉に瑠璃子と苦笑していた。
「もう少し近づけて」
陽子に言われて、隆はアクエリアスをラッコの横に横付けした。
「ごめんね、そっちにごはん渡すの忘れちゃったね」
麻美子は、陽子にバスケットを手渡した。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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