「うわ、何そんなに買って来たの」
麻美子は、戻って来た買い出し組が両手いっぱいに抱えている荷物を見て驚いた。
「これ、お米ね。あと、ビールも売っていたから、重いし箱買いして来たよ」
「ありがとうございます。でも、重かったんじゃない」
「男手がいっぱいあったからね」
普段、ラッコは隆以外は女性ばかりで乗っているので、重たいものを買って来てもらえるのは助かる。
「お、鍋!」
「今日は、キムチ鍋にしたんだけど」
「松沼くん、辛いの苦手だったよな」
「あら、そうなの。見かけによらない」
麻美子は、身体の大きなステアマリスのクルーの松沼くんに言った。
「でも大丈夫よ。今日のキムチ鍋はぜんぜん辛くないキムチなの」
「辛くないキムチなんだ」
松浦さんが麻美子に言った。
「でも、大丈夫ですよ。松浦さんみたいに辛いのが好きな方は、後から小皿に装った後で、味の調整ができるから」
麻美子は、スパイスのボトルを松浦さんに見せた。
「こんな味の調整ができるボトルなんかあるんだ」
松浦さんは、麻美子から受け取ったスパイスのボトルの表書きを読んでいた。
「先週、白馬はどうでしたか?」
「良かったよ、娘が初めてのスキーで、さんざん転びまくっていたよ」
中村さんは、阿古さんに答えた。
「うちも、先々週に白馬は行って来ましたよ」
「雪、先々週はいまいち多くなかったね。人工雪が足されていたよ」
「そうだったんですね」
今、ラッコのキャビンの中にいる人だけでも、冬にはスキーをやるヨットマンが何人もいた。
「私も、冬はよくスキーに行きますよ」
雪も、スキー談義に加わっていた。
「雪ちゃんも、スキーをやるんだ」
「うん」
「雪ちゃんがスキーに行くんだったら、今度、実家の押入れに仕舞いっぱなしのスキー道具を出して来て、一緒に連れて行ってもらおうかな」
「うん、一緒に行きましょう!」
雪と麻美子も、スキーの話をしていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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