1
/
5

クルージングヨット教室物語66

Photo by yanagi on Unsplash

PR:24時間365日オンラインで開催中の東京国際ボートショーはこちら


「さあ、これから横浜に戻らなきゃならないんだし、早めに出航しよう」

隆は、ラッコのメンバーたちに声をかけた。

「アンカーを上げる」

「ああ」

隆の合図で、スターンに打たれていたアンカーを瑠璃子と陽子が上げて、ラッコはバックで岡田港の岸壁から離れ、出港した。その後に、アクエリアスも続いて出港した。

「何、今日でもう横浜に戻ってしまうの?」

「だってもう明日には週明けでお盆休みも終わりですよ」

朝、起きてドリーム号の久保さんに聞かれた時、隆は答えていた。

「うちは、これから式根島を目指して、その後は下田の方に周って東伊豆をずっと巡っていく予定」

お盆休みが1週間ずれている久保さんたちドリーム号のメンバーは話していた。

今日は、これから式根島に行くと話していた久保さんだったが、ドリーム号の出発は昼ごろみたいで、まだドリーム号は岡田港の岸壁に泊まったままで、メンバーたちは朝寝していた。

一足先に出港したラッコとアクエリアスは、メインセイルやミズンセイルを上げて横浜を目指して、機帆走で走り始めていた。

「そういえば、昨日はいつ帰って来たんだか全然気づかなかったけど」

隆は、眠そうな麻美子に言った。

「5時過ぎにはラッコに戻ってきたよね」

麻美子は、雪に行った。

「5時過ぎに戻ってきたの?うちら6時に起きて出港しているのに、それじゃ1時間ぐらいしか寝ていないんじゃないの」

「そうね。後で、少し寝かせてもらおうかな」

そう言うと、麻美子は、皆の分の朝ごはんを作りにキャビンへ行ってしまった。出来上がった朝ごはんをデッキにいる皆のところに出すと、自分は何も食べずに、キャビンに戻って寝てしまった。

「雪は、寝なくても大丈夫なの?」

「私は、徹夜はいつものことで慣れているから」

雪は、隆に答えた。

「うわ、お肌に悪そう」

雪が徹夜ばかりしていると聞いて、陽子が言った。

結局、麻美子はお昼過ぎまでアフトキャビンの中の部屋に籠もって、一度も起きてこなかった。それでも、午後1時ぐらいになると起きてきて、皆の分のお昼ごはんを作ると麻美子だった。

「隆さん、アクエリアスがお昼のカレーを食べにベラシスマリーナに立ち寄ったって」

皆が、麻美子の作ったお昼ごはんを食べ終わった頃、パイロットハウスの屋根に付いているスカイライトハッチを開けて、そこから顔を出して、後ろのコクピットへ振り向いた瑠璃子が隆に叫んだ。

「アクエリアス、ベラシスに行ったんだ」

隆は、瑠璃子から聞いて答えた。

「うちはどうしますかって聞かれたけど」

瑠璃子は、パイロットハウス内でアクエリアスと無線で話しているらしかった。

「ベラシスに寄ってカレーを食べたい人!」

隆は、ラッコのメンバーたちに聞いた。

「今、お昼ごはん食べたばかりなんですけど」

「隆おじいちゃん、さっきお昼ごはん食べましたよね、忘れちゃったの」

麻美子が、隆に聞いた。

「え、忘れてはいないけど。横須賀の海軍カレーも食べたい人いるかなって思って」

「そんなに食べれないよ」

陽子が答えた。

「そもそも、隆自身が食べれないでしょうが、私よりも少食なのだから」

麻美子は、隆に言った。

「それでは、うちらはベラシスには立ち寄らずに横浜まで戻りますか」

隆は、ラットを握っている香代に言った。

そして、ラッコはベラシスマリーナの横を通過して、そのまま観音崎を周って、猿島、現在の横浜ベイサイドマリーナがある貯木場と通過して、横浜のマリーナに夕方前に到着できた。

Like 美奈 とマリ's Story
Let 美奈 とマリ's company know you're interested in their content