こんにちは、PMの後藤悟志です。
昨日、作家の東野圭吾さんが逝去されたという悲しい知らせに接し、大きな喪失感を覚えました。
学生時代から数々のミステリー作品に魅了され、社会人になってからも休日の息抜きとして、そして時には仕事のヒントを得る一冊として読み返してきた私にとって、その存在は非常に大きなものでした。
今回は、私・後藤悟志がプロジェクトマネージャー(PM)として影響を受けた作品の一つである『プラチナデータ』について、ビジネスの視点を交えながら感じたことをお伝えしたいと思います。
目次
『プラチナデータ』が描く、AI時代のディストピア
本作の舞台は、国民のDNAデータが国家によって管理され、検挙率100%を誇るDNA捜査システムが運用される近未来の日本です。
システムを開発し、データを絶対視する天才科学者・神楽と、現場で培った経験や人間の心を重視する浅間刑事。この対照的な二人の視点を通じて、「テクノロジーは本当に万能なのか」という問いが描かれます。
物語の大きな転換点は、絶対に誤らないはずのシステムが導き出した連続殺人犯が、システム開発者である神楽自身だったという皮肉な展開です。さらに、その背景には一部の特権階級を検索対象から除外する「プラチナデータ」という存在が隠されていました。
サスペンスとして圧倒的な完成度を誇る作品ですが、大学で情報工学を学び、現在IT業界でシステム開発に携わる私にとっては、「テクノロジーへの過信」に警鐘を鳴らす作品として強く印象に残っています。
後藤悟志がPMとして学んだ3つのビジネス教訓
現代のIT業界では、「データドリブン」という言葉が当たり前のように使われています。しかし、『プラチナデータ』は、その前提を見直す重要性を教えてくれます。
1. 「前提」を疑うクリティカルシンキング
私たちは、ダッシュボードに表示されたKPIやAIによる予測結果を、無意識のうちに「正しいもの」と受け入れてしまいがちです。
しかし、『プラチナデータ』が示したように、アルゴリズムを設計したのは人間です。そこには必ず設計思想やバイアス、時には組織の事情が反映されます。
PMとして重要なのは、「このデータはどのような条件で取得されたのか」「除外されている要素はないか」と、データそのものだけでなく、その背景まで考える姿勢だと感じています。
2. データでは測れない「人間」のマネジメント
神楽がデータを信奉する一方で、浅間刑事は現場での聞き取りや違和感を積み重ねることで真実へ近づいていきます。
これは、まさにプロジェクトマネジメントにも通じる考え方です。
ベロシティやバグ発生率といった定量データはもちろん重要ですが、それ以上に「最近メンバーの表情が暗い」「お客様が仕様説明に少し引っかかっている」といった定性的な変化に気付けるかどうかが、プロジェクトの成否を左右することも少なくありません。
実は私生活でも、2人の子育てではロジックやデータだけでは通用しない場面ばかりです(笑)
人が関わる以上、最後にプロジェクトを前へ進めるのは、浅間刑事のような「人を見る力」なのだと感じています。
3. テクノロジーと倫理のバランス
生成AIが急速に普及し、人間以上の判断をシステムが担う場面も増えてきました。
だからこそ、「この技術は何のために存在するのか」「誰の利益になるのか」という倫理的な視点は、これまで以上に重要になっています。
効率や利益だけを追い求めるのではなく、人にどのような影響を与えるのかまで想像しながらシステムを設計すること。それこそが、私たち開発者・PMに求められる責任ではないでしょうか。
後藤悟志が『プラチナデータ』から受け取ったメッセージ
東野圭吾さんの作品は、極上のエンターテインメントであると同時に、「人間とは何か」という本質的な問いを投げかけ続けてくれる作品ばかりです。
『プラチナデータ』が提示したテーマは、AIが当たり前になった今だからこそ、さらに重みを増しているように感じます。
私自身も、これからは技術の進化を推進するPMであると同時に、データだけに頼らない、人の感情や現場の空気にも目を向けられるマネジメントを実践していきたいと思います。
東野圭吾先生、これまで数多くの素晴らしい作品を世に送り出し、仕事や人生における多くの気づきを与えてくださり、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。