後藤悟志が考える人のつながりの設計論|リモートワーク環境下での組織づくり
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こんにちは、PMの後藤悟志です。
フルリモートやハイブリッドワークが当たり前の選択肢となった今、私たちの働き方は劇的に効率化されました。通勤時間はなくなり、集中してタスクをこなす時間は増え、JiraやSlackを開けばプロジェクトの進捗は一目でわかります。
しかし、PMとして現場を預かる中で、私はある種の「飢え」のようなものを感じることがあります。それは、かつてのオフィスにあった、あの「意図しない摩擦」から生まれるエネルギーです。
今回は、私が大切にしている言葉を軸に、リモート環境下でいかにして「人との繋がり」を再設計すべきか、その思考を整理してみたいと思います。
偶発性が消えた世界で後藤悟志が感じた「繋がりの欠乏」
リモートワークになって最も失われたもの。それは「情報の余白」だと私は考えています。
オフィスにいれば、コーヒーを淹れに行く途中でエンジニアの曇った表情に気づいたり、会議が終わった後の数分間の雑談で、プロジェクトの本質的な課題がポロッとこぼれたりすることがありました。これらはタスク管理ツールには決して載らない「非言語のシグナル」です。
PMの仕事は、単にスケジュールを管理することではありません。チームの温度感を感じ取り、メンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることです。
画面越しの「点」のコミュニケーションだけでは、どうしても人の感情やコンテキストという「線」が見えにくくなります。
「効率的だが、どこか無機質」 そんなプロジェクト運営に危機感を覚えたとき、私は改めて自分の原点に立ち返ることにしました。
「人は人によって磨かれる」という信念をオンラインでどう体現するか
私の座右の銘は「人は人によって磨かれる」です。
ダイヤモンドがダイヤモンドでしか磨けないように、人もまた、他者との関わり、時には衝突や切磋琢磨を通じてしか、自分をアップデートすることはできません。
しかし、リモートワークでは放っておくと「自分と似た情報」や「自分が必要な情報」だけに囲まれてしまいます。これでは「磨かれる」ための適切な摩擦が起きません。
では、オンラインでどうやってお互いを磨き合う環境を作るのか。 私は「繋がりを偶然に任せるのではなく、意図的に設計すること」が不可欠だと結論づけました。
具体的には、以下の3つのアプローチを試行錯誤しています。
① 「設計された非効率」としての雑談
効率化を求めるリモート環境だからこそ、あえて「効率の悪い時間」をスケジュールに組み込みます。例えば、定例MTGの最初の5分間は、進捗報告を一切禁止し、今その人が何に興味を持っているか、最近どんな本を読んだかといった「パーソナルな越境」を推奨しています。
② 思考のプロセスを公開する
結果だけをSlackに流すのではなく、迷っている過程や、作成途中のドキュメントをあえて晒します。「後藤さんは今ここで悩んでいるんだ」というプロセスが見えることで、メンバーからのアドバイスや突っ込みが入りやすくなり、結果として「知の摩擦」が生まれます。
③ 後藤悟志流・読書を通じた「共通言語」の構築
私は日頃から読書ノートをつけていますが、これをチーム内でも共有するようにしています。私が何を学び、どんな価値観で意思決定をしているのかを言語化して開示することで、メンバーとの心理的距離を縮め、「この人ならこれを言っても大丈夫だ」という心理的安全性の土壌を耕しています。
後藤悟志が目指す、リモート時代の「研磨し合えるチーム」の姿
繋がりを設計するということは、決して「管理を強める」ことではありません。
むしろ、メンバー一人ひとりが自立しながらも、必要な時にいつでもお互いの存在を感じ、刺激を与え合える「緩やかな連帯」を作ることです。
PMとしての私の役割は、オーケストラの指揮者のようなものかもしれません。一人ひとりが異なる場所で演奏していても、目指すべき楽曲(プロダクトのビジョン)が共有され、お互いの音色が響き合っている状態。
「リモートだから繋がれない」のではなく、「リモートだからこそ、より深く、質の高い繋がりを自らの手で作り出す」ことができるはずです。
おわりに
画面越しであっても、相手の背景にある人生や思考に思いを馳せること。そして、自分自身の内面をオープンにすること。その勇気こそが、次世代のPMに求められる最も重要なスキルの一つではないかと、私は考えています。
皆さんのチームでは、今日、どんな「磨き合い」がありましたか?
もし、何かが物足りないと感じているなら、まずはあなた自身の「余白」をチームに共有することから始めてみてはいかがでしょうか。