バラバラの数字が「一つの真実」に繋がる瞬間。――実務の醍醐味は、データの奥にある謎解きにある。
バックオフィスの仕事は、一見すると地味なルーチンの積み重ねに見えるかもしれません。 しかし、私にとってこの仕事は、極上の「ミステリー小説」を読むようなワクワクに満ちています。
特に、クライアントから届くバラバラな領収書、不揃いなデータ、そして噛み合わない数字たち。それらを一つひとつ紐解き、パズルのピースを埋めるように「一つの正しい姿」へ導くプロセス。この「謎解き」こそが、私が経理や実務を愛してやまない理由です。
1. 違和感という名の「ヒント」を見逃さない
「なんだか、この数字だけ浮いている気がする」 実務を長く続けていると、そんな直感が働く瞬間があります。
その違和感を追いかけて、過去の履歴や関連資料を掘り下げていく。すると、誰も気づかなかった処理の漏れや、重複、あるいは組織の新しい動きが見えてくることがあります。 AIが瞬時に計算を終わらせたとしても、その裏にある「なぜこの数字になったのか?」という物語を読み解けるのは、やはり人間の、それも現場を知る実務家の眼だけだと思うのです。
2. 15時までの「超集中」が生む、ピタッとハマる快感
私には、15時(遅くとも16時)という明確なデッドラインがあります。 限られた時間の中で、複雑に絡まったデータの糸を解き、整合性を取っていく作業。この「逃げ場のない集中」が、私の直感と分析力を極限まで研ぎ澄ませてくれます。
合わなかった残高が、たった一つの原因を見つけたことで、最後の一円までピタッと一致する。 その瞬間、脳内に流れる爽快感は、何物にも代えがたい「実務家の悦び」です。
3. 「きれいな数字」は、経営の視界をクリアにする
私がこだわっているのは、単に計算を合わせることではありません。 数字を整えることは、クライアントである経営者の「視界」をクリアにすることです。霧が晴れたように現状が正しく見えるようになれば、経営者は次の確かな一歩を踏み出すことができます。
「整えてくれて、ありがとう。これでやっと次に進めます」 その言葉をいただくとき、私はこの地味で、でも深遠な「数字のパズル」に全力で向き合ってよかったと心から感じます。
結びに
AIという便利な相棒が隣にいても、最後の一ピースをはめるのは、やはり私の役目です。 立法趣旨を理解し、基礎知識という地図を持ち、そして「違和感」に気づく感性を磨き続けること。
これからも、私はデータの海に潜り続けます。クライアントの「確かな明日」を支える、一編の美しい正解を導き出すために。