こんにちは。土井啓史です。
本記事は、私の活動に興味を持っていただいたインタビュアーの方と対談した内容です。許可をいただき、掲載しています。
これまでの記事では、Career Artや訪問看護事業の立ち上げ、組織づくり、人材に対する考え方などについてお話ししてきました。今回は、「人を本当に見抜けるのか」という問いを入り口に、私が一緒に仕事をする相手の何を見ているのかをお話しします。
人を本当に見抜けるのか?
——採用や組織づくりに長く関わっていますが、人を見抜くことはできると思いますか?
土井:一度の面接や短い会話だけで、人のすべてを見抜くことはできないと思っています。
面接では、多くの人が目標や意欲、強みを語ります。言葉も判断材料の一つですが、私がより重視しているのは、その人が実際に何を選び、どう行動してきたかです。
「優秀そうに見える人」と「仕事を任せられる人」は、必ずしも同じではありません。話が上手でも、約束や期限を守れなければ信頼は積み上がりません。反対に、言葉数が多くなくても、任されたことに向き合い、必要な報告を行い、最後まで責任を持つ人には仕事を任せられます。
人を完全に理解することはできなくても、仕事を任せられるかどうかは、継続的な行動から判断できます。
人の本音は「優先順位」に表れる
——具体的には、どのような行動を見ていますか?
土井:その人が何に時間とお金を使い、何を後回しにしているかを見ます。どちらも有限だからこそ、その使い方には、本当に大切にしているものが表れます。
「成長したい」と言いながら、学ぶ時間を確保していない。「この仕事をやり切りたい」と言いながら、期限が近づいても行動が変わらない。言葉と行動に差があるとき、私は行動の方を見ます。
特に違いが出るのは、問題が起きたときです。事実を早く共有できるか。人のせいにせず、自分にできることを考えられるか。約束や報告を軽く扱わないか。そうした小さな行動に、仕事への姿勢が表れます。
信頼は、良いことを言うことで生まれるのではありません。言葉と行動を一致させることで、少しずつ積み上がります。
ゴールだけを示された経験
——結果を重視するようになった背景には、どのような経験があったのでしょうか?
土井:起業に向けて経営を学んでいた頃、尊敬する方から示されたのは「ゴール」だけでした。方法や手順を細かく教えてもらえたわけではありません。
当時は、正解を教えてもらえると思っていた部分もあったと思います。しかし経営では、誰かが常に答えを用意してくれるわけではありません。実現したい結果を決め、そのために必要なことを自分で考え、中身を埋めていく必要があります。
その経験から、「どうすればいいですか」と答えを待つのではなく、「どうすればこのゴールを達成できるか」と考えるようになりました。
仕事を任せる際も同じです。方法が分からないこと自体は問題ではありません。分からない中でも調べ、相談し、試し、必要なら方法を変えながら、ゴールへ近づこうとするかを見ています。
結果に責任を持つとは、自分を変えること
——努力しても結果が出ないことはあります。それでも結果を重視するのでしょうか?
土井:結果を重視することは、結果だけで人を切り捨てることではありません。大切なのは、結果にどう向き合ったかです。
同じ方法で結果が出ないなら、努力量だけでなく方法を変える。知識が足りなければ学ぶ。今の能力や役割に固執せず、ゴールに必要な自分へ変わっていくことが求められます。
私が考えるコミットとは、「頑張りました」と言うことではありません。「やる」と決め、できる方法を探し、修正を続けることです。ただし、無謀な自己犠牲とは違います。周囲に相談し、現状を正しく捉え、方向を変える柔軟さも必要です。
「止められるくらいの挑戦」が限界を広げる
——尊敬する方から、挑戦を止められた経験もあるそうですね。
土井:私にとって学ぶ相手は、答えを教えるだけの存在ではありませんでした。挑戦を促す一方で、危険な方向へ進んだときには止めてくれる存在でもありました。
まず挑戦し、時には止められるくらい動いてみる。その過程で、自分の本気度や限界が見え、次に身につけるべきものも分かります。
現在、誰かに仕事を任せるときにも、自由に任せることと、必要なときに止めることの両方を大切にしています。相手の可能性を信じて裁量を渡しながら、目的から外れたときには方向を正す。その関係性が、挑戦と信頼を両立させるのだと思います。
まとめ
——信頼は、行動と結果で積み上がる
人の内面を完全に見抜くことはできません。しかし、その人が何を優先し、どの約束を守り、困難な状況でどう行動したかを見ることはできます。
そして、この基準は他人を評価するためだけのものではありません。自分自身も、周囲から言葉ではなく行動で見られています。
仕事を任せてもらいたいなら、信頼してほしいと訴える前に、任されたゴールから逃げないこと。最初から正しい方法を知っている必要はありません。自分で考え、必要なら方法も自分自身も変えていく。その姿勢は行動に表れます。
信頼とは、言葉で求めるものではなく、行動と結果によって積み上げていくものだと考えています。