ディレクターの仕事は「指示すること」ではないと思っている
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Webディレクターという仕事は、進行管理や指示出しをする役割だと思われがちです。
けれど、現場で実際に必要とされるのは、「誰かを動かすこと」よりも関わる人が迷わず判断できる状態をつくることだと、私は考えています。
一番大切にしている判断軸
ディレクションをする上で、いつも自分に問いかけていることがあります。
今、この人は「何に迷う可能性があるか」
指示を増やすことでも、管理を強めることでもなく、迷いが生まれない構造を先につくる。
これが、私のディレクションの軸です。
方向性だけを細かく決めた案件の話
ある案件で、デザイナーの方と進める際、私は作業のやり方や細かいデザイン指示はほとんど出しませんでした。
その代わりに、
- 全体の方向性
- 優先順位
- やらないこと(NG)
この3点だけは、かなり細かく共有しました。
意図していたのは、デザインを縛ることではなく、判断を迷わせないことです。
結果として、
- 初稿の完成度が高く
- 確認や修正は最小限
- 「これはどっちがいいですか?」という相談もほぼ出ない
という進行になりました。
信頼して任せた、というよりも、安心して判断できる状態を先につくれたことが大きかったと感じています。
最初に言語化しきれなかった案件の話
上手く言語化できた案件がある一方で、最初から上手くいかなかった案件もあります。
別の制作会社さんとの案件では、仕様自体は共有できていたものの、
- どこまでを成果とするのか
- 何を期待しているのか
この「期待値」の部分を、最初に十分言語化できていませんでした。
途中で少しずつズレが見え始め、そこで一度立ち止まり、
- 前提を整理し直し
- 期待値を改めて共有し直す
というコミュニケーションを取りました。
完璧な設計ではありませんでしたが、ズレを放置しなかったことで、大きな破綻は避けることができました。
この経験から学んだのは、「失敗しないこと」よりも、ズレを回収できる構造と姿勢の方が大切だということです。
ディレクターは“静かな仕事”
ディレクションがうまくいっている現場ほど、実はとても静かです。
- 誰かが困って声を上げる前に整理されている
- 判断に迷う場面が少ない
- 修正が「手戻り」ではなく「微調整」で済む
目立つ仕事ではありませんが、この状態をつくれた時、チーム全体の負荷は確実に下がります。
どんなチームで働きたいか
私は、
- 分からないことを「分からない」と言える
- 前提や背景を共有しようとする
- 役割を越えても、責任を押し付けない
そんなチームで力を発揮しやすいと感じています。
立場や肩書きよりも、どう判断し、どう共有するかを大切にできる環境で、静かに、でも確実に現場を前に進めたい。
実際にどのように構造として落とし込んでいるかは、以下の記事にまとめています。
https://www.kinkedtail.jp/web-basics/1541/
おわりに
ディレクターの仕事は、声を張ることでも、全てを管理することでもありません。
関わる人が迷わず進める状態をつくること。
そのために、前提を整理し、判断を引き受けること。
もし、働き方に共感していただけたら、どこかで一緒に仕事ができたら嬉しいです。